中国人が王将の餃子を食べなかった理由

    1. 中国経済・社会

    吉野屋や一風堂は中国で大当たり!ところが同じく大手チェーン店の「餃子の王将」は中国展開をしようとしましたが、まったく成功せず2014年に完全撤退となりました。

    何であんなに美味しい餃子を中国人は食べないのでしょうか?

    中国人が王将の餃子を食べなかった理由

    餃子といえば何餃子?

    日本人と中国人が国際結婚すると、文化の違いでいろいろもめます。餃子をどうやって食べるかという問題もそのひとつです。

    旦那はビールと一緒に、煎饺(jiān jiǎo)、つまり焼き餃子を食べたいのですが、中国人の奥さんは断固、水饺shuǐjiǎo)、つまり水餃子だと譲りません。

    そこで旦那はせめて2割くらいは焼き餃子に…、とお願いしますが、即却下ですべて水餃子となって出てきます。

    なぜでしょうか?中国人が水餃子にこだわる理由を次の3つからお選びください。

    cónglái méi chī guò jiān jiǎo

    1,从来没吃过煎饺

    いままで焼き餃子を食べたことがない

    bú tài xǐhuan jiān jiǎo

    2,不太喜欢煎饺

    焼き餃子はさほど好きではない

    jiān jiǎo duì shēntǐ bú tài hǎo

    3,煎饺对身体不太好

    焼き餃子は身体によくない

    【なぜに水餃子?】

    中国人が水餃子にこだわる理由ですが、実は3つの答えはどれも正解です。

    ほとんどの中国人は水餃子しか食べたことがありません。焼き餃子を食べたことがある人も特別美味しかったというイメージはありません。

    その上ヘルシーな水餃子に比べて、焼き餃子は油を使うので身体によくないと思っています。

    中国人は餃子は絶対に水餃子で食べたいのに、餃子の王将のメニューには水餃子がありませんでした。

    「ここが餃子の新しい店か」と思って意気揚々店内に入った中国人の感情が理解できますね。

    餃子に何をつける?

    日本人は餃子を何につけて食べますか?そう、酢醤油ですよね。ところが中国人は黑醋(hēi )つまり黒酢で食べます。

    そこに大蒜(dàsuàn)ニンニクとか、小葱(xiǎocōng)ネギとか、辣椒(làjiāo)唐辛子などを入れて食べるのが一般的です。

    餃子の王将で中国人が百歩譲って焼き餃子を頼んだところでつけるタレが酢醤油では話になりません。美味しくなかったのです。

    餃子とは?誰が決める?

    中国の国旗が付いた自転車のイラストです。

    日本人は「餃子は焼き餃子。酢醤油で食べるのがおいしいよね」と言います。中国人は「絶対餃子は水餃子で、つけるタレは黒酢だ。譲れない」と言います。

    どちらが正しいのでしょうか?答えはこの一言にあります。

    cónglái rìběnrén méiyǒu quánlì shuō jiǎozi shì shénme

    从来日本人没有权利说饺子是什么.

    从来cónglái)というのは、「もともとは」という意味で否定形の文章のときに使います。没有权利méiyǒu quánlì)は「権利がない」という意味ですね。

    ですから上記の文章は「もともと日本人は餃子とは何たるかを語る権利がない」という意味になります。

    なぜ日本人は餃子について中国人と言い争えないのですか?その理由は外国人が「寿司となにか」について日本人と言い争えないのと同じです。

    外国では日本人から言わせるととても寿司とは言えないものを提供しています。寿司をアレンジするのは自由ですが、日本人の寿司は間違っていると言うのはお門違いでしょう。

    同じ理由で日本人は餃子発祥の地中国の人に餃子について語ることはできません。餃子とは何かは中国人が決めるのです。

    餃子の王将が失敗した理由

    餃子の王将がなぜ撤退に追い込まれたのかある程度理由が見えてきました。

    餃子の王将が水餃子を主体にしたり、タレを黒酢にしていたら多少はよかったかもしれませんが「問題の根本原因は日本人が作る餃子なんて美味しくないはず」という先入観にあったでしょう。

    アメリカの会社が「ハ~イ、これがアメリカのお寿司よ」と日本で開業したとしても行く気がしないでしょう。

    同じ理由で、日本人が餃子の本場中国で餃子を売ろうとしたことそのものが失敗の根本原因なのです。

    修正後の説明: 中華風味の一杯にタンパク質のラーメンが入っています。

    【じゃあラーメンはなぜいいのよ?】

    ここで問題が生じます。「おいおい、ラーメンの発祥地も中国だろ。なんで一風堂は成功してるんだ?」という意見もあるでしょう。

    日本人の感覚では「中国と言えばラーメン」なのですが、中国人にとって「ラーメンは自分たちのモノ」という意識はありません。

    面条类(miàntiáolèi)、つまり麺類は世界のものと思っており、日本だけでなく韓国の麺も偏見なく食べます。餃子だけは譲れないのです。

    中国で日本人の餃子感を出すのはNG

    王将の餃子を中国人が食べなかった理由を整理して見ましょう。

    日本人が、焼き餃子を、酢醤油で、本場中国の人に食べさせようとしたので失敗したというわけです。

    これから学べる教訓はなんですか?中国旅行に行ったとき餃子を日本風に食べたいと思ってはいけません。

    ましては餃子を主食とする国で、ご飯と一緒に餃子を食べたいなど決して言わないようにしましょう。日本人!何を言ってる?という空気になりますよ。

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