世界中どこでも「食材」の味は同じはず。中国でも同じ食材を購入し、日本の調味料で味付けすれば日本と同じ味が出せると思っていませんか?
ところが中国に行くと、同じ食材でも味、食感が全く違うのです。その代表例がピーマン(青椒:qīngjiāo)かもしれません。
日本のピーマンとは一味違う!中国ピーマンの辛さの理由
日本のピーマン、形と味
いつも食べている日本のピーマンは、肉厚で横に太いのが特徴です。味は少し辛いですが、炒めると甘みが増し、辛くはないでしょう。
しかし本場中国のピーマンは全く違うのです。中国でチンジャオロース(青椒肉丝:qīngjiāoròusī)を頼もうものならピーマンは辛くて食べられやしません。
中国のピーマン、形と味
中国人は市場でピーマンを仕入れます。ピーマンの色は同じですが、日本のピーマンのように肉厚で太くはなく縦長いものが売っています。味はどうでしょうか?
zhōngguó de qīngjiāotèbiélà
中国的青椒特别辣。
特别(tèbié)というのは程度を表す言葉で、很(hěn)よりも強い表現です、中国で販売されているピーマンは基本、日本人はとても食べれないと感じるほど辛い(辣:là)のが特徴です。
なぜ中国のピーマンはこれほど辛いのでしょうか?
そもそもピーマンとは?
どの国のピーマンもそもそもは唐辛子(辣椒:làjiāo)の仲間です。そのため日本のピーマンも中国のピーマンも、見た目や色が似ているのは当然でしょう。
ただしなぜ中国で売っているピーマンだけがあんなに辛いのでしょうか?その理由を探るべく、まずは中国のピーマンの定義を調べてみました。
実際中国語版ウィキペディアの百度百科(bǎidùbǎikē)の「青椒」の項目には次のような解説がなされています。
qīngjiāoyóuyuánchǎnzhōngnánměizhōurèdàidìqū de làjiāozàiběiměiyǎnhuàérlái
青椒由原产中南美州热带地区的辣椒在北美演化而来
ピーマンというのは中南米の熱帯地区の唐辛子が北アメリカで変化したもので、
jīngchángqīzāipéixùnhuàhéréngōngxuǎnzé
经长期栽培驯化和人工选择
長い期間をかけて品種改良を行ない、人の手で改造されたものです
shǐguǒshífāshēngtǐjīzēngdà , guǒròubiànhòu , làwèixiāoshī
使果实发生体积增大,果肉变厚,辣味消失
そのためピーマンの体積は大きく太くなって、辛さもなくなりました
つまり中国も「ピーマンというのはそもそも肉厚で辛くないものだ」というのが公式見解です。それでは核心に迫りましょう。それなのに「なぜ中国のピーマンは辛い?」のでしょうか?
中国のピーマンの定義
ある人がそのことを中国語版yahoo知恵袋である百度知道(bǎidùzhīdào)で質問していました。回答は次のようになっています。
yǒu de dìfangyěbǎméiyǒuchéngshú de làjiāojiàoqīngjiāo
有的地方也把没有成熟的辣椒叫青椒。
ある地方ではまだ熟していない唐辛子をピーマンと呼ぶ
zàiguìzhōuyídài , qīngjiāozhǐ de shìháiméiyǒuchéngshúbiànhóng de hónglàjiāo。
在贵州一带,青椒指的是还没有成熟变红的红辣椒。
貴州付近では、ピーマンとはまだ赤くなっていない唐辛子のことだ
wèidàozìrányěshìlà de。
味道自然也是辣的。
もちろん味は自然と辛いことになる
eryuánxíng de qīngjiāoyīnwèiwèidàodàitián , zàidāngdìjiàozuòtiánjiāo
而圆形的青椒因为味道带甜,在当地叫做甜椒
丸っこいピーマンは味が甘く、それらの場所では甘ピーマンと呼ぶ
結論
それでは結論です。なぜ中国のピーマンは辛く、日本のピーマンは辛くないのでしょうか?
それは中国、特に南方地方ではピーマンとは品種改良されていない単に青い唐辛子が大きくなったものを指すからです。
中国ではピーマンを食べるというのは、でかいだけの唐辛子を食べているのと同じなので、炒めても変わらず辛いというわけです。
中国で日本と同じようなピーマンを食べたいのであれば、どうすればいいですか?日系のデパートに行きましょう。そして品種改良後の唐辛子つまり、甘いピーマン「甜椒」(tiánjiāo)があるかどうかを尋ねたらいいのです。