中国の学生が身につけるホンリンジンが赤い理由

    1. 中国経済・社会

    中国人は小学生になると、スカーフを身につけるようになります。それは赤い色が特徴のホンリンジン(红领巾hónglǐngjīn)というものですが、そのスカーフが赤いのには驚くべき理由が隠されているのです。

    今回はホンリンジンがどういうものなのかを見ていきましょう。

    中国の学生が身につけるホンリンジンが赤い理由

    どんな子どもたちが着けていたのか?

    一昔前だと、ホンリンジンは一部の学生しか身につけることが許されていないものでした。

    では、どんな子どもたちが身につけることを許されていたのでしょうか?

    chéngjì hǎo cái yǒu hónglǐngjīn dài

    成绩好才有红领巾戴 

    成績が良い子だけがホンリンジンを着けられる

    少し前まではクラスの中で成績が良い子だけが先生からホンリンジンを渡され、着けることができました。みんなよりも優れている証しだったので、着けている子は自豪(zìháo)、つまり「誇り」を感じることができました。

    中国 黄色い制服を着た子供たちのグループが手を振っている。

    今はほぼ義務化のホンリンジン

    昔は成績の良い子だけが着けていたホンリンジンですが、今は小学校入学時から、ほとんどの子どもたちがつけています。

    今はどんな理由でつけているのでしょうか?

    xiànzài hónglǐngjīn shì shàoxiānduì de biāozhì

    现在红领巾是少先队的标志。

    現在、ホンリンジンは中国少年先鋒隊に入隊している証拠

    今ほとんどの学校では、成績が良いか悪いかに関係なく、中国少年先鋒隊(少先队: shàoxiānduì)という共産党の学生組織に加入した証拠としてホンリンジンを身につけます。

    この組織に加入しさえすれば、どんな生徒も鼻高々の気分が味わえるわけです。

    では悪いことをした学生はどうなりますか?よい子ではないので当然…

    mòshōu hónglǐngjīn

    没收红领巾

    ホンリンジンを没収される

    つまり今の中国社会において、学校でホンリンジンを着けていない子を見かけるなら、それはなにか悪いことをした証拠とみなされます。

    ホンリンジンの由来

    いまや中国でどの子供も普通につけているホンリンジンなのですが、自分たちがなぜ赤いスカーフを着けているのかなど、全く考えていません。

    しかしあのスカーフが「赤」(红色:hóngsè)なのには理由があるのです。

    中国の公式百科事典である百度百科(bǎidù bǎikē)の説明を見てみましょう。

    hónglǐngjīn shì hóngqí de yìjiǎo , xiàngzhēng zhe gémìng de shènglì

    红领巾是红旗的一角,象征着革命的胜利。

    ホンリンジンは赤旗の一部であり、革命で勝利を収めたことを象徴するものである

    xiàngzhēng zhe shàoxiānduì de qiánshēn , láodòngtóngzǐtuán jīnglìle xiě yǔ huǒ de kǎoyàn

    象征着少先队的前身,劳动童子团经历了血与火的考验。

    少年先鋒隊の前身である労働童子団が経験した血や火を象徴している

    労働童子団(劳动童子团láodòngtóngzǐtuán)が活動していたのは抗日战争(kàngrì zhànzhēng)の時です。

    つまり日本軍に抵抗するために流された子供たちの血や、日本軍との戦いの火を忘れないためにつけられている赤色で、同時に日本軍との戦いに勝利を収めたことを思い起こすための赤であるというわけです。

    中国にある赤いスカーフをかぶった男性の彫像のグループ。

    国家政策の意図

    日本人からすると「中国はどうしていまだに戦争時代のことを掘り返すのか」と感じることでしょう。

    しかしどのような政策を取ればもっとも国民を治めやすいのかというのは、それぞれの国によって違うので、お互いの国の政策を尊重する必要があるでしょう。

    16億人とも言われる中国国民を収めるには、国民の矛先が国家に向かないために、いつまでも共通の敵を作っておいたほうが良いのかもしれません。

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