オリンピックでは日本と中国の卓球対決が話題となります。
考えてみますと卓球は中国の国技なので、日本も競り合うものの結局のところ中国強しという結論になるのですが、実は中国国内で卓球という競技そのものが危ういのです。
移り変わる中国での卓球の立ち位置
中国での卓球の歴史
囲碁は中国が発祥の地として歴史が長いのですが、卓球(乒乓球:pīngpāngqiú)はさほど歴史が長くありません。
もともと卓球はイギリスで盛んにおこなわれていたテニスを、雨の日でも室内でしようと開発されたものがインドで始まり、それが近辺諸国に広がったもののようです。
中華人民共和国が1949年に設立された時に卓球が中国の国技(国术:guóshù)に定められたため、それから卓球といえば中国という構図ができたようです。
つまり中国での卓球の歴史はわずか100年程だということです。
中国での卓球の立ち位置
毛沢東が卓球が好きだったこともあり、中国ではいろんなところに卓球台が設けられ、老若男女(男女老少:nánnǚlǎoshào)が中国中で卓球しました。
実際卓球はボールが軽く、運動量も卓球台の近くを少し動くだけで済むので、元となったテニスなどと比べると女性も老人も楽しめるという利点もあり、中国人も国技として喜んで受け入れました。
いまや全ての学校に卓球台がありますし、小区(xiǎoqū)と呼ばれるマンションの敷地内にもほとんど卓球台が置かれています。
しかし時代の変化とともに卓球は老若男女のスポーツではなく、年配者のスポーツへと変化していっています。若者は他のスポーツに興味を持ち出しているのです。
若者が卓球より興味を持つスポーツ
今の若者たちからすると、卓球はかっこよくありません。地味なのです。卓球よりも若者が興味を向けているのはサッカー(足球:zúqiú)とバスケットボール(篮球:lánqiú)です。
午後は何かスポーツしようとなると、若者たちはサッカーやバスケットボールをするので、学校の構内で卓球台は寂しくたたずんでいます。
今親も子どもに卓球を習わせようとは思いません。女の子さえもバスケットボールをすることの方が卓球するより多くなっている状況です。
卓球への興味を再燃させるには
卓球への若者の興味を失わせた一つの要因があります。
zhōngguópīngpāngqiútàiqiángdà legēnběnméiyǒuduìshǒu
中国乒乓球太强大了,根本没有对手
中国の卓球が強すぎて、敵がいない
1988年のソウルオリンピックから2020年の東京オリンピックまでの間に、37個の金メダルのうち32個は中国がとりました。
中国が強すぎるゆえに盛り上がりに欠けるようになり、そのうえもともと少し地味であまり華があるスポーツでないのでやりたいという若者が減ったわけです。
移り変わる中国での卓球の立ち位置
上記のような理由で中国では若者を中心に卓球離れが進んでいます。
今回のオリンピックで男女ダブルスで奇跡的にも日本が中国に勝利を収めたのは、中国にとっては少し悔しいですが、国内で再び卓球への関心を呼び起こすことになるかもしれません。
日本が中国の良きライバルとしてこれからも成長を続ければ、中国卓球をも支える一助になれるというわけですね。