中国語学習において、フレーズ集や教科書で習ったフレーズを実際に中国で使ってみたいと思うのは当然のことでしょう。しかし、中には中国人にとって不自然であったり、誤解を招いてしまうようなフレーズがあるのです。それぞれの国で好まれる表現方法というのがあります。日本はすべてをオブラートに包んで言うことがよしとされているので「~かもしれません」などと可能性を示すにとどまったりします。
そうした日本人好みのフレーズの中でも、特に中国で使ってはいけないものをいくつかご紹介します。
中国で使ってはいけな日本人好みの中国語フレーズ
目次
日本人の思考と中国人の感じ方
日本人が良かれと思って使っている表現でも、それを中国で中国語にして表現すると中国人にとってはいら立ちしか感じないことがあるので注意が必要です。
中国に行く日本人は、日本文化の考え方をそのまま中国に持ち込みます。日本で美徳とされている遠回しな(委婉:wěiwǎn)言い方や相づちを中国語でも表現しようとします。
日本人は相手をリスペクトしながら上手に中国語で表現できた自己満足していますが、中国人の受け取り方は全く違います。
遠回しの表現をすると中国人は、この人は何を考えているのか分からない。うそっぽい。と感じ距離を置きたくなるようです。日本思考の中国語は本当に自己満足で、何らいいことは一つもありません。
中国では使わないほうがいい日本人好みの表現
日本ではよく使う表現ですが、中国人が好まない表現を3つ挙げましょう。
qǐng
1、请
shìma
2、是吗?
duìbuqǐ bùhǎoyìsi
3、对不起 不好意思
それぞれどんな表現なのでしょうか
请(qǐng)どうぞ~
请(qǐng)つまり「どうぞ~」は丁寧にお願いごとをするときの表現で、クッション言葉が大好きな日本人がとりわけ好きな表現です。しかし请(qǐng)を使う中国人は皆無です。
例えば「どうぞ座ってください」を文法書ではこう表現すると書いてます。
qǐngzuò
请坐
しかし実際に中国人が言うのはこんな感じです。
nǐ zuò yíxià ba
你坐一下吧
ちょっと座りなよ
请(qǐng)を使いません。なぜ中国人は请(qǐng)を使わないかというと、请(qǐng)は心が伴わない感じでうそっぽく感じるからです。
ときどき日本人の中国語サイトや本で「请。この表現はよく使うので覚えましょう。」などと書いていますが、実際の中国人は使ってません。
请(qǐng)を使うのは、取引先との会議など限られたビジネス会話上だけで、请(qǐng)を日常会話で使っていると「私は中国にいても日本文化を引っ張っています」とアピールしているようなものです。
是吗?(shìma)そうなんですか
相づちが大好きな日本人は相手が何かを言うたびに、是吗?(shìma)「そうなんですか」と言葉をはさみます。日本人は丁寧に対応している気になっていますが、中国人はどう感じますか?
「私が言っていることを疑っているのか?」
是吗?(shìma)には「えっ、そうなの?」という意味合いもあります。是吗?(shìma)を連発すると、中国人は「この日本人は中国人のぼくの考えを受け入れようとしていない」と感じます。
对不起(duìbuqǐ) 不好意思(bùhǎoyìsi)すいません
中国人は本当に悪いと思ったときにのみこの表現を口にします。
日本人は日本文化に基づいて、「ありがとう」の代わりに「すいませんねぇ」を使うことでしょう。例えばお土産をもらった時などです。これは「相手に気を遣わせてしまって悪かった」という感情から出ています。
しかし中国人からお土産をもらったときに、日本人が思わず「不好意思~」(bùhǎoyìsi)と言うと、中国人はとても気を悪くします。なぜですか?
喜んでくれると思ったのに悲しんだからです。对不起(duìbuqǐ) 不好意思(bùhǎoyìsi)の多用は単なる日本文化なので、中国にいるときは注意しましょう。
なにか間違いをした時、心から謝らないといけない時のみ使いましょう。
日本文化は日本のみで
日本にいる外国人が頭をペコペコ下げて「すみません」と連発しています。
本当はそれぞれの国の文化があるのに、それをかなぐり捨てて日本人と上手にやっていくために自分を変えてくれているのです。日本人は日本文化に合わせてくれて気持ちよく感じるでしょう。
ならば中国に行ったときは日本文化、つまり心の伴わない社交辞令を捨てて、心からの言葉のみを表現するよう心がけるといいかもしれません。