様々な種類の料理を好きなだけ食べられるバイキング形式の料理店は中国でも大人気です。
ところがこの「食べ放題」についての中国人の認識が一般的なバイキングのマナーと少し違うために、場合によってはペナルティも課されるのです。どういうことでしょう?
中国の食べ放題の裏側!ペナルティ制度とその理由
目次
大人気の食べ放題
食べ放題は「自助餐」(zìzhùcān)と言います。
繁華街のあちこちで見かける「火锅自助餐」(huǒguō zìzhùcān 寄せ鍋バイキング)、「巴西烤肉自助餐」(bāxī kǎo ròuzìzhùcān ブラジル風焼き肉バイキング)、
「日式自助餐」(rìshìzìzhùcān 日本料理バイキング)などの看板が物語るように、食べ放題の料理店は中国の外食産業にかなり浸透しています。
Web検索すると店内風景や提供メニューの写真を掲載している色々なジャンルの食べ放題の店を探す事ができます。
事前に「团购」(tuángòu 共同購入)すれば、通常一人当たり78元のランチバイキングを10元割り引いた68元で提供するといったサービス情報を利用する人も少なくありません。
こんな標語があちこちに
実際にお店に行ってみましょう。お店には昼前からお客の行列ができています。中に入ってみると料理がずらっと並べられたテーブルの上、さらには各テーブルにこんな標語があります。
Lìxíng jiéyuē
厉行 节约
節約を励行しましょう
Wēnxīn tíshì:qín ná shǎo qǔ,qǐng wù làngfèi
温馨 提示:勤拿 少 取,请 勿 浪费
少しずつお取りになり、浪費されないようお勧めします。
店によっては「お勘定の際、皿に〇〇g以上の料理が残っていれば〇〇元の罰金です。」と書いてある場合もあります。
テーブルは料理でいっぱいに
Jǐnguǎn gāicāntīng zài qǔcānchù hé cānzhuō shàng dōu bǎi fàng zhe
尽管 该 餐厅 在 取 餐 处和 餐桌 上 都 摆 放 着
“qín ná shǎo qǔ,qǐng wù lànfèi”de páizi,dàn xǔduō gùkè què shì ér bú jiàn,
“勤拿 少 取,请 勿 浪费”的 牌子,但 许多顾客 却 视而不 见,
jìn diàn hòu de dì yí jiàn shì dōu shì máng zhejiāng zìjǐ miànqián de cānzhuō bǎi mǎn,
进 店 后 的第一 件 事 都 是 忙 着 将 自己 面前 的 餐桌 摆 满,
zhídào zhuōzi zài yě fàng bu xià le cái kěn tíng shǒu。
直到 桌子 再 也 放 不 下了 才 肯 停 手。
当のレストランが料理を並べている場所やテーブル席に「少しずつお取りください。浪費しないでください。」という標語プレートを置いたとしても、ほとんどの客は注意を払わない。
店に入って一番にする事といえば、自分の前のテーブルを料理でいっぱいにする事であり、テーブルにもう何も置けなくなるまでやめようとはしない。
私が入った北京にある食べ放題の日本料理店でも同様でした。
10人ほどのグループでやって来た一人一人が、自分の食べる分を取るのではなく、ある皿には天ぷらを、別の皿にはお寿司を、さらに別の皿には空揚げを山盛りにして、次から次へとテーブルに並べていくのです。
当然、すべてを食べ切れるわけではありません。
罰金制度
こうしたケースが後を絶たないために、食べ残しの浪費を減らす努力が罰則制度に繋がっています。
店ごとに罰則の内容は異なりますが、多くの店が来店時に先に頭金を払うよう消費者に求めています。金額は10元から100元と様々です。
もし、食べ残しの分量が多い場合は100gごとに10元を頭金から差し引くという訳です。
店側の観察では数年前と比べれば食べ残しは少なくなってきたものの、それでもなくならないとの事です。
消費者側も多くの料理を残してしまうのはもったいないとわかっているのですが、それでも食べ放題に行くと取りすぎてしまったり、そのために罰金を払わされたりした経験があるという人がかなりいます。
元を取ろうとして食べ過ぎる?
もう一つの問題は食べ過ぎ、飲み過ぎです。食べ放題の料金の元を取ることを「吃回本」(chī huí běn)と言います。
元を取ろうとして食べ過ぎてしまい、病院へ運ばれる人も少なくありません。結果的に高い治療費を払うことになり、元を取るどころか損をしてしまうのです。
また「专挑贵的吃」(zhuān tiāo guì de chī)、つまり原価の高い食材ばかりを選んで元を取ろうとするお客もいます。
例えば焼き肉バイキングの場合、原価の高い部位の肉やエビ、ホタテなどの海鮮食材を店員が補充したとたんに、ほぼそのすべてを自分たちのグループ用に持って行ってしまう客も見受けられます。
もちろん何をどれだけ食べるかは客の自由ですから店側は何も言えませんが、ほかの客が不快に思うのもうなずけます。
とはいえ、こうした所に中国人のパワーやバイタリティを感じるのも事実です。ぜひ一度中国人の友人と一緒に食べ放題を満喫してみてください。
中国で食べ放題の店を経営するには
好きなだけ食べてください。これはどの国においても魅力的な食事の提供方法です。日本でもバイキングや食べ放題と呼ばれるお店は人気があります。
しかし中国で食べ放題のお店を経営する場合にはあることに注意しなくてはいけません。
中国にもある食べ放題のお店
中国人は食べることが大好きなので、食べ放題という食事の提供方法はそれはそれは人気があります。さて問題です。「食べ放題」中国語では何と言うでしょうか?
zìzhùcān
1,自助餐
dàchīdàhē
2,大吃大喝
xiǎngchīduōshaojiùchīduōshao
3,想吃多少就吃多少
さあ正解はどれでしょう?
食べ放題の中国語
1番目の自助餐(zìzhùcān)が正解です
「自分」を意味する自己(zìjǐ)の「自」と、助けるを意味する帮助(bāngzhù)の「助」と、飲食を意味する餐饮(cānyǐn)の「餐」を一文字ずつ取って自助餐(zìzhùcān)となります。
「ウェーターなどの手を借りずに、自分で好きなだけ飲食物を持ってきて食べる方式」というイメージの語となっています。
2番目の大吃大喝(dàchīdàhē)は
四字熟語(成语:chéngyǔ)になっている中国語で「たくさん食べて、たくさん飲む」という意味になります。
お客さんを呼んで大盤振る舞いをするときによく使う言葉ですが、食べ放題という意味にはなりません。
3番目の想吃多少就吃多少(xiǎngchīduōshaojiùchīduōshao)ですが
これも正解と言えば正解です。
しかしこれはレストラン側の料理の提供方式で使われる単語ではなく「自分が食べたいだけ食べる」という「食べ放題」とはなにか?を説明するときに使われる文章です。
中国人が食べ放題のお店に行くと
素直な国民である中国人は他の人の目をあまり気にしません。素直に自分が食べたいものだけをたくさん取ります。
筆者が結婚記念日に妻と奮発して中国のバイキング店に行きました。お肉を少し、お魚を少し、中華料理を少し、野菜を少しと取り分けていましたが、ほとんどのお客の食事のとり方にビックリします。
虾(xiā)つまり「海老」だけを大量にお皿に山盛りです。その場所では高級食材であった海老のみを、ひたすら家族で食べまくっていました。
中国の食べ放題の問題点
予想できることですが、中国の食べ放題にはこんな問題点があります。
nátàiduō , chībùwán
拿太多,吃不完
取り過ぎで食べきれない
中国人も悪気があるわけではありません。純粋に食欲のまま「これくらいなら食べれらると思って取ったものの、やっぱり食べきれなかった」となります。
これではお店側は商売あがったりです。よって中国の食べ放題では日本では見かけなある制度を導入しています。
頭金制度
純粋に食べ放題料金は150元(2250円)など決まった額なのですが、食べ残されたら困るので、中国の食べ放題専門のお店は頭金(押金:yājīn)制度を設けます。
場所によりますが頭金はだいたい100元(1500円)程度で、正規料金と合わせて250元取られます。もしも食べ残すと、食べ残した量に伴って頭金からお金が差し引かれるというわけです。
ちゃんと頭金を返してほしい中国人は、食べ残さないように注意してお皿に取り分けるようになるわけです。中国人をよく理解した制度ですね。
もちろん外国人のお客さんも多いホテルの食べ放題などには、食べ残すことを疑った制度は失礼なので、こうした頭金制度はありません。その分正規料金が200元(3000円)以上と高めに設定されています。
日本の食べ放題は信頼のもとに成り立っている
日本の食べ放題にはこうした頭金制度はありません。しかしそれは当然お客さんがモラルを守ってくれるであろう、という信頼のもとに成り立っているわけです。
会社経営をするにもその国の国民性や考え方、文化等を加味して経営しなくてはいけないことが分かりますね。