海外旅行に行ったときに注意しなくてはいけないのはチップ制度です。国外の従業員の中にはチップをお客からもらうことを前提としてお給料が設定されている場合もあります。
中国という国でチップ(小费:xiǎofèi)が必要なのかどうか見ていきましょう。
中国でチップを渡す必要はない?
目次
中国でチップはいらない
結論から申し上げますと、中国でアメリカのようなチップは必要ありません。
ホテルに泊まった時も枕元に小銭を置く必要もなく、初めに飲み物を持ってきたウェイターに少し握らせる必要もないのです。
もともと中国にはチップという文化がないというものもありますが、実はチップを払わなくてもいい別の理由があります。
中国でチップがいらない理由
接客に対する見方
日本のように接客業たるものチップをもらわなくてもお客様を第一にするのは当然なのでチップは必要ないというわけではありません
チップがいらない理由は以下の通りです。
kèrénhéfúwùyuánshìpíngděng de
客人和服务员是平等的
お客とサービス員の立場は平等だから
お客とサービス員は平等というのが中国の考え方です。というか中国という国は「人はみな平等」という考え方なのです。男女平等ですし、社会的弱者と言われる老人や子供を取り分け同等に扱う文化なのです。
お客に仕えるという気持ちでウェイターやホテルのボーイをしている中国人はほとんどいないでしょう。
注文を聞いたり料理を運ぶこと、ドアを開けたりお客の荷物を持つことが自分の仕事と思ってやっているだけです。
中国においては「愛想なく接客業をすることが基本」なのでチップは必要ありません。
正規料金に含まれている
チップがいらない二つ目の理由は以下の通りです。
zhàngdānzhōngbāokuòfúwùfèi
帐单中包括服务费
請求書にサービス料金が含まれている
ちょっと良いホテルやレストランの請求書を見ますと、その中にしっかりとサービス料金(服务费:fúwùfèi)が含まれています。従業員にチップを払うと二重払いになるので必要ありません。
もしも中国にチップ制度があったら
もしも中国にチップ制度があったらどうなるのでしょうか?おそらく中国のいたるところで混乱が生じるでしょう。中国という国ではお金をもらうことこそが成功の基準で、お金をもらうチャンスがあるなら絶対それを逃しません。
もし中国のウェイターやボーイがチップをもらうことが許されているなら、彼らはチップをもらうまで引き下がらないでしょう。人前でのマナーやモラルをあまり考えないので、真顔で「チップくれ!そうでないと仕事しない!」と平気で言ってくるようになると思われます。
中国という国にチップ制度がないのは良いことです。
チップをあげたいとき
中国にもいい人はたくさんいます。人のためを思って要求されてもいない親切なことをしてくれる人もいます。そういう方には心からチップをあげたいと思うことでしょう。
その場合は10元(150円)程度が相場と言われていますが、あまり大した額ではないので、感謝はあまり伝わりません。むしろ帰り際にフロントの人に感じの良かったサービス員の名前をあげて「あの人の接客態度が良かった」と褒めてあげるのがいいでしょう。
もう一つ中国で感謝をお金で表す方法があります。それは多めに払って釣銭を要求しないという方法です。これはよく見られる方法です。どう言ったらいいですか?
búyònglíngqián
不用零钱
おつりはいらないよ
よくしてくれたタクシーの運転手などに言えるでしょう。
ウェイター・ウェイトレス
しかし中国語ではまず「ウェイターさ〜ん」「ウェイトレスさ〜ん」と呼んでから「注文したいんだけど」「おあいそお願いします」と用件を伝えます。
日本のようにちょっと手を振っただけで気をきかして来てくれる店員などいないし、またうまい店ほど混んでいてうるさくてごった返しています。
忙しくて数少ない店員をつかまえるには叫ぶしかないからです。
お馴染みの呼び方
ところで、このウェイター、ウェイトレスの呼び名が、時代とともにけっこうコロコロ変わって来ました。5年くらい前までは、おなじみの
xiǎo jiě
小姐!
ねーちゃん
が普通でした。今でも使えないことはないです。ただやっぱり品があるとは言えないし、呼ばれた方もあんまり気分は良くないですね。
そして何より、男性のウェイターには使えません。
一般的な呼び方
それで、その後は
fú wù yuán
服务员!
店員さん
と呼ぶのが主流になりました。これなら男女どちらにでも使えます。
fú wù yuán cài dān
服务员,菜单!
店員さん、メニュー持って来て
fú wù yuán diǎn cān
服务员,点餐!
店員さん、オーダーとって
fú wù yuán gěi wǒ xiǎo wǎn
服务员,给我小碗
店員さん、取り分けるお椀ちょうだい
fú wù yuán mǎi dān
服务员,买单!
店員さん、おあいそ
と、勢い良く言いましょう。
間違っても、完全な文章で「我要菜单」とか「请给我菜单」などと長ったらしい言い回しをしようとしないでください。
ぼそぼそと「我要・・・」などと言い始めたところでくるっときびすを返して別のテーブルへ行かれてしまうでしょう。向こうだって時給で働いてますから。
中国通なら
ただ、この「服务员」という表現、何となく相手を軽く見ている感じがないとも言えないですね。
自分がこう呼ばれたら・・・と想像してみましょう。「あたし店員さんかあ・・・ふうっ、まあいいけどさあ」
それでひとつ、最近よく耳にする、とっておきの呼びかけをお教えしましょう。
相手がいい気持ちになり、しかも雑踏の中で自分たちのテーブルにきてもらう確率を高める呼び方、それは・・・
ei měinü
诶,美女!
ねえ、そこの美女!
ei shuàigē
诶,帅哥!
ねえ、そこのいい男!
こう呼びかければ、あなたもぐっと粋な客。大混雑の中で、我こそは美女と思うウェイトレスがくるっとこちらを振り向きます。
いそいそとテーブルまで来てくれて、その後のオーダーも実にスムーズ。さて、何人振り向くか?!?
(ちなみに、この「美女」の発音、はからずも日本語の「メニュー」の発音とほぼ同じだ。「えい、メニュー!」と言えばOK、これなら簡単!)
感謝は良いこと
中国にはチップ制度はありませんが、人と人が接するうえでやはり感謝を示すのは重要です。
チップという方法はとらないにしても、親切な行いには感謝を示すようにして国境の垣根を超えた人間のつながりを維持していきたいものですね。
カフェやレストランで店の人に来てほしい時、日本語なら「すいませ〜ん」ですね。
この「すいません」は実に便利で、相手が男でも女でも、注文・支払・水が欲しい・キャベツのおかわりなど、万能タイガーバームの如く使えるスグレツールです。