その都度「きれいね!」と大変喜んでくれるのですが、よく考えると中国人がハンカチを使っているのを見たことはほとんどありません。どういうことなのでしょうか?
中国人がハンカチを使わない理由
中国人にとってのハンカチ
こだわりの品
中国語でハンカチは「手帕」(shǒupà)または「手绢」(shǒujuàn)といいます。
語尾に「儿」を付けて「手帕儿」(shǒupàr)、「手绢儿」(shǒujuànr)と発音する場合もあります。
ハンカチを携帯する人は少数派で「卡哇伊」(kǎwāyī「かわいい」)と称される文化にはまる若い女性か、男性なら社長や企業家などで服飾品にこだわりのある人くらいと言われています。
ハンカチは過去のもの
なぜなら、多くの中国人にとってハンカチは既に過去の記憶の一つにしか過ぎないからです。
1970-1980年代、若い女性の間では蝶の刺繍などで装飾されたハンカチを長い髪に飾る流行がありました。
また邦画の「幸せの黄色いハンカチ」の影響もあって、当時はハンカチが愛情や希望の象徴とされていた時代でした。
ところがペーパータオルの登場で、ハンカチはあっという間に人々の日常生活からその場を失ったのです。
また最近ではハンドドライヤーが設置されている場所が増えていることも背景にあるかもしれません。
ハンカチvsペーパータオル
逆に中国人の目から見ると、いつもハンカチを使っている日本人が不思議に映るようです。
なぜ自分たちがハンカチを使わないのか、そしてなぜ日本人はハンカチを使うのかを論じた面白い説明があります。
ペーパータオル派
Yóuyú yí cì xìng zhǐjīn de chūxiàn hé pǔjí,Zhōngguó de shǒupà jiù hěn shǎo jiàn le。
由 于 一 次 性 纸 巾 的 出 现 和 普 及,中 国 的 手 帕 就 很 少 见 了。
使い捨てペーパータオルの登場と普及により、中国のハンカチはほとんど見られなくなった。
ペーパータオルを使う利点は、ハンカチより衛生的だからだと考えるようです。
何度も繰り返して使うハンカチには大量の細菌や病原菌が残り、人体への感染源になるという訳です。また、用途が広いという利点もあると主張しています。例えば、
①顔をふくこともできるし、トイレットペーパーとしても使える
②購入するのも使うのも便利で現代人の生活に適している
③紙面印刷を活かせば広告媒体にもなる
などなど。この主張には、こまめに洗濯する日本人の習慣が反映されていないかもしれませんね。
ハンカチ派
環境保護の専門家の意見では、便利ではあるもののペーパータオルの無節制な消費には主に三つの弊害があると言います。
①大量の木材を消費する。
②使い捨てペーパータオルを使用することは大量のごみを発生させ、環境汚染につながる。
③あるペーパータオルには蛍光増白剤や塩素など健康を害する化合物が含まれている。
このように環境保護と森林資源の節約の観点から見れば、ペーパータオルの使用を減らし、ハンカチを多用すべきだという意見なのです。
Chéngrán,yòng zhǐjīn háishi yòng shǒupà,chúnshǔ gèrén xǐhào,
诚 然,用 纸 巾 还 是 用 手 帕,纯 属 个 人 喜 好,
rán’ér,tǒngjì shùjù biǎomíng,wǒ guó nián rén jūn xiāofèi zhǐjīn 1.74 qiān kè,
然 而,统 计 数 据 表 明,我 国 年 人 均 消 费 纸 巾 1.74 千 克,
zhè yìwèizhe měi nián yǒu 1000 wàn lìfāngmǐ de sēnlín bèi kǎn diào。
这 意 味 着 每 年 有 1000 万 立 方 米 的 森 林 被 砍 掉。
Jǐnguǎn xǐ shǒupà yě yào yòng bǎoguì de shuǐ zīyuán,
尽 管 洗 手 帕 也 要 用 宝 贵 的 水 资 源,
dàn bǐ qǐ shùmù de xiāohào,zhè bǐ huánbǎo zhāng háishi huásuàn duō le。
但 比 起 树 木 的 消 耗,这 笔 环 保 账 还 是 划 算 多 了。
たしかにペーパータオルを使うかハンカチを使うかはまったく個人の好みです。
しかし統計の示すところによると、我が国の国民が使うペーペータオルの平均消費量は1.74Kg、つまり毎年1000万立方メートルの森林が伐採されていることを意味しているのです。
ハンカチを洗うにも貴重な水資源を使わなければなりませんが、それでも樹木を消耗することに比べれば、この環境保護費はやはり割に合うと言えるでしょう。
ハンカチ文化への興味
ハンカチを使うかペーパータオルを使うかに関わりなく、ハンカチを使うという文化に興味を持つ人々もいるようです。
Duì dàduōshù Rìběnrén lái shuō,wàichū shí bú wàng dài shàng yì fāng shǒujuàn
对 大 多 数 日 本 人 来 说,外 出 时 不 忘 带 上 一 方 手 绢
kěyǐ shuō shì zuì pǔtōng de jiàoyǎng。
可 以 说 是 最 普 通 的 教 养。
Rénmen shǐyòng shǒujuàn de xíguàn shì cóng shàng yòu’éryuán kāishǐ péiyǎng de,
人 们 使 用 手 绢 的 习 惯 是 从 上 幼 儿 园 开 始 培 养 的,
xiǎoxué dīniánjí de xuésheng shǒuzé lǐ yě yàoqiú xuésheng měi tiān xiédài shǒujuàn hé zhǐjīn。
小 学 低 年 级 的 学 生 守 则 里 也 要 求 学 生 每 天 携 带 手 绢 和 纸 巾。
多くの日本人にとって外出する際にハンカチを忘れず携行することは最も基本的な教養であると言える。
ハンカチを使うという彼らの習慣は幼稚園に上がる頃から養われ始める。
小学低学年の児童が守るべきルールの中にも毎日ハンカチとティッシュを携帯することが求められている。
こうした幼い時から養われた習慣が、ある種の自尊心につながるという見方さえあるようです。
清潔に洗われ、きちんとアイロンのかかった様々な模様のハンカチを男性も女性も日常的に携帯すること、生活のいろいろなシーンでハンカチを使うことに対する憧れを感じる人もいるのですね。