中国語は通常一つの読み方しかなく、日本のように二つ以上の読み方があるものはごくわずかです。それでも日本人は、中国語を読むときよく間違えてしまうものです。
しかしある法則さえ掴んでしまえば、簡単に読み方の判別ができるのです。
中国語の発音の謎を解く: 二通りの読み方を判別する方法
中国語は日本語よりも読みやすい
ある漢字をどうやって読むのか?という問題において、日本語は中国語よりはるかに複雑です。
例えば日本語の「生」という漢字は32通りもの読み方があるといわれています。日本語を勉強する中国人がいかに漢字の読み方で苦しむのか理解できるでしょう。
実に母国語であるはずの日本人でさえ読み方をよく間違えるのです。例えば…
重複
これを日本語でどうやって読みますか?「じゅうふく」と読んだ方もいらっしゃるでしょうが、正解は「ちょうふく」です。
重さを表すとき、たとえば「重量」などは「じゅう」と読むのですが、重なることをあらわすときは「ちょう」と読むというわけです。
実はこの法則が中国語の読み方を判別するのにも役立ちます
重庆をどう読むのか?
中国の4大直轄市のひとつ「重慶」をどう読んだらいいのでしょうか?
中国語の「重」ですが、これは先ほどの日本語と同じく、重さを表すときは「重」(zhòng)、重なることを意味するときは「重」(chóng)と読みます。
重慶という都市の言葉の由来はこのようになっています。
shuāngchóng de xǐlè , zǔfùmǔ jí fùmǔ dōu jiànzài
双重的喜乐,祖父母及父母都健在
重なりあう喜び、祖父母も父母もそろって健在であること
つまり、重慶の重は「かさなる」という意味があるのです。よって重庆(chóngqìng)が正しい読み方であり、重庆(zhòngqìng)ではありません。
ほかにも「重なる」を意味するときは重(chóng)と読むのでこの法則を覚えておきましょう。
例えば先ほど日本語でも出てきた「重複する」は「重复」(chóngfù)です。
繰り返す(重申:chóngshēn)、4部合唱(四重唱:sì chóngchàng)などはすべて重なるという意味なので重(chóng)と読むわけです。
日本語の読み方はちょっと問題あり
重慶の重は「かさなる」という意味で使っているわけですから、日本語の読みは本来「ちょうけい」と読むのが正解だったということになります。
中国語の言葉の由来を考えずに「じゅうけい」と命名してしまったということは昔の日本人もよく読み方を間違っていた、もしくはさほど本来の意味を気にしていなかったということかもしれません。
(例:重版、重婚などは「かさなる」という意味でも「じゅう」と発音する)
中国人でもよく間違える読み方
元の意味をたどれば読み方が判別できるという法則ですが、他の漢字にも当てはまります。
しかし重複を日本人も「じゅうふく」と読んでしまうように、中国人も元の意味を考えずに、パット見た目で読んでしまい間違えることはよくあります。例えば…
yī mú yí yàng
一模一样
瓜二つ
一模一样(yī mú yí yàng)という発音ですが、ほとんどの中国人は一模一样(yī mó yí yàng)と模の発音をmúではなくmóと発音します。
それは単に「まねる」を意味する模(mó)の発音のほうがメジャーなためです。
今回は「瓜二つ」という意味なので、あまり使わない「鋳型」を表す中国語、模(mú)の読み方が正しいということになるのです。
そうです。中国人でも漢字の読み方が二通りある場合、感覚で読むとよく間違えるのです。
意味からたどって正しい発音
今回は中国語に二通りの読み方(多音字:duōyīnzì)がある場合、その用語がどういう意味で使われているのかを考えて、読み方を考えると正しく発音できるということを考えました。
こういう法則性を知っているだけで言語は効率的に学べることもあるので、ぜひ参考になさってください。