最初に覚えたいと思う中国語の中に、レストランでの会話というのがよくあります。
我要〇〇(wǒyào〇〇)というものですが、中国のレストランではこんな中国語は必要ありません。昔と違いそもそも店員を呼んで注文しないのです。
中国で店員を呼んで注文すると笑われる理由
中国レストランでの注文
久しぶりに中国に行った日本人は、中国のレストランでの注文方式が大きく変わったことに驚きます。テーブルの上にそもそもメニューがありません。
メニューがほしいので、店員にコイコイと手振りで呼ぶと、中国人店員に少し笑われながらこう言われます。
sǎoèrwéimǎbā
扫二维码吧
QRコードをスキャンしろ
なにやら机の上に張られているQRコードを携帯でスキャンするように促されるのです。
言われるままにスキャンすると「开始点单」(kāishǐdiǎndān)と表示ができます。「注文開始」という意味です。タップするとその店のメニューが出てきて、ほしいメニューを選ぶと値段が出てきて決定するという方法です。
中国において今はもう紙のメニューを見ながら、おかずを注文する時代ではないのです。もちろん注文だけでなく決済方法も現金ではなく、電子マネー支払いが一般的となっています。
なぜQRコードが進んだのか
といっても中国国内で急激にQRコード注文方式が進んだのは近年のことです。なぜ中国においてこうしたQRコード注文方式が一気にすすんだのでしょうか?
yuánláiyǒuèrwéimǎdiǎncānfāngshì
1、原来有二维码点餐方式
もともとQRコード決済方式を採用しているレストランがあった
liúxíngxīnguānbìngdú de yuányīn
2、流行新冠病毒的原因
コロナウィルスが流行したから
中国では日本よりも早く2013年からQRコード決済が取り入れられていました。そのあとすぐに、いくつかの最新型のレストランでは注文もQRコードでできるようになっていたのです。
システムはすでに中国にあったのですが、特に口頭での注文でも問題ないと感じるレストランがほとんどでした。
しかし2020年初頭にコロナウィルス(新冠病毒:xīnguānbìngdú)が流行し始め、人と人との距離が保てるQRコード決済方式は一気に中国に広がったというわけです。
QRコード注文のメリット
QRコードはコロナウィルスの蔓延防止にも一役買うことになりましたが、メリットはそれだけではありません。
QRコード注文は注文漏れを防ぐことになりました。注文と同時に決済も終わるので支払漏れも防げるようになりました。
何よりも今まで人が行っていたそうした仕事が減ったので、人件費の削減にもなったわけです。
さらに、レストラン側が注文データの管理を容易に行なうことができるようになりました。
注文データが集まれば、どんな季節にどんな商品が売れ筋なのかを分析するのにも役立つことが分かるようになったのです。
実は中国だけではない
日本にいるとあまり感じることがありませんが、じつはこのQRコードによる注文と決済は中国だけでなく、アメリカやヨーロッパ諸国においてももはや一般的です。
中国だけで進んでいるのではなく、もはや時代そのものが「店員に注文して人に支払う時代」から、「すべてQRコードを使う時代」に変化しているというわけです。
なぜ日本では導入されないのか
なぜ諸外国ではすでに導入されていてメリットも多いQRコード方式なのに、日本では採用されていないのでしょうか?
一つの原因としては「情報管理をされることを嫌がる国民性」があげられるでしょう。
何十年も前から諸外国では当たり前だったマイナンバーがやっと浸透してきた日本なのです。どうしてなかなか採用できなかったのかというと、日本国民がナンバーによって管理されることに対する反発が強かったからではないでしょうか。
買い物も交通もすべてQRコード方式が採用されると、自分がどんな乗り物に乗ってどこで何を買ったのかが全てデータとして残ることになります。
プライベート情報が残ることへの反発があるゆえに、日本企業としてもQRコード方式を採用しにくい背景があるようです。
「以前と同じ」というのが日本人の一番安心できる方法というわけですね。
変化しないといけない中国語の教科書
変化しなければいけないのは日本のレストランだけではありません。日本の本屋で売っている中国語の教科書も変化する必要があります。
レストラン会話の例文としてのっている「我要〇〇」(wǒyào〇〇)という注文会話はもはや昔ながらの中国語会話なのです。