中国の酷暑を乗り切る:三伏养生と水分補給のコツ
目次
酷暑の健康法-三伏养生
暑い、暑い、毎日すさまじく暑い日が続きますね。北京の夏は40度を超えるので、それに比べれば東京の夏は35度前後なので始めはラクだなと思っていましたが、この湿気で体感温度は北京よりも高いようでだんだんしんどくなってきました。また北京は乾燥しているので昼間どんなに暑くても夜はす〜っと涼しくなって寝られますが、湿気のある東京は夜も気温が下がらないのがつらいですね。
さてこの1年で最も暑い時期は、中国では三伏;と言います。なぜこう呼ばれるかと言うと、陰陽五行で春は木、夏は火、秋は金、冬は水にあたり、春の木は夏の火を生み、秋の金は冬の水を生み、冬の水は春の木を生むのですが、夏の火は秋の金に克ってしまい、陰の気が地下に潜ってしまうので、それで三伏と呼ばれます。
2014年のカレンダーは
sān fú
「三伏」tǒu fú
头伏:7月18日 ー 7月27日zhōng fú
中伏:7月28日 ー 8月06日 → ここが一番暑いmò fú
末伏:8月07日 ー 8月17日
となっていて、末伏がやや日本のお盆の時期と重なりますね。
さてこの時期、中国の病院がなぜかめちゃ混みになります。それは、
sān fú tiē
三伏贴
というお灸をするためです。この三伏の時期にお灸をしておくと、冬にぜんそくなど呼吸器系統の病気にかかりにくくなると言われています。
冬の病気は夏に治す、これを
dōng bìng xià zhì
冬 病 夏 治
と言います。夏は汗もダラダラ出ますし、体温を下げる去火ために冷たいものを飲んだり食べたりします。そうすると、体の中の陽の気がどんどん減ってしまい、冬になった時風邪をひきやすくなります。そこで、1年のうちで一番陽の気が強いこの三伏に、お灸をして陽の気を補っておくのです。また、
sān fú yǎng shēng fú yǎng qù huǒ duō suàn duō gān
三 伏 养 生, 扶 阳 去 火,多 酸 多 甘
三伏の養生、陽を扶けて火を取り除く、酸っぱいものと甘いものを多く摂る
と言われ、この時期に酸っぱいものや甘いものを食べるといいと言われます。中国ではスイカがよく食べられる他、体温を下げる作用のある緑豆を使った甘いお粥などが好んで食べられます。食事では、鴨肉や鶏肉を食べるところが多いようです。
またヨガ教室などでも、中医の素養があるインストラクターだとこの時期は運動の強度を下げます。
それは、この三伏の期間は
yí fú bù yí dòng
宜伏不宜动
伏せるのが良く,動くのは良くない
と言われるからです。そう、この時期は思いっきりダラダラして寝て暮らすのが正解なのです!!
中国人の健康法-たくさん水を飲みなさい
中国ではよく「要多喝水」(yào duō hē shuǐ)、つまり「たくさん水を飲みなさい」と薦められます。風邪をひいた時や体調が悪い時はなおさらです。
水の飲み方を意識したことはそれほどありませんが、中国人の健康法の中では大切なもののようです。
水筒を持ち歩く習慣
中国ではほとんどの人が出かける際に水筒を持参します。学校へ行くにも出勤するにも、少しどこかへ出かける時も水筒を持ち歩きます。
中身が少なくなったら学校や職場に備え付けの飲料水タンクや水道水から継ぎ足します。温水も出る飲料水タンクなら冷水ではなく温水を入れます。
もちろんコンビニや屋台、道路沿いの小さな店舗などで手軽にペットボトル飲料水が手に入るのですが、それでも水筒を持参する人の方が圧倒的に多いのが実情です。
湿度の低さが影響
「要多喝水」と薦める理由、そして自分用の水筒を持ち歩く理由の一つは湿度の低さかもしれません。
中国華北地方以北や内陸地方では、特に冬になると湿度がかなり低くなります。例えば北京の12月の一日の湿度は高い時で30%、低くて10%を切ることもあります。
一般的に理想の室内湿度は50-60%だとされていますし、日本の天気予報では湿度が30%になると「空気がカラカラに乾燥している」と表現されます。
それと比較すると、湿度30%でも高い方だというのですから、いかに空気が乾燥した状態かお分かりいただけますか?喉のためにも体のためにも給水を意識する必要があるのは当然ですね。
マッサージの後にも
マッサージ店で30分ほどの「足疗按摩」(zúliáoànmó 足つぼマッサージ)をしてもらったら、必ず店員が「しっかり飲んでくださいね。」と言って紙コップに温水を入れて出してくれます。
これは足つぼが刺激されたことにより、内臓の活動が活発になって新陳代謝がよくなり血液濃度が増すので、少なくとも500CCの温水を飲むようにと薦められるのです。
高齢者が夜トイレに行くのが面倒からと水を飲みたがらないとしても、マッサージの後には必ず水を飲むよう提案されています。
どんな水を飲むといいの?
「中医」(zhōngyī 中国医学)の考え方に基づき、中国人は体内に冷たい料理や飲料水を取り入れるのを嫌います。それで冷たい水ではなく白湯を飲むよう薦められます。
これを「白开水」(báikāishuǐ)とか「凉白开」(liángbáikāi)と言います。
Gēnjù zhōngyī yǎngshēngxué,báikāishuǐ shì zhōngxìng de wùzhì
根据 中医 养生学,白开水 是 中性 的 物质,
kěyǐ jiāng tǐnèi de yīn、hán、shī、dú dài zǒu,jiùshì tōngguò páixiè,
可以 将 体内的 阴、寒、湿、毒带 走,就是 通过 排泄,
pái hàn jiāng zhèxiē shēntǐ de záwù dàichū tǐwài,
排汗 将 这些 身体 的杂物 带 出 体外,
tā zàizhōngyàoxué lǐmiànchéngwéi báiyào zhīshǒu。
在 中药学 里面 成为 百药 之 首。
中国医学の養生学によると、白湯は中性物質なので体内の陰、寒、湿、毒を運び去ることができます。
つまり排せつや発汗によって体の中の不要な物質を体外に運び去るのです。白湯は漢方薬学における百薬の長なのです。
Chén qǐ hē shuǐ,hē yǔ shìwēn xiāngtóng de kāishuǐ zuì jiā,
晨 起 喝 水,喝与 室温 相同 的 开水 最 佳,
tiān lěng shí kě hē wēn kāishuǐ,yǐ jǐnliàng jiǎnshǎo duì chángwèi de cìjī。
天 冷 时可喝温 开水,以 尽量 减少 对 肠胃 的刺激。
朝起きて水を飲む場合、室温と同じくらいの温度の白湯を飲むのが最適です。寒くなってきた時には少し温めの白湯を飲むようにすれば胃腸に対する刺激を極力軽減できます。
飲み過ぎには要注意
いくら飲んだ方がいいとはいえ、水を飲み過ぎることの弊害もあります。
水の飲み方を指南する記事によると、大きな水筒を職場のデスクに置いて、ひっきりなしに水を飲んでいる人がいたり、水ダイエットに凝っていたり、水が毒素を運び去るからと安心してその他の生活習慣はあまり気にかけない人がいたりするようです。
でも過ぎたるは及ばざるがごとし。いつ、どのくらいの量をどんな温度で飲むか、適量を知るのは大切ですね。
中国の料理店ではお茶は有料ですが、店員に頼めば無料の白开水を出してくれます。
食前に室温と同温の白开水、お茶、「冰糖菊花茶」(bīngtángjúhuāchá 氷砂糖入り菊花茶)などを100cc飲むと胃に良いそうです。一度試してみてください。