中国でのビジネス交渉術!文化と習慣を押さえた成功のポイント

    1. 中国経済・社会

    中国語を勉強している方の中には中国で働く予定や、すでに中国の会社と協力しながら事業をされている方もいるでしょう。

    チャイナリスクと言われますが、中国のビジネススタイルは独特で、知らないと中国の会社との取引があっという間に終わってしまいます。

    中国でのビジネス交渉術!文化と習慣を押さえた成功のポイント

    中国文化を理解する

    中国人と一緒にビジネスを成功させるもっともよい方法は何ですか?中国語で表現しましょう。

    shúxī zhōngguó wénhuà , cái zhōngguó gōngsī hǎo kāi xīng

    熟悉中国文化,才中国公司好开兴.

    熟悉(shúxī)というのは「熟知する」という動詞です。cái)というのは「それではじめて~」という意味合いになります。

    公司gōngsī)は「会社」という意味、开兴kāi xīng)は「喜ぶ」という意味で、前にhǎo)がつくと「とっても喜ぶ」となります。

    つまり中国人と一緒にビジネスをするコツは「中国文化を熟知して、中国の会社を喜ばせる」ことなのです

    では中国文化を熟知したビジネスというのはどういうものか見ていきましょう。

    オフィスで話している 2 人の中国人ビジネスマン。

    中国のビジネス

    面子を重んじる

    面子(miànzi)というのは、日本語の「メンツ」という意味ですよね。国民性ですが、中国人はメンツが重んじられないとすぐに感情的に行動します。

    一番よくないのは中国の会社のの社員もいるところで、上司の対応を批判することです。おそらくその会社は今後取引をしないと言ってくるでしょう。

    ですから、中国の会社の誰かを注意しなくてはいけない場合、私下(sīxià)、つまり「誰もいないところでこっそりと」注意し面子が傷つかないようにする必要があります。

    信頼関係は重要でない

    日本でのビジネスでもっとも重要なのは建立信赖关系(jiànlì xìnlài guānxì)、つまり「信頼関係を築くこと」なのですが、中国にはその美徳は全くありません。

    日本の会社は中国の会社と信頼関係を積み上げていこうとマメに連絡をし、納期を守ります。

    しかし中国の会社にその気はさらさらなく、納期が遅れても謝りませんし、毎回少しでも利益を上げるために値段交渉してこようとしますし、更なる利益のために製品の質を落としてでもコスト削減します。

    中国の紙幣の上に中国のコインが積み重なっています。

    重要なのはコネ

    中国の会社は日本の会社のことをどう思っているのでしょうか?

    日本の会社は「とてもいい取引相手」と思っています。なぜなら日本の製品は質が高く、売れ筋商品だからです。中国市場において「日本製」というネームバリューの価値が高いことを知っています。

    よって中国の会社は日本の会社と、保持关系(bǎochí guānxì)をしたいと思っています。これは「コネクションを維持」しておきたいという意味です。

    取引先は利益のための道具

    まず相手のことを考えるという感覚のない中国ビジネスにおいて、他の会社というはすべて「自分の会社が利益を上げるために道具」という感覚なのです。

    日本政府が中国政府と「戦略的互恵関係」という言葉を用いて関係を維持していますが、これは大正解でしょう。

    中国文化においてビジネスとは、「関係を保ってお互い得しようじゃないか」というものだからです。

    中国人の不思議なビジネス感覚

    たとえ過去に商売の経験がなくても、しかも店舗ではなくバイクや自転車を改造したような屋台でもいいので、とにかく自分で何かの商売を始めたい、それが夢だという中国人は少なくありません。

    そんな中国人が陥りがちな不思議なビジネス感覚があるんです。

    商売を始めたい?

    中国留学中、私が行きつけにしていたマッサージ店に若いカップルの店員がいました。腕のいいマッサージ師でしたから午前11時の開店から深夜2時ごろまでの営業時間中、ずっと顧客からの指名を受けて働き続けていました。

    ねぎらいの言葉をかけると「早くお金をためて結婚して、故郷で二人の店を持つのが夢だ。」とよく話してくれました。

    しばらくして二人は念願どおり結婚し、実家近くの町で店を持ったようだと聞かされましたが、さらに数年後、元のマッサージ店で再び二人を見かけるようになりました。

    なぜ戻ってきたのか尋ねると「店がうまくいかなかった。」と言います。「二人ほどの腕があれば店もきっと繁盛するだろうと思ったのに。」と言うとなんだか様子が変です。よくよく聞いてみると二人が始めたのはマッサージ店ではなくブティックだったのです。

    これは氷山の一角のような例ですが、商売を始めたい一心のあまり実際は畑違いでノウハウをよく知らなかったり、そもそも事前のビジネス計画を立てていなかったりするのに店を開き、結局長続きしない場合が少なくありません。

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    困ったお友達感覚

    中国人の友人が「炸鸡」(zhájī フライドチキン)や「炸鸡柳」(zhájīliǔ 鶏ささみの唐揚げ)を販売する店を始めた時のことです。

    昼間は自分で子供の迎えや世話をする必要があったので、その時間帯のバイトとしてある友人を雇いました。数か月が経ち、月末に帳簿の収支を合わせようとするのですが毎回どうしても合いません。

    実はバイトに雇った友人が店番中に商品をちょくちょく自分で食べてしまっていたのです。しかもバイト中の様子を覗きに来た別の友人にも商品を食べさせる行為が日常的に常態化していたのでした。

    他人を雇うのが不安なため、あえて知人や友人を雇うケースはよくあります。とはいえ、親しいからこその遠慮のなさが問題になるのです。

    人気店を真似る?

    中国人が商売を始めるときによくあるのが人気店の模倣です。たとえば、ある学校のそばに「火锅店
    huǒguōdiàn 中国風寄せ鍋店)ができて繁盛するとします。するとそれほどしないうちにその店のすぐそばに同じような火锅店が次々とできるのです。

    Diàn yī duō shēngyì zìrán bù hǎo,wèile jiéyuē chéngběn jǐnliàng áo xià qù,

    店一多生意自然就不好,为了节约成本尽量熬下去,

    lǎobǎnmenkāishǐ jiǎnshǎo fúwùyuán,tōugōng jiǎn liào,yòng piányi de shícái,

    老板们开始减少服务员,偷工减料,用便宜的食材,

    huǒguō dǐliào chóngfù lìyòng děngděng shǒuduàn。

    火锅底料重复利用等等手段。

    店が増えれば商売はおのずとうまくいかなくなります。それでコストを節減し何とかして店を持ちこたえさせるために、経営者たちは店員を減らし、仕事の手を抜き材料をごまかし、安い食材を使い、鍋のだし汁を再利用するなどの手を使い始めるのです。

    この消耗戦に負けた店は倒産しますが、残った店も早晩追い込まれるのは必至です。なぜならこの長期戦の間、看板メニューの味と店員のサービスの質は低下し続けたため、一度離れた客足は二度と戻ってこないからです。

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    長く続けるつもりはない

    中国では先週行った時にはあったのに、次の週に行くとそこにその店はもうなかったなんてことはよくあります。周りの店の人にどこかに移転したのかと尋ねても誰も知りません。

    ご存知のように日本は世界でも類を見ないほど老舗の多い国です。業歴100年以上の企業はなんと3万3000以上あるそうです。

    それは「商売では信用第一」という通念があるからかもしれませんが、中国では時間をかけて顧客との信頼を築き、ビジネスパートナーとして長い付き合いを続ける価値観の重要度はそれほど高くないようです。

    Shēngyì rén shì wánquán bèi lìyì qūshǐ,shénme shēngyì hǎo jiù zuò shénme shēngyì,

    生意人是完全被利益驱使,什么生意好就做什么生意,

    bù hǎo zuò mǎshàng fàngqì zhuǎn zuò qítā shēngyì。

    不好做马上放弃转做其他生意。

    商売人はもっぱら利益に駆り立てられているため、もうけがあるなら何であれ商売にするし、もうけが出ないならその商売はすぐにやめて別の商売に乗り換えるのです。

    「一度持ち帰って検討します」中国では通じない

    ところ変われば交渉方法も変わります。日本社会では慎重に物事を進めるために「一度持ち帰って検討します」という言葉は、堅実で誠実な対応とさえ思われることでしょう。

    ところがこの対応を中国企業との交渉で決しては言ってはいけません。

    中国企業が目指すところ

    日本企業が目指すのは「信頼感のある会社」かもしれません。しかし中国の企業が目指すところはまったく違うのです。中国企業の目的は単純です。

    zhuànqián

    赚钱

    お金を稼ぐ

    中国人経営者にとって、会社とはお金を稼ぐための道具であり、その会社の交渉相手は一緒にお金儲けをするためのパートナーにすぎません。

    このことを踏まえると、「一度持ち帰って検討します」という返答が一番中国人が嫌がる返答であることがわかります。

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    「一度持ち帰って検討します」が意味するところ

    「一度持ち帰って検討します」というと中国企業はどう感じるのでしょうか?着実に物事を進めるための誠実な対応とは思いません。

    次の3つの反応を引き出してしまいます。

    zhèkěbúshìdàrénwù

    1,这可不是大人物

    こいつは重要人物じゃないのか

     

    shāngwùtánpàn dexiàolǜtàidī

    2,商务谈判的效率太低

    効率の悪いビジネス交渉だなぁ

     

    zhègōngsī de guǎnlǐtàiluòhòu

    3,这公司的管理太落后

    この会社の管理は時代遅れだなぁ

    重要人物じゃない

    「一度持ち帰り検討します」と言うと、中国人は「自分で即決できない。上司に指示を仰がないと決定できない。そんなやつが自分との交渉に来たのか」と感じます。

    中国人同士の交渉は常に即決です。契約書さえ作らないケースが多く、リスクマネジメントで細かい点を詰めることはありません。まず交渉を成立させ運用して、そのあと問題が生じたらその時話し合うのです。

    即決は交渉の基本なので、それができない人物や会社との交渉は成立させたくないと感じるわけです。

    効率が悪い

    一度持ち帰ると、また別の日に時間を取り分けて会う必要があります。その場で決めてくれれば、一度で済むのに、同じ交渉に何度も時間をかけたくないのです。

    中国人は素直にめんどくさがるので、「一度持ち帰り検討します」といった時点で、次回も時間をとりたくないという感情が沸き立つでしょう。それゆえ交渉は失敗するのです。

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    時代遅れの会社

    中国の会社は老板lǎobǎn)もしくは领导lǐngdǎo)といわれる経営者にすべての決定権があります。その経営者は自分が交渉に行かない時は、決定権を部下にゆだねて交渉の場につかせます。

    それでもその決定が会社の存続を決める重要な決定という場合、中国人も「この場合は即決は難しいだろう」というケースがあることを知っています。では中国ではどうしても部下だけでは決定できない時はどうしますか?

    その場で電話して経営者に指示を仰ぐというのが通常スタイルです。

    ですから日本人が難しい状況で悩んでいると、中国人は必ず「じゃあ今電話して確認してくれ」ということでしょう。

    【日本人と中国人の感じ方の違い】

    日本人はどう感じますか?「焦らされている」感じます。そこで物事を慎重に進めるため「では一度持ち帰って検討します」といいます。

    中国人はどう感じますか?

    決定権のある人に事情を話して相談することもできない「マニュアル化された古いスタイルの会社なんだ」と感じるわけです。

    日本でも最近のIT企業などでは、スピード重視で中国と同じ即決スタイルをとっていることでしょう。「持ち帰り検討=古い会社の象徴」なのです。

    中国を理解し交渉する

    今回は日本企業の口癖である「一度持ち帰り検討します」という言葉の影響を考察しました。このように同じ一言でも国の文化や物事の進め方で感じ方が全く違うのです。

    最近勢いがある中国企業が相手にする企業は日本企業ばかりではありません。

    話し合いに時間がかかり、どうでもいい細かい点を詰めてくる割には交渉成立にはなりにくい日本企業より、即決してくれる他国企業がいいと思われるでしょう。

    慎重に物事を進める交渉は日本企業間だけで行うのがいいのです。

    まとめ

    現在中国は日本を抜いてアジアトップの国として君臨しています。10、20年前は日本の会社が有利に事を進め、日本の文化を強要することもできましたが、今は時代が変わりました。

    日本人のほうが中国文化を理解して、中国文化でビジネスをすることが必要になっています。

    日本の会社が中国文化に合わせて、ビジネスをしていけば、中国の会社は大喜び。きっと互恵関係をずっと続けていきたいと思ってもらえるでしょう。

    中国人の先生と中国語を勉強するとき、こんなビジネスに関する考え方を聞いてみるのもいいかも知れませんね。きっと仕事をする上での参考になるでしょう。

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