遠い田舎に家がある場合、日本では電車を降りた後、バスやタクシーを乗り継げば1時間以内には帰れるものです。
しかし中国は広いのでそうはいきません。帰郷が想像を超える大変さなのです。
中国の帰省事情:交通の難しさとその解決法
中国の鉄道網
日本は他国と比べると国土面積が狭いので、その分鉄道網も発達しています。
ある都市からある都市を結ぶ鉄道(铁路:tiělù)は中国では通常一本だけですが、日本ではJRと私鉄の2本通っていることも少なくありません。鉄道路線が多い分、人口の少ない小さな町にも駅があるものです。
中国の鉄道は全て国家が経営している鉄道です。よって通常鉄道(火车:huǒchē)以外に民間が営業している私鉄はありません。
駅と駅の間隔も広く、ある場所は日本の新幹線にあたる高速鉄道(高铁:gāotiě)しかなく、駅と駅の間は何百Kmと離れていることもよります。
鉄道以外の交通手段
鉄道以外の方法となると、いわゆる日本では長距離バスと呼ばれる长途汽车(chángtúqìchē)で移動するという方法となります。
飛行機(飞机:fēijī)という選択肢もありますが、日本ほど飛行場の数が多くありませんから、飛行場を降りてからの移動が鉄道よりも大変でしょう。
このように公共の交通網は限られているので、まだまだ中国はバスやタクシーなどを利用する機会が多いようです。
都市の規模によって違う交通網
中国は都市の規模によって、交通網の発達が違います。
北京や上海、広州などの1千万人規模の大都市にはもちろん都市地下鉄(地铁:dìtiě)が整っています。駅の数も東京並みにたくさんあります。
しかし100万人規模の中級都市には、鉄道の駅が一つしかないことも少なくありません。駅を出てからはバスやタクシーを使わないといけないわけです。
10万人規模の小都市には鉄道すらないこともあります。しかし長距離バスの停留所はあることでしょう。
人口が10万人を切るような町どうなのでしょう?通常鉄道はありません。長距離バスの小さな停留所さえないときもあります。その町へ行く手段は町バスかタクシーしかないというわけです。
いわゆる農村といわれる場所はどうですか?舗装されてない土道しかありません。車も通れずバイク、または徒歩でしかいけないという事もよくあるのです。
中国人にとって田舎の街に里帰りするとは
春節の期間になると、中国の学生たちは一斉に里帰りします。実家が都市部にある場合はまだ電車とバスを乗り継ぐ程度で帰れるのでよいのですが、農村部に実家があるときは、先ほど述べた道のりを通るためにそれはそれは帰郷が大変です。
内モンゴル(内蒙古:nèiměnggǔ)に実家があり、四川地方に住んでいたある学生は、四川から内モンゴルまで電車で12時間、さらに内モンゴルの駅に着いてから、バスやタクシー、徒歩を含めてさらに6時間もかけないと家にたどり着けないと言っていました。
日本では実家に帰るのにこんな苦労をすることはないのではないでしょうか。
それでも中国人は実家に帰る
これほど実家に帰るという事が大変な中国ではありますが、中国人にとって理由もないのに春節の時に実家に帰らないという選択肢はありません。
それだけ田舎に住む親やおじいちゃんおばあちゃんに、顔を見せる必要を強く感じているというわけです。
日本人はプライベートを尊重する国なので、いったん結婚してしまえば、親家族やおじいちゃんおばあちゃんのところへ出入りすることはあまりないかもしれません。
ほんの目と鼻の先に住んでいても、ほとんど顔を合わさないことさえあるものです。
しかし今回考えた実家に帰るための中国人の払っている努力を考えると、私たち日本人も家族の一致を保つためにもう少し努力したほうがいいと感じることでしょう。