中国のマッサージ店で、健康にいいからとマッサージ師によく薦められる伝統的民間療法の一つが刮痧(かっさ)です。日本ではあまりなじみがないかもしれませんが、かなり強烈な効果があります。
今回はこの刮痧をご紹介しましょう。
中国カッサ(刮痧)民間療法とは?
刮痧とは?
中国語の「刮」(guā)にはいくつかの用法がありますが、ここで使われている語には「刀などの道具を使ってある物の表面を擦ることにより、表面についているものを擦り落とす、こそげる」意味があります。
また「痧」(shā)は「コレラ、暑気あたり、ジフテリアなどの急性病」を指します。
「刮痧」(guā shā)は薬用オイルや清水を塗布した皮膚を、竹片や水牛の角の板などを原料にした、縁が滑らかで平たい「刮痧板」(guā shā bǎn)という特殊な道具で何度も繰り返し擦る治療法です。
体のどの部位をどの程度、どの方向に向かって何回くらい擦ればいいかといった知識と技術が必要とされる治療法でもあります。
中国医学での刮痧は夏から秋にかけて「中暑」(zhòng shǔ 暑気あたり)や「外感」(wàigǎn 外的要素による風邪などの症状)、
「肠胃道疾病」
(chǎngwèi dào jíbìng 胃腸関連の病気)の比較的簡易な治療法として常用されています。
症状の重さによって皮膚の表面をこすった跡が明るい赤、紫、黒っぽい赤などの色になる現象を「出痧」(chū shā)、その浮き出た痕を「痧痕」(shā hén)といいます。
Tōngguò guā cèng,shǐ pífū xià máoxì xuèguǎn pòliè,
通过 刮 蹭,使 皮肤 下 毛细 血管 破裂,
yūxuè shèn tòu dào pífū zhōng,zào chéng yūbān。
淤血 渗 透 到 皮肤 中,造 成 瘀斑。
Pífū de zhè xiē biànhuà kě chíxù yī tiān zhì shù tiān。
皮肤 的 这 些 变化 可 持续 一 天 至 数 天。
削り擦ることにより皮膚の下の毛細血管を破裂させ、淤血を皮膚の中に滲み出させて内出血のあざを作る。皮膚のこうした変化は一日から数日続く。
皮膚内出血の部位と度合いで症状を判断
一般的に健康体の人に刮痧をしても「痧痕」は現れず、ただわずかに皮膚が赤くなり軽く熱を持つだけで、時間とともに体はむしろ軽くなりスッキリします。
この効果を求めてマッサージ店に来る常連客は全身マッサージ、足つぼマッサージ、背中のオイルマッサージ、吸い玉治療、刮痧のフルコースをじっくり2-3時間かけてしてもらいます。
「按摩师」(ànmó shī マッサージ師)が背中全体を擦ってくれる際、健康な部位は痛くもなんともありません。ところが不思議なことに、こっている部位や冷えている部位を擦られると大変痛いのです。
Shā xiàng kě pànduàn kāngfù chéngdù,
痧 象 可 判断 康复 程度。
ruò chū sàn shā,yánsè qiǎn dàn,shuō míng bìngqíng jiào qīng,róngyì kāngfù;
若 出 散 痧,颜色 浅 淡,说 明 病情 较 轻,容易 康复;
chū shā jiào duō érqiě diǎn dà chéng kuài,zǐ sè xuèbāo děng,
出 痧 较 多 而且 点 大 成 块,紫 色 血包 等,
shuō míng bìngqíng jiào zhòng,duō cì bǎojiàn cái néng kāngfù。
说 明 病情 较 重,多 次 保健 才 能 康复。
内出血のあざの現れ方で快復の程度を判断できる。
もしあざが散らばっていて薄い色ならば病状は軽く、快復も早い。あざが割と多く、しかも大きな塊のようで、紫色をした腫れ物などが出たならば病状は重いため、快復には複数回の治療が必要だ。
中には、本来病状が悪いはずなのにあまりはっきりとした痧象の出ない人もいます。それを何とかして出そうとして皮膚を無理に擦ってはいけません。
どんな効果があるの?
刮痧には主に「预防保健」(yùfáng bǎojiàn 健康を保つための予防)と「治疗疾病」(zhìliáo jíbìng 疾病治療)の二つの作用があるとされています。
中国医学では体内の血流やリンパ液の流れがスムーズであるのがよいとされています。コリや痛みがあるのは何らかの滞りがあるせいだと考えるのです。
そのために有毒物質や老廃物を排出する「排毒」(pái dú)を重要視しますが、刮痧はその効果が大きいとされています。
それでマッサージ店では「利尿排毒」(lìniào pái dú 利尿デトックス)や「发汗排毒」(fā hàn pái dú 発汗デトックス)の効果を一層高めるために、刮痧をする前後にコップ一杯の湯冷ましを飲むよう勧められます。
また刮痧には緊張した筋肉をほぐす効果もあります。
まとめ
約二千年前の医術書「黄帝内经」(huángdì nèijīng)の中に記述されて以降、唐、元、明いずれの時代の書物にも詳述されてきた刮痧ですが、時代劇の中でも見かけることがあります。
現代でも大活躍の民間療法です。中国に行った時には、ぜひ一度お試しください。