中国人が自国に抱く不満のトップに上げられるのが医療費の高さです。医療費が高すぎるので病院にいきたくても行かない中国人はたくさんいます。
そこで中国の福祉に不満を持っている中国人は、よく中国国内にいる外国人にこう尋ねます。
中国の医療費は、何割負担?中国での医療費
目次
外国人が受ける質問
nǐmenguójiā de fúlìzěnmeyàng
你们国家的福利怎么样?
你们(nǐmen)は「あなたたち」、国家(guójiā)は漢字のままの意味です。福利(fúlì)は日本語でも福利厚生という言葉あるのでわかりますね。そう「福祉」という意味です。
怎么样?(zěnmeyàng)は「どうですか?」と状況を聞く疑問詞です。
つまり外国人は中国に行くと「キミたちの国の福祉はどれくらいいいの?」と聞かれるのです。
中国人がこう質問することによって聞きだしたいのは「各国の医療費の個人負担はどれくらいなのか?」という点です。
中国の医療費何割負担?
中国には国民健康保険はありません。つまり国は基本的に医療費を負担しないのです。つまり一般国民の医療費は基本10割負担です。
会社の医療費負担
ですが少し大きな会社に勤めると、日本の社会保険のように会社が医療費の一部を負担してくれる制度があります。
しかし会社によって負担してくれる額は、どんなに良くても医療費の50%、残りの50%は自分で支払わなくてはいけません。
保険会社の医療保険
企业医疗保险(qǐyèyīliáobǎoxiǎn)といって一定のお金を保険会社に払い、病気になったときに保険会社が医療費を負担する医療保険もあります。
企业医疗保险は決して安くなく、毎月500~1000元(8000~16000円)もの額を保険会社に支払う必要があります。
ですが保障は手厚く、自分が入院することになった場合は、保険会社が8割程度の医療費を負担してくれることになっています。
保険会社の問題点
ところが中国の保険会社です。容易に想像できるでしょう。保険会社は保険料をもらうことには関心がありますが、医療費の支払いはしたがりません。
いざ入院となると「お客様の場合は○○なので、保険適用ができないかもしれない」と難癖をつけてきます。
しかし難癖をつけるのは、あわよくば医療費を負担せずに済ませたいだけで、たいていはひとモメすれば保険適用にしてもらえます。
自己負担にしても保険を活用するにしても、中国で医療を受けるのはとっても費用が掛かることなのです。
外国の医療費は何割負担?
中国人は外国での福祉の話を聞いて自分の国の福祉を嘆きます。外国の福祉制度を簡単に見てみましょう。
日本の健康保険は3割負担が一般的ですね。しかしヨーロッパ諸国では極端に医療費負担が少なく、瑞典(ruìdiǎn)スウェーデンでは医療費がタダです。中国人はどう感じますか?
tèbiéxiànmùguówài de fúlì
特别羡慕国外的福利。
特别(tèbié)は「とりわけ」「とっても」という程度を表す副詞です。羡慕(xiànmù)は「羨ましい」という意味です。国外的福利(guówài de fúlì)は漢字のまま「国外の福祉」ですね。
つまり中国人はいつも外国の医療費負担に対して「外国の福祉はいいから、すっごく羨ましい」と常に感じているわけです。
中国の福祉 なぜ行き届かない?
中国はアメリカに次ぐ大国になったのに、なぜいまだに福祉が行き届かないのでしょうか?
それは16億を超えると言われる国民の生活を支えるためのようです。
日本やヨーロッパ諸国は確かに福祉は良いのですが、その分税金をたくさん取られます。健康保険料にしても、普通のサラリーマンは何万円ものお金を国に徴収されます。
つまり外国は「たくさん国民からお金を徴収できるので、たくさん福祉を提供できる」というわけです。
中国でも同じようにしようとするとどうなりますか?国民の負担が増えることになるでしょう。
生活の必需品、お米やお野菜、バス代は今のように安価では提供できなくなるのです。
国民すべてが生活を楽しむためには、現状福祉には力が入れられないという国家事情があるわけです。
医療費が高い影響
城市(chéngshì)つまり都市部に住んでいるお金持ちのお家は、中国でも医療を受けることができます。
しかし农村(nóngcūn)つまり農村部の人たちは身体の調子が悪くてもお金がかかるので病院に行けません。
そのため肺炎や簡単な内臓疾患など、病院で適切な治療が受けさえすれば治る病気も治らずに死んでいきます。
農村の方が手術を受けたいという場合、自分の家の全財産だけでなく、親戚のお金もすべてかき集めてやっと受けられるのが現状です。
年配者の選択
そのため中国の年配者は、身体が痛くても病院に行くとは言いません。
もし手術が必要となると、家族にそして親族にどれほど迷惑がかかるか知っているからです。そして短めの寿命で亡くなっていきます。
まとめ
日本は世界でもとりわけ長寿の国と言われています。それは「病院に行く」という基本的なことができるからでしょう。外国では病院に行きたくてもいけないのです。