中国語を学習するときに覚えておいたほうがいいのは、テストに合格するための勉強と、日常会話ができるようになるための勉強は違うということです。
目次
中国人が使う単語や文法は試験と全く違う
日常会話にはあまり役立たないテストの勉強
HSK(汉语水平考试:hànyǔShuǐpíngkǎoshì)などの中国語の試験に合格したいという人もいますが、ほとんどの人は「ただ中国人と日常会話ができるようになりたい」という動機で中国語を学習していることでしょう。
では、どうすれば日常会話能力を伸ばせまるのでしょうか?
HSKなどのテストに合格するためには、文法(语法:yǔfǎ)の勉強が重要になります。ただ日常会話能力を伸ばすのに、文法は重要ではありません。それはなぜなのか。理由を説明しましょう。
日常会話というのは話し言葉(口语:kǒuyǔ)です。文法書に書かれている書き言葉(书面语:shūmiànyǔ)は実際にはあまり使いません。日本語を例にとってこの違いを説明しましょう。
書き言葉と話し言葉の違い
親しい友人が同世代の新しい友達を紹介してくれたとします。その新しい友達の名札に名前が書いてありますが、読み方が分かりません。
日本語の生活会話で使うのは下記の1と2のどちらでしょうか?
1、私は〇〇と申します。あなたのお名前は何と読みますか?
2、自分は〇〇って言うんですが、お名前なんてお呼びしたらよろしいんでしょうか?
1番は書き言葉、2番は話し言葉です。文法から日本語を勉強した中国人は1番のようにしか尋ねることができません。しかし文法を勉強することなく、日本で日本語を学んだ中国人は2番のように尋ねることができるのです。
この例から何が学べますか?
日常会話のフレーズを覚える
先ほどの例から学べるのは、「日常会話能力を伸ばす上で重要なのは、文法の勉強よりも耳から覚えること」という点です。
赤ちゃんは文法書で言語の勉強などしません。ただ耳から勉強するのです。同じように生きた生活会話を伸ばしたいなら、文法書の中国語ではなく、生のネイティブ会話にたくさん触れる必要があります。
でも日本にいながら中国人が実際に使っている日常会話に接するためにはどうしたらいいのでしょうか?2つの方法があります。
zàirìběngēnzhōngguóběndìrénshuōhuà
1、在日本跟中国本地人说话。
日本で中国人ネイティブと会話する
yìzhítīngshēnghuóhuìhuà de lùyīn
2,一直听生活会话的录音。
ひたすら日常会話の録音を聞く
経費をかけて中国人と話す
日本で中国人の友達を作ってその人たちといつも中国語でコミュニケーションが取れるなら、自然と日常会話を学べます。しかしおそらく日本で中国語で会話してくれる中国人の友達を作るのは難しいでしょう。立場を逆にして考えてみてください。
出張で中国に行ったとします。海外出張ですからそれなりに忙しいことでしょう。その時近所にいるほとんど日本語が話せない人がやってきて「日本語の会話能力を上げたいから、時間を取って自分と日本語で会話してほしい」と言います。しかも無料で。
会話しようと思いますか?おそらく思わないでしょう。それなりに忙しいし、疲れているからです。
同じように日本にいる中国人もそれなりに忙しいので、何の見返りもなしに日本人と友達になって、辛抱強く中国語で会話しようとは思いません。
世界中どの国でもそうですが、言語の勉強のためにネイティブと話すには、ある程度経費を掛けないといけないのです。
会話の上達にはネイティブの生の中国語に接するのが一番なのですが、では「正直、お金がない」という場合はどうしますか?
ひたすら日常会話を耳に流す
教育というのはある程度のお金がかかります。しかし、お金がない人でも会話を身につけたいことでしょう。その場合のおすすめの方法は「ひたすら生活会話を耳に流す」ことです。
耳に流す生活会話のフレーズは短いほうがいいでしょう。では、どこで日常会話のネイティブ発音を手に入れますか?
100円ショップです。中国語生活会話のCDというのがありますので、それを会社の行き帰り、食事を作るとき、寝るときなど、とにかくいつでも耳に流しておきましょう。
まるで意味が分からなくても気にする必要はありません。おなじフレーズを100回も聞けば、自然と耳から中国人が使うフレーズと、中国人独特のイントネーションが脳裏に焼き付きます。
そうです。このように中国語の日常会話というのは、「耳を通して脳裏に焼き付けるという作業」によって習得するものなのです。
日常会話の習得において文法書は参考程度に
日常会話を身につけたいなら文法書は「なんで中国語でこの表現をこういう風に言うんだろう」と、根拠を知りたくなった時の裏付け程度に使いましょう。
日常会話を身につけたいなら、「文法ではなくまずは耳から」という秘訣を忘れてはいけません。