日本で現在人気急上昇の調味料、それは四川料理では欠かせない花椒(huājiāo)つまり「サンショウ」です。
日本人でも、その独特の風味から病みつきになる人が多い花椒ですが、今回はその秘密に迫っていきたいと思います。
四川料理の魅力:中国の花椒、病みつきになるのはなぜ?
目次
日本の山椒と花椒の違い
花椒(huājiāo)は辞書では「サンショウ」と訳されるので、日本人は「サンショウ」と聞くとウナギを食べるときにかける風味のある粉、「山椒」を思い浮かべる人が多いでしょう。しかし「山椒=花椒(huājiāo)」ではないのです。
日本の山椒は日本産のサンショウ属の「山椒」と言われる植物の花、葉、果実、果皮を用いたものです。
中国の花椒は同じサンショウ属ですが、違う植物の中国産の華北山椒を用いたものです。中国の花椒は花、葉、果実の部分は使わず、乾燥した果皮の部分のみを使用します。
辛さの種類
日本では味を説明するとき「甘い」か、「辛い」か、「酸っぱい」かという味の分け方をします。「辛い」(辣:là)という味は通常一つしかありません。
しかし中国の、特に四川料理はほとんどが辛いので、「辛い」だけでは伝わりません。中国人に「あの料理は辛かった」と話すと必ずこう聞かれます
nǎ zhǒng là ne
哪种辣呢?
何辛かったの?
辛いだけでは伝わらず、何辛いのかを言わないと中国人には味が伝わらないのです。
辛さの種類をいくつか紹介しましょう。
málà
麻辣
舌がヒリヒリ痺れるような辛さです
suānlà
酸辣
発酵したものの酸っぱさを伴った辛さです
tián là
甜辣
甘みの感じられる辛さです。日本人の「辛い」はこれです
xiāng là
香辣
ベースとなる麻辣(málà)に加えてニンニクなどが効いて、香りのする辛さです。
花椒はなぜ病みつきに?
花椒は麻辣(málà)です。華北山椒の果皮を粉状にしたものがスープに入っていたり、果皮そのものがたくさん入っていたりすると、口にしたとたん、口内がビリビリ痺れます。
最初は慣れませんが、しばらくすると病みつき(上瘾;shàngyǐn)になります。
麻辣(málà)は本当に癖になります。四川の方の多くは外国に行くとしばらくはその場所の本場の料理を食べますが、麻辣(málà)以外の味を「おいしい」とは感じられない自分に気づきます。
香港に四川の方が旅行に行く場合でも、行ってしばらくは香港料理を食べますが、結局物足りず香港にある火鍋店に入っていくというのはよくある光景です。
四川以外の場所の方はそこまで他の味を受け付けられないという事はありません。それだけ麻辣(málà)は惑溺性の強い香辛料という事になります。
好きでない人もやがては好きに
日本人の多くは、初めこの麻辣(málà)を受け付けられません。辛すぎるのです。しかし四川のレストランのメニューの8割がたは麻辣(málà)の味です。選択肢がないゆえに1年、2年とその味を食べ続けるとどうなるでしょう?
不思議なことにその辛さに耐えられるようになります。それどころか、その辛さが恋しくなるのです。
もし機会があれば、是非みなさんも麻辣(málà)の味をあじわってみてくださいね。