中国語には簡体字と繁体字と呼ばれる2種類の字体があります。どちらも100%互換性のある同じ中国語なのですが、どのような違いがあるのでしょうか?
今回は、簡体字と繁体字の特徴や違いに加え、それぞれの漢字を変換する方法をご紹介します。
簡体字と繁体字の違いを徹底解説!変換ツールの使い方も紹介
目次
中国語は世界でも最も難しい言語
中国語は世界で最も習得が難しいと言われている言語のひとつです。
理由は発音の難しさと国や地域によって使われる字体が異なるからです。
中国語の発音はピンインと呼ばれる読み方と声調と呼ばれる声のトーンの組み合わせで成り立っています。
そして、中国語は簡体字と繁体字という2つの字体が存在します。
繁体字圏と簡体字圏で全く違った表現や意味になることもあります。
中国語が世界で最も習得が難しいと言われる理由が理解できますよね。
普段から漢字を使う日本人にとっては、知らない中国語でも意味を推測できることがあるかと思います。
特に繁体字は日本語と同じ表記も多く存在しています。
反面、日本語にない音が数多く存在するので、発音習得に苦戦する方も少なくありません。
簡体字とは?
繁体字よりも画数が少なく、日本語よりもシンプルなものが多いのが特徴です。
現在は、中国本土やシンガポール、マレーシアで使用されています。
もともとは繁体字(繁体字:fántǐzì)しかなかったのですが、戦争後の革命機運に乗って徐々に採用されていきました。
文字の構成や統一性を目的とした政策とも言われており、1950年代の漢字簡略化法案が導入の始まりとされています。
繁体字とは
繁体字はある程度昔からある元となる中国漢字ですが、今は台湾や香港、マカオなどでしか使われていません。台湾に留学に行くと繁体字を使って勉強することもあるかもしれませんが、簡体字で授業をする学校もあります。
しかし中国国内でも有名な歌手(歌手:gēshǒu)や俳優(演员:yǎnyuán)は、台湾人か香港人です。中国政府の考え方は台湾も香港も一緒ですから、中国大陸でも彼の繁体字の曲が流れてきます。
さらに香港の公用語である広東語(广东话:guǎngdōnghuà)の歌も繁体字で表示されるので、そのまま中国大陸で放送され中国でも広東語を話す区域で今も繁体字をよく目にします。
台湾や香港の他に、アメリカのチャイナタウンでも繁体字が使われています。
综艺节目(zōngyì jiémù)と言われる「バラエティ番組」でも中国国内でほぼ許されていないため、中国国民は香港や台湾のものを繁体字でみることになります。
こうした背景から、多くの中国人は繁体字の読み書きができます。
簡体字と繁体字の違い
簡体字を勉強すると、これは便利でいい!と感じるでしょう。
例えば日本語で「リンゴは幾つですか?」と聞くとします。
繁体字の場合
jǐ gè pínguǒ
幾個蘋果?
簡体字の場合
jǐ gè pínguǒ
几个苹果?
比べてみてどうでしょうか?「幾」→「几」、「個」→「个」、「蘋」→「苹」となります。
簡体字はとても簡単だと思いませんか?日本語でも苹果(pínguǒ)は「林檎」、几个(jǐ gè)は「幾つ」と表現しなくてはいけないことを考えると、いかに簡体字が簡略化されているのか分かります。
簡体字と繁体字で異なる表現
簡体字と繁体字では、字体だけでなく表現そのものが異なるときがあります。
「地下鉄」を簡体字、繁体字それぞれで表すと、
簡体字の場合
dì tiě zhàn
地铁站
繁体字の場合
jiéyùn
捷運
画数の違いだけでなく表記そのものが変わってしまうため、簡体字圏か繁体字圏かによって使う字体を変える必要があります。
中国向けの発信をするときは対象に沿った字体選択を心がけましょう。
それぞれの字体が使われる地域やシーンに合わせて使えるようになると、中国語への理解も深まります。
日本語の漢字の難しさ
日本語は漢字というのは、とても複雑な繁体字と簡略化された便利な簡体字の真ん中くらいの難しさです。
パソコン社会となり、今は簡体字でも繁体字でも、パソコンが変換してくれる時代となりました。しかし何かの申し込みをするときなど、ときどき手書きをしないといけない時があるでしょう。
中国で簡体字に慣れた日本人が、日本に帰ってきたときに日本の漢字を書くととても面倒臭く感じるのです。
中国語の簡体字に慣れてしまうと、日本語の漢字と簡体字を混ぜて使ってしまうこともあるかもしれません。それくらい簡体字は画数が少なくシンプルな字体になっています。
簡体字と繁体字の変換法
繁体字の文章を簡体字に変換したいとき、また簡体字の文章を繁体字に変換したいときはどうすればよいでしょうか?
今はインターネットで何でもできる時代です。日本のyahooの検索でもいいですし、中国のでもバイドゥ検索(百度搜索:bǎidù sōusuǒ)でもいいでしょう。「簡体字⇔繁体字」と入力して検索してみましょう。
いくつかの「簡体字⇔繁体字」の無料変換ができるサイトが見つかるはずです。そこに文章を張り付けて変換することをお勧めします。
ただし、変換後フォントがバラバラとなるので「SimSun 」などのよく使われる中国語フォントに統一することを忘れないようにするとよいでしょう。
表記によって設定されているフォントが異なることを理解しておくと、字体が変わってもすぐに対応することができます。
まとめ
今回は、簡体字と繁体字の違いについてご紹介しました。
中国語は2種類の字体に加え、使われる国や地域にも違いがあるので、どちらを学習すればいいのか戸惑うこともあるかもしれません。迷った時は簡体字の学習をおすすめします。
中国政府の正式な文書や標準語は簡体字で構成されているからです。
まずは広く使われている字体から覚えていきましょう。
少しずつ中国語の知識が増えると、読める単語も増えて学習が楽しくなってくるはずです。
中国人とのテキストコミュニケーションを通して使い慣れていきましょう。