漢字がわかる日本人が中国語を勉強するのは他の国の人より簡単です。漢字から意味を想像して意味を理解できる場面も多いでしょう。
しかし、ある程度中国語が分かってしまう日本人だからこそ陥りがちな「中国語の読み方問題」というものがあるのです。
日本人が気づかない中国語の発音・読み方の落とし穴!
目次
日本人特有の2つの問題
日本人が間違ってしまう中国語の読み方は2通りあります。
bùzhībùjuéshòurìyǔ de dúfǎ de yǐngxiǎng
1、不知不觉受日语的读法的影响。
bùzhībùjuéfāchūláirìyǔkǒuyīn
2、不知不觉发出来日语口音。
それぞれどのような間違いか見てきましょう。
日本語読み
不知不觉(bùzhībùjué)という言葉ですが、これは「知らず知らずのうちに」という意味です。
「受~影响」(shòu~yǐngxiǎng)は「~の影響を受ける」という意味で、日语的读法(rìyǔ de dúfǎ)は「日本語の読み方」という名詞です。
つまり、日本人の中国語読みの最初の問題点は「知らないうちに日本語読みの影響を受ける」ということになります。
読み間違い例
たとえば次の言葉
rìběnzào
日本造
日本製
日本人はこれを何と誤読してしまうのでしょうか?
rìběnzòu
日本造
もしくは
rìběnzuò
日本造
と読み間違えてしまう人が多くいます。
造(zào)を「zòu」と読んでしまうのは日本語の「創造」や「構造」など「ゾウ」という読み方が染みついているから。
造(zuò)という読み間違いをするのは、日本語は「作る」「造る」のどちらも「つくる」と発音するからですね。
中国語を勉強したことがある日本人が初めに覚えるのは「作」「做」「坐」「座」などの「zuò」という発音です。
中国語では「作」「做」「坐」「座」はすべて「zuò」という発音するのですが、「造」だけは「zào」と発音するのです。
つまり、日本語の「作」と「造」の読み方が同じであることに加え、中国語の「zuò」という発音に慣れてしまったために読み間違いをしてしまうというわけです。
日本語なまり
2番目の日本人が陥りがちな読み方問題、それは日语口音(rìyǔkǒuyīn)「日本なまり」です。
中国語を聞くことに慣れてくると、これはどの国の人が話している中国語なのかすぐわかるようになります。韓国人の中国語はモゴモゴとこもったような音になることが多くあります。
それに対して日本人はというと、多くの場合は「カタカナ読み」になるのです。
原因は中国語の勉強の上で絶対やってはいけないこと、カタカナでピンインを打つことにあります。
例えば…
wǒshìrìběnrén
我是日本人.
よく出てくる例ですが、日本人は学び始めのときにこれに
ウォ3シー4リー4ベン3レン2
我是日本人
と書いて、そのカタカナ発音を覚えてしまいます。
英語で例えるなら「I am Japanese.」を「アイ アム ジャパニーズ」と覚えてしまうようなものですね。
同様に中国人が日本人の「ウォ3シー4リー4ベン3レン2」という読み方聞くとかなり違和感を感じます。
それだけではなく、場合によっては相手に通じないなんてことも。
せっかく勉強した中国語が通じない、なんて悲しいことにならないよう、正確な読み方の点で中国語学習は決して妥協してはいけないんですね。
母音の発音
カタカナ読み以外に気をつけないといけないことは中国語の母音の発音です。日本人は中国語の母音を発声するときにどう注意したらよいのか見てみましょう。
「a」の発音は、日本語の「あ」と読んでも通じはしますが、中国語の「a」は正確にはもっと口を大きく開けて発音します。
「e」の発音は、日本語の「え」と読んでも通じません。中国語の「e」は喉から発声する音です。
「i」の発音は、日本語の「い」と読んでもある程度通じますが。中国語の「i」は日本語の「い」よりももっと口を横に広げて、子どもが怒って「イーダ」と発声するような音となります。
「o」の発音は、日本語の「お」と読んでも通じはしますが、中国語の「e」と同じく喉から発声する音となります。
「u」の発音は、日本語の「う」とはかなり違います。日本語で「う」と発声すると結構喉で音を出しているのがわかるでしょう。ですが中国語の「u」は唇を尖らして口先で発声する音なのです。
「ü」は日本語にはない母音で習得が非常に難しく、残念なことに独学で勉強した人はほとんどが間違った発音をしています。「ü」の発音の感覚としては「い」と発音する口の形で「う」と発音するイメージです。
母音を正確に発音しないと…
カタカナ表記ではなく正確な母音の発声がなぜ必要なのか、よく分かる分かりやすい事例を一つ上げてみましょう。例えば「zi」 と「zu」、この二つのピンインはどう発音すればいいのでしょうか?
この「zi」 と「zu」は日本人の耳にはどちらも「ズ」と聞こえます。そこで子どもを意味する孩子(háizi)を発音では、読み仮名を「ハイズ」と表記してしまいます。
でも日本人がカタカナで発音する「ハイズ」は、中国人にとって母音のiがuのように聞こえて(háizu)と聞こえてしまいます。それは日本人がハイズとカタカナで発音しようすると自然と口がちょっと尖るからなのです。
孩子(háizi)の「zi」の母音は「i」なので、かなり意識して口を横に引っ張って、母音「i」の口の形を崩さないようにして「ズ」と発音しないと中国人にはまったく別の音に聞こえてしまうというわけです。このことからも母音の重要さがわかるでしょう。
子音の発音
続いて子音の発音ポイントです。日本人が子音を発音するうえで注意しないといけないのは、有気音と無気音です。
よく出てくるのは子音の「b・p・m・f」ですが、bとmは無気音で日本人が普通に発声する方法と同じです。普通に発声するだけなので口の前にティッシュペーパーを広げてboとかmoと発音してもティッシュペーパーは揺れません。
p・fは有気音なので、日本人はかなり意識して息をたくさん吐きながら発声する必要があります。口の前にティッシュペーパーを広げてpoとかfoと発音すると激しく揺れます。
このような有気音と無気音は、カタカナで表記してもなかなかうまく発音できないのではないでしょうか。
中国語というのは日本語とはまったく違う発声方法なので、日本語の似ている音で表記して発音しても残念ながらうまくいかないのです。
日本人特有の問題に陥らないため
続いてどうしたら日本人特有の落とし穴に陥らないで済むのかを考えていきましょう。カタカナ発音表記を書かないだけでなく、次の点に留意すれば、日本人特有の問題を避けることができるでしょう。
búyào zhī yīgèrén liànxí fāyīn
1,不要只一个人练习发音
一人で発音練習をしない
bàituō zhōngguórén jiūzhèng zìjǐ de fāyīn
2,拜托中国人纠正自己的发音
中国人に自分の発音を正してもらう
zài zhōngguó huò táiwān liúxué
3,在中国或台湾留学
中国か台湾に留学する
一人で中国語の発音練習をしない
日本人特有の発音・読み方の問題に陥ってしまうのは、日本人の昔ながらの勉強方法に原因があります。
外国語の勉強というと、日本人はテスト対策としてひたすら英単語の綴りを覚えたり、文法の勉強をしたりと、机の上だけで勉強してきました。
文法という分野においては確かに一人で勉強してもよいのですが、文法を勉強しているときに、書いている外国語をついつい発音してみているのではないでしょうか?
例えば英語のflowerというつづりを覚えているとします。何度かノートにこのつづりを書きながら「えーと、花はflower、フラワーフラワー」と口に出しながら覚えるというものです。
実は日本人があまり気にしていないこの小声の発音が、自分でも気付かないうちにしっかり脳にインプットされているのです。
ネイティブが発音するflowerと、日本人が発音するflowerがかなり違う原因はここにあると思いませんか?これは声調言語の中国語発音ではなおのことなのです。
あまりいわれてはいませんが、発音という分野において、一人で中国語を勉強するときには決してその中国語を口に出さないと意識することはとても重要です。
さもないと日本人特有のネイティブとはかけ離れた発音を無意識のうちに身につけてしまうことになるのです。
中国人に自分の発音を正してもらう
これはすべての人にいえることかも知れませんが、人間というのは人に間違いを指摘されるのがあまり好きではありません。
世界的にみると日本人は真面目な性格の人が多いので、諸外国の方と比べると中国語の発音を正確なものにしようと努力するほうです。
しかし、その日本人でさえネイティブの人に「中国語の発音を正してください」とはなかなか言えないことが多いのです。
しかし、中国語ネイティブの方に訂正してもらわないと、自分がおかしな発音をしているということにさえ気付けず上達は大幅に遅れてしまいます。
もし発音訂正してくれるネイティブの先生がいないなら、シャドーイングや自分の録音を聞くなどを行うことによって、誤った発音にならないように心がけることもできるでしょう。
中国か台湾に留学
時間もお金もあり、本格的に中国語を身に付けたいという場合、もっともよい方法は中国か台湾に留学することです。
中国や台湾の学校で中国語を勉強したほうがよくわかるからというわけではありません。中国語文法などの説明はむしろ日本人の先生に教えてもらったほうがよくわかるでしょう。
それでも海外で中国語勉強をしたほうがいい理由は、日本人独特の発音にならないためです。
赤ちゃんが自国の言語を正しい発音で話せるのは「正確な発音しか聞いたことがない」ためです。
逆を言えば、なぜ日本人に変な癖がつくのかというと、「日本に住んでいるので日本語の影響を受けるから」なのです。
実践的に使える中国語を身に付けたいなら、中華圏への海外留学を考えてみましょう。できればまだ全く中国語の勉強をしていない時(零基础:líng jīchǔ)に行くのがいいでしょう。
そう、中国語において赤ちゃんと同じ状態で耳に正確な発音のみを流すのです。
日本にいながら正確な発音を身に付ける
しかし、海外留学をする場合は、多くの時間や費用を捻出する必要があります。
学校に行ったり、働いたりしながら、もしかすると主婦や介護をしながら、合間を縫って中国語の正しい発音を学びたい場合はどうしたらいいのでしょうか?
今はインターネットが発達している時代です。言語の勉強もオンラインが主流となっています。日本にいながらオンライン授業で正確な発音を教えてもらうことができるでしょう。
チャイニーズドットコムはオンラインで中国人のネイティブの先生を紹介しています。
ぜひ日本にいながら中国人ネイティブの先生を探し、発音を教えてもらいましょう!
中国のどこの出身なのかは重要でない
「中国は広くて方言もたくさんあるので、できれば北京出身の人がいい」などという人がいます。でも、中国人ネイティブである限り、どこの出身の先生でも、さほど気にしなくてもいいでしょう。
日本人の場合に置き換えるとわかりやすいかと思いますが、東京人の親から育てられた日本人の日本語と、北海道や九州の親から育てられた日本人の日本語に大差はありません。
もちろん地方のなまりは多少ありますが、北海道の人も九州の人も方言と標準語を使い分けることができます。どの出身の人でも日本語を流ちょうに話すネイティブであることは変わりありません。
同じように中国語を勉強するうえで、中国人の先生の出身地を気にしすぎる必要はないでしょう。
近年中国では義務教育から普通語(普通话:pǔtōnghuà)をすべての生徒に教育しており、地方の人は方言も話せますが、きれいな共通語も話せます。
日本に住みながら正確な発音を身に着けたいのであれば、ぜひ近所やネット上で中国人ネイティブの先生を見つけて発音練習を受けるようにしましょう。
まとめ
日本人が陥りやすい発音・読み方の落とし穴、それは安易にカタカナ表記に頼ってしまうということでした。決して声調言語の中国語にカタカナをふってはいけません。
日本人独特の中国語の間違った読み方に陥らないためには中国人ネイティブ、もしくは正しい中国語の発音をマスターしている日本人に間違いを指摘してもらうことです。
しっかり綺麗な発音を習得して、ちゃんと通じる正しい中国語が話せるようになるといいですね。