中国語で心から謝る方法:文化背景と効果的な表現
目次
中国人のマナーの違い(ごめんなさい)
アメリカのマナーの一つは、ほんの些細なことでも相手に嫌な思いをさせたかもしれないことがあれば、「I’m sorry. 」と言いますよね。
日本人も例えば電車内で肩や荷物などを近くの人にぶつけてしまった場合には、すぐに「ごめんなさい。」「すみません。」と言うものです。
逆に中国人はこんなことぐらいではほとんど謝りません。
この違いはどこから来るのでしょうか?
少し迷惑をかけてしまったなと感じるような時に謝罪の言葉
まず、人が多すぎるので、バスや電車で人にぶつかるのは当たり前。
通勤ラッシュや帰省ラッシュなどで、バスの車内が混んでくる場合、運転手はこれでもかというくらい、ぎゅうぎゅう詰めになるまで人を載せます。それで当然、普段、物や体がちょっとぶつかるなんていう事は謝るほどのことではない、という感覚かもしれません。それでも、マナーのある人はいますから、「あ、すみません。」という感覚で謝ってくれる若い人も増えてきました。
その場合は、
「不 好 意 思」(bù hǎo yì si)か
「对 不 起」(duì bu qǐ)と言います。
「不 好 意 思」(bù hǎo yì si)は、少し迷惑をかけてしまったなと感じるような時に謝罪の言葉としてよく使われます。
例えば、友人がメールを送ってくれていたことに後になって気づいた場合は、
bù hǎo yì si ,wǒ gāng fā xiàn nǐ gěi wǒ fā de duǎn xìn
不 好 意 思 ,我 刚 发 现 你 给 我 发 的 短 信 。
(ごめんね、私つい今しがたあなたが送ってくれていたメールに気が付いたわ。)
メールでの返事が遅れてしまった時の言葉
また、メールでの返事が遅れてしまった時には、
bù hǎo yì si ,wǒ huí xìn wǎn le
不 好 意 思 ,我 回 信 晚 了。
(返事のメールが遅れてすみません。)
というように、申し訳なかったという気持ちを伝える事が出来ます。
「不 好 意 思」の別の用法の言葉
余談ですが「不 好 意 思」(bù hǎo yì si)には別の用法もあります。「ちょっと恥ずかしくて」「ちょっと遠慮があって」「ちょっと申し訳なくて」というニュアンスで使う場合です。
wǒ bù hǎo yì si kāi kǒu shuō
我 不 好 意 思 开 口 说 。
(ちょっと恥ずかしくて私からは言えないわ。)
などと言います。
重みのある謝罪の「对 不 起」という言葉
もう少し重みのある謝罪の言葉となると「对 不 起」(duì bu qǐ)を使います。
例えば、友達の大切にしていた物を壊してしまった場合、
duì bu qǐ,wǒ nòng huài le nǐ bǎo guǐ de dōng xi
对 不 起 ,我 弄 坏 了 你 宝 贵 的 东 西 。
(ごめんなさい、私あなたの大切にしていたものを壊してしまいました。)
上司に報告と謝罪をする時の言葉
仕事上大きなミスを犯してしまい、上司に報告と謝罪をする時は、
jīng lǐ ,zhēn duì bu qǐ ,wǒ fàn le bǐ jiào yán zhòng de cuò wù
经 理 , 真 对 不 起 ,我 犯 了 比 较 严 重 的 错 误 。
(申し訳ありません、大変なミスを犯してしまいました。)
等と言います。
なかなか謝罪しないのが中国の習慣
それでも、相手が友人やごく親しい人ではない多くの場合、なかなか謝罪しないのが中国の習慣のようです。
ある留学生が自転車を本屋の前の有料自転車置き場に留めた時のことです。
本を購入して店から出て来ると、自転車が元置いてあった所にありません。探してみると少し離れた所に移動させられていました。
自転車置き場の管理の人が、自転車を詰めて置くために移動させたようです。
ところが、なんと自転車のハンドルが中心軸から見てあらぬ方向に曲がっているではありませんか!よほどの力で隣の自転車とぶつけでもしなければこんなふうに曲がるなんてありえない!彼は、自転車のハンドルを指さして
nǐ kàn!zhè dào dǐ zěn me bàn
你 看 ! 这 到 底 怎 么 办 ?
(見てよ!どうするんだよ、これ?)
と怒りモード。
それに対して帰ってきた返事は、彼が期待した
duì bu qǐ
对 不 起
ではなく、
méi wèn tí
没 问 题 !
「だいじょうぶ。」もしくは「問題ないさ。」
だったのでした。
「お客様」に嫌な思いをさせないという認識はなかなか見られない
中国でも「お客様は神様」(「顾 客 是 上 帝」)(gù kè shì shàng dì)とは言いはするのですが、実際の所、よほど大きなホテルやレストラン、しっかりと社員教育のなされた規模の大きな企業や百貨店でもなければ、「お客様」に嫌な思いをさせないという認識はなかなか見られません。
空港からのシャトルバスでのこと。
乗り込んだものの席の空きがなかったので、次の便にしようと降りると、
添乗員が「お客様、席は必ずあります。座席数分だけのチケットしか販売しておりませんので。」と言います。
再び、バスに乗ってみるものの、やはり空席はありません。
先に座っている 乗客は事情を知ってもめること数十分。
ようやく、後部座席の一つにチケットを買っていない子供を座らせていた親がいることが判明し、座ることができました。
バスは30分 以上も遅れる羽目になり、みんなにこれだけの迷惑をかけたにもかかわらず、結局誰も誰にも謝罪しない、そしてそのまま出発したのでした。
でも、これが友人や親しい関係だとそうでもありません。
ちょっとしたことでも、すんなり謝ると好感度アップです。
少し早めの口調で、
「对 不 起 ,对 不 起」
(duì bu qǐ ,duì bu qǐ)
と繰り返し言ってみてください。
きっとすぐに、
「没 事 儿 ,没 事 儿」
(méi shì er ,méi shì er)
という返事が返ってきますよ。