中国人と日本人の大きな違いは買い物の仕方かもしれません。基本的に日本人は節約を重視し、お金を使うより貯めようとします。
しかし中国人はお金を貯めるよりも使おうとする国民性なのです。それは最近よくいわれるある考え方が浸透しているためです。
中国人と日本人の買い物スタイル:お金に対する考え方の違い
目次
中国の年配者と若者-お金に対する考え方の違い
中国人でも年配者は勤俭节约(qínjiǎnjiéyuē)と言ってよく節約します。それは一昔前の中国の映画を見ればよく分かるでしょう。
ある映画では、学校でもう短くなって使えないと思えるようなチョークも大切に使う様子が映し出されていました。
いまでも年配者は決してお金を乱費しません。しかし今の若者は違います。
今の40代以下の若い人は、生まれた時から親たちに一定のお金がありました。よってお金を使うのは当たり前だと思っているのです。
もちろんお小遣い(零钱:língqián)やお年玉(压岁钱:yāsuìqián)で、自分がもらったお金の範囲で買い物をするのはさほど間違っているとは言えないでしょう。
しかし今の若者は自分の持っているお金以上の買い物をしようとするのです。
なぜ中国の若者は必要以上の買い物をするのか?
中国人の若者の多くは最新型のiphone、韓国式美容整形、学費の高い外国語教育など自分の財力に見合わないお金のかかる買い物を次から次にしようとします。
手元に少ししかお金がなくても分期付款(fēnqīfùkuǎn)と呼ばれる「分割払いシステム」が用意されてるなら、利子のことなど考えずにすぐ飛びつきます。
なぜ中国の若者はすぐに必要以上の買い物をしようとするのでしょうか?なぜなら次の考え方が今の中国人の若者に浸透しているからです。
zǎomǎizǎoxiǎngshòu
早买早享受
早く買えばそれだけ早く味わえる
これは今の中国のネット界で飛び交っている言葉であり、中国の若者がいつも口にしている言葉です。
合理的な中国人は「いずれお金が貯まったら買う予定のモノなら、ローンを組んででも早く買ったほうが、早く良さが味わえるじゃないか」と考えるようです。
ほとんどの若者が抱いている考え方なので、すでに他のローンが支払い終わってない状態なのに、別の新しい商品を買おうとしてもおかしなことをしている感覚はありません。
容易に予想できますが、若者にはそのすべてを支払うだけの財力はありません。結局はだれが払うのでしょうか?
結局は親や祖父母が…
若者たちはお金が払えなくなり、結局は親に相談します。親の貯金高を知っているからです。親がダメなら、祖父母に相談します。孫がかわいいので結局節約を重ねて貯めた資金を提供してしまうのです。
悪いだけとも限らない
面白いのはこうした親不孝の若者たちの買い物癖を、中国政府として注意しようとはしていないことです。
「欲しいものがあればお金がなくてもどんどん買う」この今の中国人若者に溢れている精神は、実のところ中国経済を支える大きな要因となっているのかもしれません。
中国一の金持ちが一番幸せだった意外な時期
中国人といえば何よりもお金が大好きです。お金こそが成功の基準という文化において、中国一のお金持ちになることは誰もが夢見ることでしょう。
それを実現した中国人は幸せになったのでしょうか?彼は意外なことを言っているのです。
中国で一番お金持ちは?
中国人に中国一のお金持ちは誰ですか?と質問するとほとんどの中国人はこう答えます。
mǎyún
马云
ジャック・マー
日本語ではジャック・マーという名前で知られているアリババグループの創始者です。彼は中国国内においてお金持ちの代表とみなされています。
実際に彼のウェキペディアを見てもわかる通り、2014年、2017年、2018年の中国国内長者番付(富翁名次表:fùwēngmíngcìbiǎo)で一番となっており、2014年においてはアジア一のお金持ちになっています。
そんな彼はどれほど幸せで鼻高々なのだろうと中国人は思っているようですが、実際のところ彼は自分の幸福感について意外なことを述べているのです。
お金持ちとなったけれど…
彼はお金が大好きな国の一番のお金持ちになり、羨望のまなざしで見られていました。
しかし中国一のお金持ちとなった2014年のインタビューで、彼は感想を聞かれた時に中国人が思いもしない次のような感想を述べたのです。
qiánduōméiyìyì,yīyuèná 90 kuàishízuìkuàilè
钱多没意义,一月拿90块时最快乐
お金がたくさんあっても意味はない、ひと月に90元稼いでいた時が一番幸せだった
中国で一番の金持ち(首富:shǒufù)になった時の感想としてこう答えたのです。理由として「今はあまり幸せではない、プレッシャーが大きすぎるからだ。お金を多く持っていれば、お金を求める人ばかりが群がってくる」と述べました。
彼が一番幸せだった時に稼いでいた90元というのは、当時のレートでいうと日本円で1700円です。
自給自足で基本生活する農村では90元の収入でも十分にやっていけます。彼はプレッシャーがない簡素な生活の時が幸せだったと振り返っているのです。
中国人の反応
一番のお金持ちになった時の彼の意外な感想は、お金大好きな中国人が聞いて衝撃的なものでした。
彼は中国国内で相手が誰であろうと本音でものをいうことで有名なので、本心を述べたことは明らかですが、それでも多くの中国人の反応は大方以下のようなものでした。
háishizhuànqiánzuìzhòngyàoba
还是赚钱最重要吧
やっぱお金を稼ぐことが一番重要でしょ
ジャック・マーの感想を中国人に伝えてどう思うか?と聞いたところ、ほとんどの中国人の返答は「やはりお金を稼ぐことが一番重要だと思う」というものなのです。「確かに彼が言っていることも一理あるかもしれない」という肯定的な返答はほとんどありません。
なぜ彼のメッセージは届かないのか
中国人は「この中国社会で成功するにはたくさんお金を稼ぐしかない」と刷り込まれているので、彼の本音を聞いてもそうそう考えが変わることはありません。
毎日新聞や雑誌など中国メディアが報じるものは「お金を稼ぐことこそが成功であり幸せである」という記事ばかりです。流行りの歌も、バラエティー番組の内容も、全ては「お金持ちこそ幸せ」という情報を繰り返し流し続けているのです。
ジャック・マーのインタビューの返答は、中国という国においては異例中の異例の内容でした。いくらジャック・マーと言えども「お金持ちになっても幸せでない」という意見は「そんなはずはない」と高を括っているわけです。
ジャック・マーだけではない
誰もがうらやむお金持ちになって「お金は重要ではない」と述べるのは彼だけではありません。
何兆円もの資産を有したアップルの創始者のスティーブ・ジョブスも人生の最後に病床で「富の追及は人をゆがませる。愛する家族に愛情を注ぐことの方が重要だ」と述べたと言われています。
本当の幸せを学ぶとき
中国人の多くは、いわば病気ともいえるお金第一主義にとらわれ、人生を通じてお金儲けします。
家族と分かれて単身赴任で生活し、やがては老化し、病気になり、人生の最後の最後に病床でやっとこう思うかもしれません。「自分はお金を追及した人生を送ってきたが、果たして幸せだっただろうか…」