中国将棋と日本将棋は駒の再利用という点など全く違うゲームなのです。しかし中国の囲碁と日本の囲碁は実はほとんどルールが一緒なので、よく国際大会なども開かれます。
今回はそんな囲碁(围棋:wéiqí)の歴史や、将棋との違いを見てみることにしましょう。
中国から伝わってきた囲碁・将棋との違い
囲碁の歴史
囲碁の歴史は将棋の歴史よりも長いようです。日本において現代の本将棋の形がはっきり表れているのは江戸時代ですが、日本の囲碁の歴史においては奈良時代にまでさかのぼることができるようです。
日本の囲碁は中国から伝わってきました。中国の囲碁の歴史はとても長く、なんとあの三国志で有名な関羽(关羽:guānyǔ)も碁を打っていた記述があり、さらに昔の孔子(孔子:kǒngzǐ)も囲碁について触れています。
囲碁は目盤に黒と白の石があれば遊べるゲームであることを考えても、長い歴史があるのは当然であり、さまざまなゲームの基礎となったのも理解できるでしょう。
日本と中国ルールの違い
将棋は中国と日本では全く別物なので、日本将棋の棋士と中国将棋の棋士は全く試合になりません。しかし中国の囲碁棋士と日本の囲碁棋士は初手合いでも試合になります。なぜならほとんどルールが一緒だからです。
でも若干のルールの違いがあります。どんな違いなのでしょうか?
一番大きな違いはコミの違いでしょう。コミというのは先着する黒番にハンディーキャップ(不利条件;búlìtiáojiàn)をどれほど与えるかという事です。
将棋も先着する先手が有利なように、囲碁も先着する黒番が有利です。そこで白番とのバランスを保つために設けられたのがコミという制度です。
- 日本ルールでコミは6.5目
- 中国ルールでコミは7.5目
つまり中国ルールのほうが、白のほうが多くハンディーキャップがあるので有利なのです。
囲碁界での日本の立ち位置
囲碁はルールがほぼ一緒なので、よく中国・日本・韓国の三か国で国際大会が開かれます。日本の立ち位置はどんなものなのでしょうか?
悲しきかな、日本は中国や韓国と比べて明らかに何十年もほとんど結果を残せていません。国際的にみると日本の囲碁選手は実力が劣っているとみなされているのです。
日本人にとって国内棋戦で賞金を稼ぐことがメインで、国際大会はついでに出場するようなものですが、中国韓国の選手にとっては貴重な賞金獲得のチャンスなので力の入れようが違うからだという人もいます。
しかし中国と韓国はいつもトップクラスで競い合っているのに、日本だけ蚊帳の外でまったく勝てない感じというのは悲しいですね。
囲碁の良い影響
囲碁は中国から来たもので、囲碁を通してよい文化も流れてきています。それは…
nánnǚpíngděng
男女平等
中国文化の中で男性選手も女性選手も扱いは同じです。女性選手が参加するときは、単に大会に花を添える役割として参加するのではありません。一選手として参加し立派な成績を残します。
これは日本の囲碁界にも浸透してきており、日本のプロ囲碁界は男女の垣根がありません。女流プロとして区分けされることなく男女平等に戦っているのです。
ゲームは文化の影響を受ける
上記のように将棋と囲碁はよく並べて紹介されますが、囲碁はまだ中国韓国との交流がある分、国外の文化を受けやすい環境のようです。
将棋ではまだ日本の伝統的な要素が残っているので、対局は正座、イス対局などはありえませんが、囲碁では対局しやすさを考えてイス対局です。
このようにゲームという観点から見ても、中国の影響というのは知らず知らずに日本にも及んでいるのがわかるでしょう。