最近のオリンピックでは、中国がメダル独占することが多くなりました。アメリカと並んで中国は経済大国なだけでなく、スポーツ界においても群を抜いている存在です。
どうして中国の選手は強いのだろうと思いませんか?それには興味深い理由があるのです。
中国のオリンピック選手が強い秘密に迫る!驚くべき訓練方法とは
目次
中国の選手が強い理由
中国のオリンピックの選手を訓練する過程は、日本や外国の訓練課程とはまったく違います。
日本など一般的な先進国はほとんどすべての子どもは、少年時代は普通に学校に通い、数学や国語などの基礎教育を学びます。
子供の学業よりオリンピック優先
週に2,3時間ある体育の授業で成績のよい子が現れ、中学生から部活に参加し、夏休みに体育祭に出て、全国大会でも優勝できるくらいの子がオリンピックに選ばれるという方法です。
もしくは、ちょっとお金のあるお家の子が放課後にスイミングスクールに通わせて、全国大会でいい成績を収めると、中学生などでもオリンピックに出場できることがあります。
先進国ではスポーツの才能がある子も、まずは学業です。正直スポーツの才能があっても親の方針で学業没頭し、才能を潰すパターンもあるかもしれません。
中国の早期体育専門訓練
ところが中国は外国とはまったく違う過程でオリンピック選手が育てられるのでメダルを独占できるようです。中国語でその特殊な状況を説明しましょう。
zàizhōngguóshíshīzǎoqītǐyùzhuānyèxùnliàn
在中国实施早期体育专业训练.
在(zài)は後に続く動詞となる活動が行なわれる場所を指す言葉なので、簡単に言うと「中国で…」と意味です。
实施(shíshī)は日本語の漢字の意味そのままで「実施する」という動詞です。中国でどんな活動が実施されているのでしょうか?
早期体育专业训练(zǎoqītǐyùzhuānyèxùnliàn)が行なわれています。
これも日本語の漢字に直すと分かります。「早期体育専門訓練」。つまり、まだ小さな子どもの時から体育の専門訓練を施されるのです。
6歳から10歳くらいまでに他の子より足が速い、身体が柔らかくバネがあるなど、体育面で素質のある子は、普通の学業を止めて、体育の専門的な科目に入ります。
子供に選択権の無い世界
面子を重視する中国では、自分の子が少年运动员(shàoniányùndòngyuán)になる、つまり、国家から選ばれるオリンピック候補生になるというのはとっても誇らしいことです。
オリンピックの選手になるとたくさんお金がもらえます。子どもが選ばれることを断る親はほとんどいません。
しかし、早期体育专业训练を施されることになるたくさんの子どもたちには、ある悲惨な状況が待っています。
中国のオリンピック候補生の訓練方法
候補生として選ばれた子どもたちは、朝から晩まで身体の訓練です。筋肉をつける、身体を柔らかくする、試合時の技を身につけるだけではありません。
試合のときに、自分を信じて自分の限界を超えることなどの精神集中法も訓練されます。
オリンピックの中国選手の集中力すごいと思いませんか?他国では比にならない精神訓練の賜物なのです。
国家主導の訓練
これらのオリンピック候補生の訓練は、親のお金でなされるのではありません。国のお金でなされます。
お金持ちの子だけでなく、農民の子であっても、才能があり、努力を惜しまない子であれば、オリンピック選手になれるという希望があるのです。
中国の体育選手訓練にまつわる問題
オリンピック強化対象選手に選ばれた子どもたちであっても、きつい訓練に耐えられない子どもや、訓練中に大きなケガを負った子供、試合でいい成績が残せない子どもなどはドンドン家に帰されます。
オリンピック選手になれるのはほんの一握りです。
これは中国の体育界の問題なのですが、少年時代を体育訓練漬けで生活した子供にとって栄光と悲劇は紙一重です。なぜなら…
tǐyùjiàoliànzhùzhòngtǐyùbǐsàichéngjì , duìyùndòngyuán de yuèdúbùwénbúwèn
体育教练注重体育比赛成绩,对运动员的阅读,不闻不问.
体育教练(tǐyùjiàoliàn)は体育の教官という名詞です。
教官は預けられた少年少女たちが体育比赛(tǐyùbǐsài)つまり体育競技会でよい成績を収めることにしか、注重(zhùzhòng)、つまり「重要視」してはいません。
選手の学業は…
よって、对运动员的阅读(duìyùndòngyuán de yuèdú)つまり「体育選手たちの学業」には、不闻不问(bùwénbúwèn)です。
不闻不问というのは成语(chéngyǔ)で、聞きも尋ねもしない、つまり「まったく無関心」という意味です。
教官は朝から晩まで体育訓練しかしてくれないので、体育強化選手として過ごした子供は読み書きすらできません。
ある金メダル選手の末路
ある金メダルも取った中国の選手は、出来心で泥棒をしてつかまってしまいました。
その後、読み書きもできず、スポーツ以外にとりえがなかった彼は乞丐(qǐgài)つまり、ホームレスになったのは有名な話です。
体育訓練は大きな国家事業
中国はあらゆる分野で、世界強国となるため力を注いでいます。上記のような他国にはない特別な努力が払われているので、体育の面でも当然世界トップになることでしょう。
彼らはメダルを取るためにすべてを費やしますから、日本のメダルの数を上回れるわけありませんね。
中国で冬季オリンピックが盛り上がらない理由
2022年に中国北京で冬のオリンピックが開かれます。しかしせっかくの自国開催なのに驚くほど中国国内で盛り上がっていないのです。
どうして中国人は冬のオリンピックに対して興味を示さないのでしょうか?
北京冬季オリンピック
2022年2月4日から20日までの間、北京で開かれると思っている日本人は少なくありません。北京オリンピックといってはいますが、北京だけではないのです。
jǔbàndìdiǎnwéizhōngguóběijīnghézhōngguózhāngjiākǒuliánhéjǔxíng
举办地点为中国北京和中国张家口联合举行
開催地区は中国北京と張家口市の合同で行われる
2022年は北京冬季オリンピックといわれていますが、北京市だけでなく隣接する張家口市でもたくさんの競技が開かれる予定となっています。
この冬季オリンピックは、日本では一定の注目度を浴びています。オリンピック前は、誰がオリンピックに出場するのか、誰が金メダルを取れるかもしれないのかというニュースで目白押しでしょう。
しかし中国では、オリンピックメダル予想などのニュースはほとんどありません。オリンピックはあることは知っているものの、オリンピックを楽しみにしているという人はほぼ皆無なのです。
中国人にとってオリンピックとは
本来、あれだけオリンピックで金メダルを取ることに必死になっている中国なのに、どうして今回はそれほど関心がないのでしょうか?
中国人に対して今回のオリンピックの話をするとこういう反応が返ってくるのです。
xiàjìàoyùnhuìcáishìàoyùnhuìba
夏季奥运会才是奥运会吧
夏のオリンピックこそがオリンピックでしょ
これが一般の中国人の感じ方です。
日本でも多少は夏のオリンピックの方が盛り上がりが大きい傾向はあるかもしれませんが、中国においてはその差が激しいのです。冬のオリンピックを楽しみにしているという中国人はほとんどいません。
だれが冬のオリンピックでメダルを取るかなどの国民の注目度も低いので、中国が報道するものといえば、オリンピックの会場がどれほど素晴らしいか、オリンピックのための交通網がどれほど他国より優れているかなどの自慢のみです。
春節の時どこに行きたい?
2022年の春節、つまり中国人がみんな仕事も休みの時に冬季オリンピックは開催されます。
こういう状況なら休みの時期を利用してオリンピックを見に行きたいという人が多そうなものですが、コロナの問題を抜きにしても、オリンピックを見に行きたいという人はほとんどいないのです。
春節の時にどこに行きたい?と尋ねると多くの中国人はこう答えます。
xiǎngqùběijīnghuánqiúyǐngchéngzhǔtílèyuán
想去北京环球影城主题乐园
ユニバーサル北京リゾートに行きたい
ユニバーサル北京リゾートというのは、大阪にあるユニバーサルスタジオジャパンと同じく米国NBCのテーマパークです。
オリンピックを見たいという感情はわかず、2021年にできたユニバーサル北京リゾートにこそ行きたいと思っている中国人の方が多いというわけです。ちょっとおかしな現象ですよね。
中国の力の入れどころ
こうした夏と冬のオリンピックの関心の違いは、国家の力の入れどころが違うからなのかもしれません。確かにフィギュアスケート等にしても中国選手が注目されることはほとんどありません。
そういう選手が出てこないのは国家が力を入れてないからでもあるのです。中国国民としても自国民が活躍する大会にこそ興味があるというわけですね。