中国は昔から仏教と道教の国で、キリスト教の背景など全くないと感る人も多いようです。
ところが中国の歴史家は実は中国も以前はキリスト教の影響をかなり受けていたと考察しています。それは中国の漢字に如実に表れているのです。
知ってビックリ!キリスト教由来の中国漢字
無神論の国ではなかった中国
今や中国は無神論の国の象徴とみなされるほど、神を信じません。ですが以前は神を信じる国であったようです。
中国宗教史という本によると次のように説明されています。
shāngdài chēng zuìgāo de shénlíng wèi dì huò Shàngdì , Zhōu dài zé chēngzhīwéi tiān huò tiāndì
商代称最高的神灵为帝或上帝,周代则称之为天或天帝
商の時代に最も高い神を「帝」や「上帝」と言っており、周の時代には「天」や「天帝」と言っていた
中国に最近までいた皇帝(huángdì)の「帝」という漢字も、以前中国にはこの神(上帝:shàngdì)を崇拝する習慣があったことを物語っています。
今でも中国人は唯一神のことを老天爷(lǎotiānyé)と呼び、無神論と言いながらも神様に頼っています。
キリスト教由来の中国漢字
中国に昔キリスト教的概念があったことは、中国にある漢字の起源に表われています。
いくつかあるキリスト教起源の漢字のうち、今回は船(船:chuán)、貪欲(婪:lán)、魔(魔:mó)、美しい(美:měi)の4つの漢字の語源を見ていきましょう。
船(chuán)の語源
中国語の「船」という言葉ですが、これは日本の漢字の意味と同じく「大きな船」を表わす言葉です。この漢字は「舟」と「八」と「口」から成り立っています。語源はどこにあるのでしょうか?
中国語では人を数える単位を口(kǒu)と言います。例えば「私の家は5人です」を中国語で、
wǒjiā wǔ kǒu rén
我家五口人。
と言います。つまり「八」と「口」というのは「8人の人」もしくは「8人の家族」を指します。8人の人が「舟」に乗った物語と言ったら何ですか?
そう、キリスト教の聖書に出てくるノアを含めた8人の家族が生き残った大洪水の物語です。
実際中国の語学辞典にも船という漢字は聖書中のノアが作った大きな船を起源とすると説明されています。
婪(lán)の語源
「婪」は日本にはない漢字です。「婪」は貪欲さを表す言葉で、よく「貪」という漢字とセットで贪婪(tānlán)と表現されます。
「自分のものではないものを欲しがる」事を指す漢字なのですが、この語源は何でしょうか?
「婪」は、二つの「木」を一人の「女」が見つめているという構成になっています。
中国の語学辞典によると、二つの木は聖書中のエデンの園にあった神様が食べてはいけないといった「善悪を知る木」とその近くにあった「命の木」を指していると説明されています。
「女」というのは最初に禁じられた木の実を食べてしまったエバという女性を指しているようです。
「本来自分のものではないのに、蛇にそそのかされて自分のものにしてしまった」という聖書中の記述は「婪」の語源としてはピッタリです。
それにしても仏教国の中国の漢字の語源になっているのは興味深いですね。
魔(mó)の語源
「魔」という漢字の語源も先ほど聖書中の記述と由来が同じです。
「广」は日本では「まだれ」という部首ですが、中国語では「ある程度広さがある園」を指す言葉です。
そこに二つの「木」があり、それを見つめているのが今度は「鬼」です。この語の語源は何でしょうか?
先ほどと同じく、二つの木があるエデンの園に今度は「鬼」であるサタンが近づいて、人間を魔の手に掛けようとしている様子が語源であるとされています。
中国にも魔を表すのちょうどいい多くの伝承があると思われますが、語源が聖書にあるというのは興味深いです。
美(měi)の語源
最後に考えるのが「美」という漢字です。これは中国から日本に伝わってきた漢字で、日本人もよく使います。この漢字の語源は何でしょうか?
この漢字は「羊」と「大」で構成されています。なぜ「大きな羊」が美しいとされるのでしょうか?
それは、聖書の中で古代イスラエル人が神様に捧げものとして要求されていたのは「肥えた羊」だったからです。
「大きく太った羊」は神様から見て美しいものだったというのが言葉の由来です。
固定概念を広げよう
中国4000年と言われますが、そのルーツを見ると仏教や道教一色ではないようです。中国の歴史を紐解くと思想や文化において、かなりの程度パレスチナ地方の影響を受けていたことが分かります。
日本人も日本という国の文化や宗教は日本で発展させてきたと信じたいものですが、歴史を紐解くと中国のように、当時の様々な外国思想の影響を受けていたことが分かるかもしれません。