中国語を学び、中国人を知るのに役に立つおすすめの方法の一つがドラマ視聴です。今回はその中から「乡村爱情」をご紹介します。
既に第14部が放映されているほど、中国では誰もが知る長寿番組のテレビドラマですが、傑作とも駄作とも言われています。
中国語学習におすすめ『乡村爱情』中国の文化と習慣を学ぼう
目次
傑作と呼び声高い第1部「乡村爱情」
「乡村爱情」(xiāngcūnàiqíng 郷村愛情)第1部は全30話の作品で2006年に放映が始まりました。
物語は「师范大学」(shīfàndàxué 師範大学)を卒業した「谢永强」(XièYǒngqiáng)が「象牙山村」(Xiàngyáshāncūn 象牙山村)に帰省したところから始まります。
村で豆腐を売って生計を立てている家の「王小蒙」(WángXiǎoméng)とは、大学に行くよりも前からお互いに将来を考えていた仲ですが、本人たちをよそに親たちがそれを許しません。
「乡村爱情」はこの二人を軸に、村の何組かの若者たちの恋愛や仕事、その周囲の大人たちのユーモラスな日常を扱った現代喜劇です。
共感を呼んだ理由
当時、中国では人口の7割が「农民」(nóngmín 農民)でした。作品の映像には、誰もが見慣れた田舎の原風景が写っていました。
ドラマが描いたのは、全世代に共通する「普通老百姓」(pǔtōnglǎobǎixìng ごく普通の一般庶民)と彼らを取り巻く日常でした。
このドラマには、当時のほとんどの中国人が自分の生活を見ているかのような現実感があったのです。
また視聴者が憧れる要素がいくつも含まれていました。若い二人の恋愛がどう発展するかはもちろん興味の的でした。
それだけでなく、たとえばささやかに豆腐を販売するだけだったヒロインの王小蒙は、後に豆製品を扱う工場をたてて起業します。
農民であっても現状にとどまらず、どうやって生活水準を上げていけるのか、人々が知りたいと感じていたポイントを押さえていたのですね。
Gāijùsuīshuōshìxǐjù,dànshìyěfǎnyìng le hěnduōxiànshíwèntí。
该剧虽说是喜剧,但是也反映了很多现实问题。
Dāngshí yǒu le dàxuébìyèshēng de jiātíngduōme de jiāo’ào,
当时有了大学毕业生的家庭多么的骄傲,
duōmexīwàngháiziyàochūréntóudì,bǎ zìjǐ de xīwàngquándōutuōfùgěiháizishēnshàng,
多么希望孩子要出人头地,把自己的希望全都托付给孩子身上,
jíshǐ rúcǐ,xiāngqīnxiāngài de yīduìniánqīngréntāmenháishizhǎodàozìjǐyàozǒu de fāngxiàng。
即使如此, 相亲相爱的一对年轻人他们还是找到自己要走的方向。
このドラマはコメディですが、多くの現実的な問題を反映してもいます。当時大学を卒業した子供のいる家庭はどれほど誇りを感じていたでしょう。子供が人々より一つ抜きん出た存在になるようどれほど期待し、自分の希望のすべてを子供に託していたことでしょうか。そうではあっても、相思相愛の若い二人は自分たちの進むべき道を見つけていくのです。
Gāijùzhōng,cūnlǐ de lǎoyémenyīnwèimiànzi、pānbǐ、xiǎoqì,chǎnshēng le xǔduōgùshi,
该剧中,村里的老爷们因为面子、攀比、小气,产生了许多故事,
suīrányǎnyuántāmenyǎn de yǒuxiēkuāzhāng,
虽然演员他们演得有些夸张,
dànháishixiǎnchū le zàicūnlǐ de rénjìguānxiwǎngwǎnghuìshìzhèyàng。
但还是显出了在村里的人际关系往往会是这样。
このドラマの中で、村のおじさん連中は面子や意地の張り合い、金銭的にけちなことでさまざまな事件を起こしていきます。俳優たちの演技は確かに少し大げさではありますが、それでも村における人間関係は往々にしてこういうものだという部分を見せてくれています。
中国の発展のドキュメンタリー
このドラマはある意味で2006年から中国がどう発展してきたのかが如実にわかる「纪录片」(jìlùpiàn ドキュメンタリー)です。
人々の服装、建物、調度品、興味を持つブランドなど形のあるものから、経済観念、結婚観、子育ての概念などあらゆる点での価値観の変化が見て取れるのです。
最近では彼らがスマートフォンを使い、5G通信でSNSを駆使しながら農村の情報発信をする姿も描かれています。
そうした身の回りのものは最新のものにどんどん変わるのですが、登場人物たちが持つ個性は昔ながら変わらないのも現実的です。その変わらない人間臭さが逆に駄作とも評価されるのかもしれません。
中国ドラマのここがすごい!「霍去病」
韓国のドラマは日本でも人気ですが、多くの中国人も韓流ドラマにハマっています。
しかし、中国のドラマ”电视剧”(diànshìjǜ)を見たことがないという人は多いのではないでしょうか。実際どのようなドラマがあるのか、また人気のドラマを見てみましょう。
時代劇はどの国でも人気
日本でも江戸時代などの時代劇が人気ですが、中国でも唐の時代など古い時代のドラマをよく放送しています。
日本人が天女という表現を使うほどきれいだと言われる中国の独特な装いをした時代から、日本との戦争のドラマまで時代背景は様々です。
中国のドラマは毎日放送
日本のドラマは一週間に一回しか放送しないため、次回の放送までに一週間待たなければなりません。
しかし、中国のドラマは毎日放送があります。つまり一週間で五回分のストーリーが放映されるのです。そのため、次回の放送は次の日すぐに見られるという訳です。
”琅瑘榜”(Lángyabǎng) という時代劇が放送された時、多くの人はそのドラマを見るために早く帰るという現象がおきました。
人気のドラマ
琅瑘榜 (lángyabǎng)
このドラマは中国人ならだれもが知っていると言っても過言ではないドラマです。最近のドラマの中でも特に人気があります。
武则天 (Wǔzétiān)
実話をモチーフにした唐の時代のドラマです。中国で、唯一女性で皇帝になった人が主人公になっています。女性がどのようにして皇帝になることができたのか、中国の歴史が分かるでしょう。
非常に残酷なことをした人なので、中国人から嫌われている女性としても有名です。
我的前半生 (Wǒdeqiánbànshēng)
このドラマは、現代の中国を忠実に描いていると言えるでしょう。
主人公は上海に住んでいるとても裕福な女性です。良い夫と息子、また家政婦がいる家に住みすべてがそろっている印象を受けます。
しかし、夫の浮気からその女性の人生はガラッと変わります。
中国ドラマは、中国の文化や習慣も勉強できる
中国人が実際に使っている話し言葉や、流行の言葉がたくさん出てくる現代ドラマはとても勉強になります。
また中国のドラマでとてもいいところは中国語の字幕がついているという事でしょう。聞き取れなくても、文字で確認できます。辞書を使って意味も調べやすいのではないでしょうか。
ドラマの中には標準語ではない話し方もあります。しかし、上海や北京が場面のドラマは比較的標準語が多いのでチェックしてみましょう。
日本と全く違う文化
言わないことが日本の美だとすれば、中国でははっきり言うことが美です。相手が自分と違う意見ならまずは言ってみようという考えだからです。
ドラマの中でも思ったことを率直に語っています。中国人と日本人の表現の違いや文化の違いがドラマの中で見つけることができるでしょう。
中国のチャンネルはたくさん
広い中国ではテレビ局もたくさんあります。チャンネル”频道”(píndào)ごとに流す内容が決まっていて、あるものは二十四時間ニュースしか放送しません。
またあるチャンネルでは、ずっと音楽番組を流します。中には、日本との戦争を中心としたドラマを流し続けるチャンネルがあります。
中国のドラマはつまらないと言われてきましたが、最近は映像の技術、役者の演技力も上がり国内外から支持を受けています。
中国語の勉強の為、また中国の文化や考え方を知りたいという人はぜひ一度中国ドラマを見てみるとよいでしょう。