経済発展著しい中国ですが、結婚事情となるといまだに伝統的な考え方が残っています。子供は大抵自由なタイミングで自分の望む相手との結婚を願いますが、親の考えは違うのです。
今回は子供に結婚を迫る親と、結婚を迫られる子供とのギャップをご紹介します。
中国結婚事情ー結婚を迫る親、迫られる子供
子供を待ち受ける「催婚大军」
催婚大军(cuī hūndàjūn)
親にとって子供の結婚は一大事です。自分たちの老後の生活がかかっているからです。
でも子供には自分のやりたい勉強や仕事があって、恋愛はしても結婚なんてまだ先のことだと思っています。とはいえそろそろ30歳となると、いよいよ周囲から結婚を迫られるようになります。
春節で実家に帰る若者を待ち構えているのが「催婚大军」、つまり結婚を催促する親と親戚です。
2019年2月に発表された《中国逼婚现状调查报告》
(Zhōngguóbīhūnxiànzhuàngdiàochábàogào)によると、アンケート対象者の8割が両親から結婚を催促されたことがあると回答しました。
中でも25~35歳の世代が受ける催婚の圧力が最も高く、どう対処したらいいかネット上で相談する人も少なくありません。彼らはどんな圧力を受けているのでしょうか?
Zhǎobudàonánpéngyoujiùbúyàowǎngjiādǎdiànhuà。
找 不 到 男朋友 就不 要 往 家打 电话。
彼氏を探せないなら実家に電話してこなくていいからね。
Méiduìxiàngguòniánjiùbiéhuílái le。
没 对象 过 年 就 别 回 来了。
結婚相手がいないなら年越しは帰省するんじゃないよ。
Wǒmendōushìwèilenǐhǎo,nǐ suìshuyuèdà,kě xuǎnzéfànwéiyuèxiǎo。
我们 都 是 为了你 好,你 岁数 越 大,可 选择 范围 越 小。
私たちはみんなあんたのために言ってるんだよ。年がいけばいくほど選択の範囲は狭くなるんだからね。
Suíbiànzhǎoyīgejiùxíngle,yāoqiúbúyàotàigāo。
随便 找 一个就 行 了,要求 不 要 太 高。
適当に一人選べばいいんだ、そんな高望みしちゃだめだよ。
Nǐbútìzìjǐxiǎng,yěyàotìwǒmenxiǎngxiang。
你不替自己 想,也要替 我们 想想。
あんた自分のことは考えなくていいけど、私たち親の身になって考えておくれよ。
催婚より怖い「逼婚」
逼婚(bīhūn)
2016年にはその名も「逼婚」というTVドラマが放映されました。狭義では暴力や威嚇によって結婚を強迫するのが「逼婚」です。
例えば、帰省した子供の目の前で「この結婚を承諾しないなら農薬を飲んで自殺する」と脅す親がいます。
そこまで極端でなくても、同意するまで容赦なく「相亲」(xiāngqīn 見合い)をさせられ続け、結婚を迫られる若者もいます。
親の側はそこまで強迫しているつもりはないようですが、ネット上の書き込みを見てみると子供の感じ方は深刻です。
Nǐ bèijiālǐbīhūnjuéwàngdàoshénmechéngdù?
A:你被 家里逼 婚 绝 望 到 什么 程度?
家の者から結婚を強迫されたあなたの絶望感はどのくらいのレベルに達していますか?
Xiǎngyàotiàolóu,líjiāchūzǒu、duànjué yǔjiārén de guānxi。
B:想要 跳 楼、离 家 出 走、断绝 与 家人 的 关系。
高層階から飛び降りて死んでしまいたい、家出してしまいたい、身内との関係を断絶してしまいたい。
催婚は逆効果?苦しむ子供たち
どちらかというと親思いでおとなしい子供たちは、自分の気持ちや現状をはっきり親に告げられず、苦しむ場合が少なくないようです。
杭州では32歳の男性が両親による催婚を苦に練炭自殺を図りました。幸い一命はとりとめましたが、元はというと両親がとにかく結婚を催促するために「彼女がいる」と嘘をついたのが始まりでした。
それを真に受けて喜んだ両親は30万元の貯金をはたいて車を買い与えたのですが、当然その嘘は次の嘘でごまかさなければなりません。そして遂にごまかしきれなくなった男性には、ほかに逃げ道がなかったのです。
Tā de fùmǔyěàohuǐbùyǐ,tāmenyǐwéicuīhūnjiùnénggěiérzizhǐmíngrénshēngfāngxiàng,
他的父母也 懊悔不已,他们以为 催 婚 就 能 给儿子 指明 人生 方向,
méixiǎngdàoquèkuàiyàohàisǐérzi。
没 想 到 却 快要 害死儿子。
彼の両親はひどく後悔した。彼らは結婚を勧めることが息子の今後の生き方の方向を示すためになると思っていたのだが、あわや息子を死なせてしまうほどだとは思っていなかった。
これは決して大げさなニュースではなく、毎年のように限界まで追いつめられてしまう子供たちの事例があります。
まとめ
催婚は逆効果だと親が気付いたころには遅いというのは皮肉な現実ですね。こうした風潮の中で新しい結婚観が生まれています。