中国語能力試験:HSKとCLPTの違い

  1. 中国語検定・HSK

中国語の代表的な検定試験は、中検といわれる中国語検定と、漢語水平考試といわれるHSKの2種類があります。

中国語の勉強中なら、どちらの試験を受ければいいのか迷うことと思います。今回はそれぞれの特徴を解説するのでぜひ参考にしてみてください。

中国語能力試験:HSKとCLPTの違い

中国語検定とは?

それぞれの資格がどのようなものかご紹介しましょう。

まずは中国語検定です。「一般財団法人日本中国語検定協会」という日本の団体が実施している中国語の能力を証明してくれる検定です。

レベルは準4級から1級まであり、数字が少なくなるほど自分が高い中国語能力を持っていることが証明できます。よって1級を持っていれば日本国内では最高級の中国語能力を証明できるというわけです。

中国検定の特徴

中国語検定を目指す人はその特徴を理解していると助けになるでしょう。特徴は3つほどあります。

1,用日语提出问题

日本語で出題される

 

2,让日本人容易明白中文能力

日本人に能力を認められやすい

 

3、证明翻译能力方面比较有利

通訳翻訳能力を証明しやすい

日本語で出題

中国語検定では問題は日本語で出されます。ですから質問の意味が分からないということはないでしょう。

しかし日本語で出題されるからからという理由で、HSKではなく中国語検定選ぶと失敗するかもしれません。

なぜならそもそも中国語で出題されたとしても、その簡単な中国語の質問の意味でさえ勘違いするようなら、そもそもまだ自分の中国語の能力を証明してもらおうという段階ではないからです。

日本人に能力が認められやすい

日本人の多くは日本で生まれ日本で育っています。そのため「海外の中国語資格」については、その検定がどれほどすごい資格なのかというのは日本人にはわかりません。

よって普通の日本企業にいる日本人に「自分は中国語ができる」ということを証明するには、その名称からも能力がわかりやすい「中国語検定〇級」を受けるのは一定の価値があるでしょう。

翻訳通訳能力を証明しやすい

中国語検定にあって、HSKの試験にはないものは面接試験です。試験官が直接中国語で話し、聞き取って中国語でこたえなければなりません。

HSKのように単にマークシートで4択問題を選ぶだけではないので、実際の会話力などが証明されやすいというわけです。

日本においては中国語検定1級とか準1級を持っているなら、会議などで通訳や、難しい中国語も翻訳できるという証明になります。

中国語検定デメリット

しかし、日本語で出題されるし面接などもあって中国語能力を証明されやすいからと、中国語検定の資格を安易に目指すのは禁物です。なぜならこの資格にはデメリットも存在するからです。

もっとも大きなデメリットは「国際的には認められていない」という点でしょう。外国人には自分の中国語能力を証明することはできません。

それは、海外で「有名ではない」からです。

例えば、ある中国人が「わたしは中国のある団体が実施している日本語〇〇試験というのに合格しました」と言うとします。

そこでその試験について調べてみると、なんと出題者も採点者も中国人のようです。さて、日本人はその資格をどの程度信頼するでしょうか?

中国人からすると日本人が出題し日本人が採点する「中国語能力試験〇級合格」というのはその程度の価値ということです。

中国の黒い背景に矢印を描く手。

HSKとは?

続いてHSK(汉语水平考试:hànyǔ shuǐpíng kǎoshì)です。この試験を実施しているのは孔子学園(孔子学院:kǒngzǐ xuéyuàn)という中国国家直属の機関です。

レベルは1から6級まであり、日本語能力試験とは逆で、数字が大きくなるほど自分の高い中国語能力を証明できます。よって一番高いレベルが6級ということになります。

HSKの特徴

HSKの特徴は2つほどあるでしょう。

1、在世界各地受到欢迎

国際的に認められる資格

 

2、在中国内地办理有利

中国国内での手続き上有利

国際的に認められる資格

中国人が中国語の能力を証明するものなので、HSKの〇級を持っているといえば、世界中で「自分は一定の中国語能力がある」ということを証明できます。

国際的に認められているので、中国だけではなくアメリカでもフランスでも、自分は中国語が堪能に話せるという証明になるわけです。

実は中国語を専門としている方には、日本国内において中国語検定よりもHSKのほうが国際的に知られているがゆえに、中国語能力を明確に証明できるものとなります。

中国国内の手続き上有利

中国というのは日本以上に学力社会です。よって、大学に入学するにもビザ(签证:qiānzhèng)を取得するにもHSKの資格が求められることがあります。

有名大学に入ったり、そこで奨学金を申請したりするときには、HSK3級の資格があることを提示しなくてはいけない場合がよくあるのです。

それくらいの中国語能力がないと中国政府としては中国の大学において中国語で行われる授業を理解することができるのか不安というわけです。

また、中国において仕事ビザ(工作签证:gōngzuò qiānzhèng)を発給してもらうためには、ある一定の条件を満たさなくてはいけません。

その条件は大企業に属していて招聘状を持っているか、もしくは4年大学を卒業していて中国企業に雇われているかが必要です。

しかし見落としてはいけないのは、仕事ビザを持っていれば中国で安定して生活できるというわけではないことです。

実は中国に入ってくる外国人はすべてABCランクわけされています。よっぽどの高収入高学歴の人でない限り、HSKの試験に合格していないといつ追い出されるかわからないCランクに分類されてしまうのです。

「中国」と書かれた木のブロックを持つ手。

中検とHSKの難易度は?

中国語検定とHSK、それぞれの試験の難易度はどれくらいでしょうか?

HSKの6級の難易度は、中国語検定の2級とほぼ同じといわれています。これらの試験の上位レベルに合格するには、何年もかけての専門的な勉強が必要になるでしょう。

高レベルの試験を受けることの意味

実は中国語検定1級やHSK6級に合格していることが、中国語が上手になっていることを必ずしも意味するわけではありません。

最上級の日本語の能力を証明する日本語能力試験1級を例にとってみるとわかりますが、日本語を母国語とする日本人でさえ、日本語能力試験1級ではおそらくほとんど満点は取れないでしょう。

それは、日本語能力試験1級で出題されているのは、クイズ番組で出てくるような小中学生レベルでは分からない日本語単語や漢字の読み方問題だからです。

中国語検定1級やHSK6級で出題される問題というのも同様で、生活会話ではあまり使われない言葉なのです。「高レベル試験合格=中国が上手」ではないんですね。

頭の上に疑問符が付いた若い女性。

どちらの試験を受けたらいいかの見分け方

では、結局中国検定とHSKどちらの試験を受けるのがよいのでしょうか?

どの試験を受けるのかの指針となるのは、次の3パターンのうち最終的にどこを目指したいのかという点です。

1、中国で就職を目指す

2、日本で就職を目指す

3、中国語が上手になりたい

それぞれどの試験を目指せばいいでしょうか?

中国で就職を目指すなら

中国で就職を目指すなら、もしくは中国企業で自分の中国語能力を証明したいなら断然HSKがおすすめです。

中国企業相手に「HSK〇級に合格している」といえばかなり中国語能力の証明効果があります。

日本で就職をめざすなら

日本国内の日本企業に中国語能力を認められたいなら、中国語検定を受けているほうがいいかもしれません。単に「中国語検定」というネーミング的にわかりやすいからです。

さきほども述べたように、中国語検定1級では面接官による翻訳通訳という試験内容が含まれています。

今後の人生で中国語の通訳を仕事としていくという方にとって、中国語検定1級はぜひとも持っておきたい資格です。

しかしこの資格がないと通訳の仕事ができないというわけでもありません。

中国語が上手になりたいなら

就職を目的としておらず、単に中国語が上手になりたいというのであれば、どちらの試験を受けることもお勧めできません。

中には上記中国語試験の合格を目標にすれば、単語量が増えるとか文法に通じることができるなどという人もいますが、実際に中国人が使っている単語や文法は試験に出てくるものと全く違うからです。

中国語は声調言語ですので、中国語検定やHSKの合格を目指す机の上での学習は、メリットよりもむしろデメリットのほうが多いでしょう。

残念ながらHSK6級を持っている、中国語検定1級を持っているという人でも通じない中国語を話す人はたくさんいます。

しかも高レベルの試験に合格しているという自負があるため、中国人からの発音訂正を受け入れらないなんてことも。

本気で生きた中国語を身に着けたいのであれば、試験を目指すのではなく中国人の中で中国人が話す中国を浴びるように聞き、たくさん発音を訂正されるのが一番なのです。

まとめ

中国語検定かHSKか、どちらの中国語の資格をとるかは自分が最終的に目指すものに合わせて選択しましょう。

これらの試験に合格すれば一定の自信につながりますし、社会の中で特に企業に中国語能力を認めてもらいやすくなります。

しかし中国語というのは本当に発音命ですので、文法重視の試験合格だけを目指して頭でっかちならないように気をつけましょうね。

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