人生一度は食べてみたいと思う料理の一つ、それはフカヒレ(鱼翅:yúchì)でしょう。中華料理屋に行ってもちょっと高くて手が届きません。
フカヒレはもともと中国宮廷料理として始まったと言われていますが、今も中国人は食べているのでしょうか?
中国宮廷料理の秘密:フカヒレの歴史と現代の問題
フカヒレの歴史
フカヒレ(鱼翅:yúchì)は昔から中国の次のように言われていました。
gǔdàibāzhēnzhīyī
古代八珍之一
古代八大珍味の一つ
昔から八大珍味としてフカヒレは親しまれていました。
その歴史は何と西暦960年から始まった宋朝(sòngcháo)までさかのぼると、中国の公式ウェブ辞書の百度百科では説明されています。そう、フカヒレの歴史は中国人曰く、すでに1000年にもなるのです。
当時からフカヒレは高級食材で主に宮廷料理として提供されていました。その後現在に至るまで主に重要なお客様を迎えるときのもてなし料理として定着してきたのです。
フカヒレが手に入らなくなると
フカヒレを獲ったあと、そのサメは皮膚呼吸ができなくなり死んでいくことから世界的にフカヒレ漁への反対が強まってきました。
もともと高級食材だったフカヒレがこうした世界的な反対によって手に入らなくなるという問題に、中国人はどう対処したのでしょうか?
中国人らしい次の方法で対処しました。それは…
zhìzuòrénzàoyúchì
制作人造鱼翅
人工フカヒレを製造する
手に入らない貴重なものでも、もし需要があり高く売れるのであれば、似たものを作ってしまおうというのが、上手にお金儲けをする中国人の正常感覚です。
人工フカヒレの作り方
日本人でも人工フカヒレの存在は何となく聞いたことがあるかもしれません。でも一体どうやって作るのでしょうか?
中国のサイトには堂々と人工フカヒレの作り方が紹介されています。次の2つの材料を使うそうです。
gōngyèmíngjiāo
1,工业明胶
工業ゼラチン
hǎizǎosuāngān
2,海藻酸酐
海藻酸化ナトリウム
この名前だけ聞いても何やら怪しそうです。イメージとしては海藻から抽出されたものを加工して透明の繊維状にしてそれを工業用ゼラチンでくっつけるという感じでしょう。
人工フカヒレの危険度
正しい方法で作れば大した問題はないと人工フカヒレ製造方法のサイトには書かれているものの、中国では人工フカヒレが人体に及ぼす影響について、次のようなニュースが新聞を賑わしています。
sānfēnzhīyī degānyúchìgéchāobiāoháiyǒubùfēnjiǎjīgǒngchāobiāo
三分之一的干鱼翅镉超标,还有部分甲基汞超标
三分の一の人工フカヒレから基準値を超えたカドミウムとメチル水銀が検出
人工フカヒレそのものにも問題がありそうですが、その人工フカヒレ製造で使う材料が汚染されているのと、その製造過程の衛生状態に問題があり、出来上がったフカヒレの1/3は有害だそうです。
中国のフカヒレ禁止令
広く出回っている人工フカヒレが危険であること、さらに本物であってもその収穫方法に世界的に反対が強まっていることが原因で、2013年中国で「公的宴会における贅沢禁止法」が施行されました。
その中にはフカヒレが名前をあげて禁止食材に挙げられています。
更に食べる機会は減るであろうフカヒレ
上記で考えてきたように、今後本物フカヒレを口にする機会はますます減っていくことと思われます。
本来は魚の肉を食べる人類ですから、背びれや尾びれを食べるのも同じことをしているだけです。フカヒレを食べることそのものが悪いわけではないでしょうが、危険な人工フカヒレ問題と、世界的な反対風潮は思いに留めておきたいですね。