人口が16億とも20億とも言われている中国には、建設業界で働く職人も驚くほどの数がいます。
中国職人の仕事ぶりは日本職人からするとあまりにも雑です。しかし彼らの工事を批判する前に、中国職人の考え方と彼らの腕を知っておく必要があるでしょう。
中国の建設業界職人の考え方と仕事の質
中国職人の仕事ぶり
中国にも左官(泥水:níshuǐjiàng)や塗装(油漆工:yóuqīgōng)、電気工事士(电工:diàngōng)などの職人がいます。彼らが重視することは何ですか?スピードです。
勾配も考えずにコンクリートを塗り始め、養生を一切せずにペンキを塗り始め、電気工は圧着もせずに手でよじって電線を接続します。
もちろん手抜き工事後、地面に水はたまり、床にペンキが落ちまくり、ちょっとした振動で電気配線がはずれてしまいます。
なぜ良い仕事をしないのか?
日本の職人は中国人の仕事ぶりを見て「お前たち、職人としての誇りは無いのか!」と叫びたくなるでしょう。そう叫んだところで中国人はなんとも思いません。
なぜでしょうか?中国職人の考え方は次の一言でまとめられるからです。
yīnwèi zhōngguórén bǎ zhuàn duōshao qián zuòwéi héngliáng chénggōng de biāozhǔn
因为中国人把赚多少钱作为衡量成功的标准
因为(yīnwèi)は「なぜならば」という理由を説明するときに必要な接続詞です。
この一文は後ろから訳していくと分かりやすいかもしれません。成功的标准(chénggōng de biāozhǔn)というのは「成功の基準」という名詞になります。
衡量(héngliáng)は「~を推し量る」という意味の動詞で、作为(zuòwéi)は「~とみなす」という意味になります。
まとめると「中国人にとって成功を推し量る基準とみなされるのは…」という意味になりますが、それは何ですか?
【重要なのはいくら稼げるか】
それは「赚多少钱」です。多少钱(duōshao qián)は英語の how mach?と同じで「(お金の)いくら」という疑問詞になります。
赚(zhuàn)は「稼ぐ」という動詞です。把(bǎ)は「~を」という意味と理解しておけばいいでしょう。
つまり「中国人にとっては、いくら稼げるかだけが成功を推し量る基準」なので、職人としてどれだけいい仕事をしたのかなどはどうでもいいことなのです。日本とまったく違う価値基準ですね。
中国の職人にいい仕事をしてもらうには
できるだけ手を抜いて、手っ取り早くお金を稼ぐことを考えるのが賢い中国職人です。つまり良い仕事をしてもらいたいなら“監視”が重要となります。
さすがに中国職人もお客に隣に立たたれて監視されていると、それなりの仕事をせざるを得ません。いい仕事をする腕が無いわけではないので、ちゃんとしてくれます。
中国職人に工事を依頼するときは、彼らの仕事が終わるまでずっと監視していましょう。
見くびってはいけない中国職人
「中国職人=仕事の質が悪い」と決め付けてはいけません。考えてみてください。中国にはあれだけの人口がいます。そして使っているのは中国製品です。中国全土どれだけの修理工事が必要になるでしょうか?
職人に次から次へとお呼びが掛かり、質が悪いなりにもどうにか直していきます。当然腕は上がるのです。
日本人の工事人ならリスクを考えあきらめてしまうような修理工事も、中国の工事人は思わぬ大胆な方法で直してしまうこともあります。感服ものです。
中国と日本の職人それぞれに長所
仕事の質は悪いながらもスピーディーにどうにか直してしまうのが中国の職人。完璧な仕事をするが、時間は掛かってリスクは冒さないのが日本の職人です。
日中職人の仕事の仕方も長所も、それぞれのお国柄を反映していると言えるでしょう。