中国人と仲良くなるために野外でバーベキューを楽しもうと思うかもしれません。しかし日本人が中国人と焼肉をすると、あまりの違いに圧倒されてしまいます。
日本と中国ではバーベキューの方法にどれほどの違いがあるのでしょうか?
日本と中国の焼肉&ラーメンの違い:文化と味覚の驚くべき差異
目次
中国でのバーベキューの違い
中国と日本のバーベキューでは大きく分けて3つの違いがあります。
shāokǎo de fāngfǎ bù yíyàng
1、烧烤的方法不一样。
焼肉方法が違う
shāokǎo de dōngxi bù yíyàng
2、烧烤的东西不一样。
焼くものが違う
chī ròu de fāngfǎ bù yíyàng
3、吃肉的方法不一样。
肉を食べる方法が違う
焼肉を中国語に直訳すると烤肉(kǎoròu)なのですが、中国人は野外バーベキューのことを、烧烤(shāokǎo)と言います。
どれほどの違いがあるのか一つ一つ見ていきましょう。
焼肉方法の違い
日本人が焼肉をするときは、網や鉄板の上に軽く油を引き、生肉を箸やトングでのせていきます。ところが中国人はそんなまどろっこしいことをしません。どうしますか?
yòng shǒu zhíjiē jiēchù shēngròu
用手直接接触生肉。
どういう意味ですか?漢字を見ればある程度意味がわかるでしょう。そうです。中国人は「手で生肉を直接触る」のです。
人が食べるものを素手で触ることをなんとも思っていません。たとえ「えっ、手で生肉触っちゃうの?」という日本人を横目に「どうせ焼いて消毒されるでしょ」というのが中国人の共通概念です。
焼くものの違い
日本と中国の焼肉方法で2つ目に違うのは「焼くもの」です。
日本で焼肉をするときは、食べやすく薄くスライスされた牛肉や豚肉を焼くでしょう。ほかのものと言えばイカなどの海鮮や、キャベツやナスなどのお野菜を少し焼く程度です。
しかし中国人が焼肉をするときに持ってくるものはまったく違います。何を持参するのか列挙してみましょう。
- 馒头(mántou) 蒸しパン
- 豆干(dòugān) 薄くて硬い豆腐
- 饺子(jiǎozi) 餃子
焼肉をしようとなると中国人は、上記のようなコストの安いものをたくさん持ってくる傾向があります。
中国人の焼肉の概念
誤解がないように補足しますが、コストの安いものを持ってくるのは中国人がケチだからではありません。
外でものを焼いて食べることを中国人は烧烤(shāokǎo)と言うのは冒頭で述べたとおりです。
なぜ烧烤と言うのかというと、中国では夜になると、炭火でいろいろなものを焼いて路上のお客に振舞う烧烤店(shāokǎodiàn)なるものが路上に現れるからです。
烧烤店のメインメニューはお肉ではありません。先ほど述べた豆干などです。
中国人はいつもこの烧烤店を目にしているので、自分たちも外で焼肉をするときには、それを再現してコスト安のものを持参します。
もちろん中国人ではない外国人が持ってくるのは、奮発して買ってきたお肉たちです。中国人は興味を示さないのでしょうか?
肉も大好きな中国人
豆干(1元)と、奮発して買ってきた霜降り牛肉(25元)どっちがおいしいでしょうか?
もちろん牛肉に決まっています。実は中国人もお肉が大好きです。そこで外国人が焼いた牛肉に中国人は殺到します。
一下子(yīxiàzi)つまり「瞬く間に」高級牛肉は、中国人の友達にありがたく消費されます。喜んでもらえるのは嬉しいですね。
肉の食べ方の違い
中国人の焼肉が日本と違う3つ目の点は「肉の食べ方」です。少し触れましたように中国人は日本人と違って遠慮なく食べます。
例を挙げましょう。参加者が20人なので、鳥肉を串焼きにして20本用意してきたとします。
日本人ならまずは人数を計算して自分は何本食べていいのか、数が足りないなら子供がいるからまずは子どもたちに食べさせようなどと考えるでしょう。しかしこれは日本の習慣に過ぎません。
中国人は20人いて20本しかなくても、1本目の焼き鳥がおいしければ2本目に突入します。細かい人数計算などすることなく「まだまだあるな」という感覚で3本目に突入します。
先到先得の原則
中国文化には先到先得(xiāndào xiāndé)つまり「先に来た人が先に得る」という生活原則があります。
よって中国で焼肉をするときに、誰かが多く食べたからと言っていやな感情を抱かないようにしましょう。食べたければ自分も負けずに食べればいいだけなのです。
中国の焼肉の習慣から学べること
深くものを考えずに肉を食べる中国人は幸せそうな顔をしています。周りのみんなも好きなものをたくさん食べて楽しそうにしています。
日本人のように細かいことを気にせず食事するほうが、幸せなのかもしれません。
文化の違いから学べること
中国では野外で焼肉をしていると時々、通りがかりの陌生人(mòshēngrén)つまり「見ず知らずの人」が焼肉の輪に入っていることがあります。
下手したら自分たちが焼いたお肉を見ず知らずの通行人が食べています。
日本人なら知らない人が混ざっていると「この人、誰?」と言わんばかりの顔で見るでしょうが、中国人は国民全体が大きな家族です。一緒に楽しく時を過ごすのです。
こんな寛容さも中国人からも学べますね。
日本と中国のラーメンの違い
世界中で人気の日本食といえばラーメン、発祥の地は中国といわれます。今となっては日本なのか中国なのか、けっこう議論が分かれるところではないでしょうか。
だって両国のラーメンは、別の料理といってよいほど違いがあると思いませんか?
日本のラーメンは中国でも人気
中国人は日本のラーメンを日式拉面(rì shì lā miàn:日本のラーメン)と言います。
中国でも人気が高く、奔驰(bēn chí:ベンツ)や宝马(bǎo mǎ:BMW)といった高級車を駆ってお店にやってくるお金持ちもいます。
ラーメンの違い
rì shì lā miàn hé zhōng gúo lā miàn de qū bié zài nǎ?
日式拉面和中国拉面的区别在哪?
日本のラーメンと中国のラーメンの違いは何?
中国のラーメンと日本のラーメン。いったいどんなところが違うのでしょうか。基本的に面(miàn:麺)と汤(tāng:スープ)に違いがあるようです。
面のこし
まずは面(miàn:麺)です。両国のラーメンの面の違いは、韧劲(rèn jìn :こし)があるかないかです。
「こしがある」は、「有韧劲(yǒu rèn jìn)」と言います。
zúo tiān zài cān tīng chī de miàn hěn yǒu rèn jìn
昨天在餐厅吃的面很有韧劲。
昨日レストランで食べた麺、とってもこしがあった。
【日本はこし有】
日本のラーメンは韧劲(rèn jìn :こし)が命です。ですから、韧劲を出す成分である“塩”が加えられます。
これは、碱水(jiǎn shǔi:アルカリ性の水溶液)である纯碱(chún jiǎn:炭酸ナトリウム)や碳酸钾(tàn suān jiǎ:炭酸カリウム)、あるいはこれらを主成分とした「かん水」(≒碱水 jiǎn shǔi)が加えられます。
中国はこし控えめ
一方、中国では、麺を打つときに塩は加えないようです。好みによって卵やイースト菌を加えるぐらいです。
韧劲のあるなしは、打ち方や小麦の質も関係してきますね。
汤の食材
次に汤(tāng:スープ)です。これはスープを作るとき加える食材が違うということでしょう。
日本の材料
日本の場合、スープの汤汁(tāng zhī:出汁)には、猪骨(zhū gǔ:豚骨)や鸡骨(jī gǔ:鶏ガラ)、最近なら水产(shuǐchǎn:魚介)もありますね。
これらに、葱(cōng:ネギ)や大蒜头(dà suàn tóu:ニンニク)、生姜(shēng jiāng:ショウガ)などを基本に加えます。
さらに洋葱(yángcōng:玉ねぎ)や芹菜(qín cài:セロリ)、胡萝卜(hú lúo bo:にんじん)を加えたりして、て煮込んで汤を作ります。
日本の味
味は、酱油味(jiàng yóu wèi:醤油味)、味噌味(wèi cēng wèi:みそ味)、盐味(yán wèi:塩味)、豚骨味(tún gǔ wèi:とんこつ味)の4つが基本でしょうか。激辛もあります。
中国の材料
中国の場合、猪骨や鸡骨以外にも、牛肉(níu ròu:牛肉)やや海鮮(hǎi xiān:海鮮)もあります。
これに加えるのは、基本は日本と同じ食材として、さらに花椒粒(huā jiāo lì:粒コショウ)、甘草(gān cǎo:カンゾウ)、小茴香(xiǎo húi xiāng:ウイキョウ)、
陈皮(chén pí:チンピ)、桂皮(gùi pí:シナモン)、丁香(dīng xiāng:グローブ)、八角(bā jiǎo:ハッカク)、黑豆豉(hēi dòu chǐ:黒トウチ)、黄豆豉(huáng dòu chǐ:黄トウチ)などがあります。
中国の味
さすが食在中国なだけに、多彩です。独特な香辛料も多く、どんな味になるのか、ちょっと想像がつかない?
最後に味付けは盐(yán:塩)や醤油(jiàng yóu:醤油)で整えます。
zhè tāng wèi er hěn nóng ā
这汤味儿很浓啊
このスープ、味にコクある
zhè tāng fēi cháng xiān
这汤非常鲜
このスープはうまみがある。
ご当地ラーメン
日本も中国も、面と汤はお店によっても違いますし、地方によっても違います。旅に出たら、当地正宗名面(dāng dì zhèng zōng míng miàn:ご当地ラーメン)は楽しみの一つです。
日本のご当地ラーメン
日本を代表する当地正宗名面は結構ありますので、本当に代表的なものにとどめておきます。
北海道の味噌拉面(wèi cēng lā miàn:みそラーメン)
山形の冷拉面(lěng lā miàn:冷やしラーメン)
福島の喜多方拉面(xǐ dūo fāng lā miàn:喜多方ラーメン)
東京といえば酱油拉面(jiàng yóu lā miàn:醤油サー麺)
九州は豚骨拉面(tún gǔ lā miàn:とんこつラーメン)
福岡の博多拉面 (bó dūo lā miàn:博多ラーメン)
中国のご当地ラーメン
中国には十大面条(shí dà miàn tiáo:十大ラーメン)というモノがあります。
蘭州の牛肉面(níu ròu miàn:牛肉麺)
北京の炸酱面(zhà jiàng miàn:ジャージャー麺)
山西の刀削面(dāo xiāo miàn:刀削麺)
四川の担担面(dān dān miàn:担々麺)
吉林の延吉冷面(yán jí lěng miàn:延冷麺)
河南の烩面(hùi miàn:きし麺のような太い面を煮込んだ麺)
杭州の片儿川 (piàn er chuān:高菜とタケノコ、豚挽き肉がトッピングされたスープ麺)
江蘇は昆山の奥灶面(ào zào miàn:青魚のウロコやエラ、魚肉で出汁を採ったスープを使った独特の味がするスープ麺)
镇江锅盖面(zhèn jiāng gūo gài miàn:細麺が特徴のスープ麺)
武漢の热干面(rè gān miàn:ゆでて冷やした麺に味付けした汁なし麺)
ぜひ、堪能してみてください。