中国語を勉強していると日本漢字にはない難しい中国漢字に出会いますね。たとえば総画数が多い上に、いざ書こうとするとバランスが悪くなってしまう字の一つ「赢」はどうですか?
実はこの字には成功するための秘訣が隠されているのです。
成功の秘訣がここに?中国の難漢字「赢」
字を分解してみる
「输赢」(shūyíng 勝ち負け)で勝ちを意味する字は「繁体字」(fántǐzì 繁体字)で総画数が20になる「贏」(yíng)、「简体字」(jiǎntǐzì 簡体字)でも総画数17の「赢」(yíng)と表記します。
「西周」(Xī Zhōu 周時代・紀元前11—8世紀)の「金文」(jīnwén 古代の青銅器に記された銘文)で既に用いられていました。
“Yíng”zìchāifēn,wǒmenjiùhuìzhīdao,
“赢”字拆分,我们就会知道,
tā jiùyǒu“wáng”、“kǒu”、“yuè”、“bèi”、“fán” wǔzìsuǒzǔchéng。
它就有“亡”、“口”、“月”、“贝”、“凡”五字所组成。
「赢」の字を分解してみるとよくわかりますが、この字は5つの漢字「亡・口・月・貝・凡」で構成されています。
分解した五つの字一つ一つはそれほど難しくありません。繁体字と简体字の画数の違いは「貝」と「贝」の部分だけです。漢字の簡体化を進めても元の字からあまり変化しなかった理由がわかりますね。
五つの字が表すそれぞれの意味
最古期の「赢」は「貝」の部分が「虫」で「蠃」(luǒ)という字でした。こちらは今でも「蜾蠃」(guǒluǒ トックリバチ)という虫の名前に用いられています。
ところが紀元前5-3世紀の戦国時代になると「虫」の部分を「貝」に変えた「赢」の字が現れます。ではそれによってどんな意味の組み合わせになったのでしょうか?
“Wáng”zìdàibiǎowēijīyìshi,zàiwēijīláilínzhīqiányàoyǒuchōngfèn de zhǔnbèi。
“亡”字代表危机意识,在危机来临之前要有充分的准备。
「亡」の字は危機意識を表します。危機が来る前に十分な準備を整えておく必要があります。
“Kǒu”zìzhǐ de shìlínghuóyìngbiàn de gōutōngnénglì,
“口”字指的是灵活应变的沟通能力,
tóngshí yěyàoqīngtīngbiérén de xiǎngfa。
同时也要倾听别人的想法。
「口」の字は臨機応変に対応できるコミュニケーション能力を指します。同時に他の人の考えも注意深く聞かなくてはなりません。
“Yuè”zìbiǎoshìyàochénggōngjiùxūyàoshíjiān,yějiùshìshuōxūyàoyǒunàixīn。
“月”字表示要成功就需要时间,也就是说需要有耐心。
「月」の字が表しているのは成功には時間が必要だということです。つまり根気がいるのです。
“Bèi”zìzhǐ de shìyǒuxínghéwúxíng de zīchǎn,tāzài“yíng”zì de xiàzhōngchù,
“贝”字指的是有形和无形的资产,它在“赢”字的下中处,
yòuyǒuzīběn de yìsi。
又有资本的意思。
「貝」の字は有形の、また無形の財産を表します。それが赢の字の下の中心部分にあるので元手の意味もあります。
“Fán”zìzhǐ de shìyǐpíngchángxīntàiláiduìdài,dùliàngyàodà,yǎnjièyàokuān,
“凡”字指的是以平常心态来对待,度量要大,眼界要宽,
fánshì dōubúyàogāogūzìjǐ。
凡事都不要高估自己。
「凡」の字は平常心で臨むこと、度量が大きく、視野が広い状態を指します。何事においても自分を過大評価しないのです。
成功したいなら…
「赢」には「スポーツの試合や裁判などで勝つ」だけでなく「利益を得る」や「儲ける」の意味もあります。それで古代中国人は勝つため或いは利益を得るための五つの秘訣をこの一字に込めたのです。
Rúguǒnǐxiǎngyàochénggōng,bùjǐnyàoyǒuwēijīyìshi,yàoyǒugōutōngnénglì,
如果你想要成功,不仅要有危机意识,要有沟通能力,
yàoyǒuzīběndǐxiàn de tóngshí,yòuyàonàixīn,
要有资本底线的同时,又要耐心,
háiyàonénggòuchéngdānrènhéjiéguǒ de píngchángxīntài。
还要能够承担任何结果的平常心态。
もし成功を収めたいと思うなら、危機意識が必要なだけでなく、高いコミュニケーション能力、最低限の元手、それと共に根気強さ、そしていかなる結果も受け入れられる平常心が必要です。
正しい書き順
「赢」は中国人の学生ですら書きにくい字の筆頭に挙げるものの一つです。でも書き順通りに一つずつの字を丁寧に書いてみると意外にバランスよく形の整った字に書けるようです。
書く順は上から「亡」「口」、その次に真ん中の「贝」、左の「月」、最後に「凡」を書きます。一度試してみてください。
まとめ
難しい字でもその字に含まれる部位と意味が分かれば苦手意識が少し薄れるような気がするのですが、皆さんはいかがですか?