中国のお薦めのスイーツは?と聞かれても、実は思い浮かぶのが無かったりしませんか?思い出すのは、中国で食べた西洋スタイルの蛋糕(dàn gāo:ケーキ)がまずかったことだったり…
西洋料理が今でもあまり浸透していないので、仕方のないことなんでしょうか。
中国スイーツの世界を大解剖!本場の甘味と香港スイーツの魅力を楽しむ
中国スイーツ
のっけから、言葉が悪く、話も終わってしまいそうなのですが、でも、このようにお話するのにはそれなりの理由があります。
実は大陸のスイーツを食べる前に、香港のスイーツの美味しさを、いやというほど味わってしまったからなのです。
点心と甜品
スイーツに該当する中国語は点心(diǎn xīn)ですが、最近は甜品(tián pǐn)も使われています。
甜品は香港で一般的にスイーツ、デザートを表す言葉。
中国大陸でも、港式甜品を出すお店はあるにはあるのですが、特に北の方、私が住んでいた北京では、街の中心部のそのまた中心部に行かなければお目にかかれませんでした。
香港スイーツが人気
それが最近では、
gǎng shì tián pǐn huŏ le!!
港式甜品火了!!
香港式のデザートがブーム!!
だというのです。なんか分かる気がします。
私事で恐縮ですが、よほど疲れたときでなければ甘いものには手が出ない私でも、港式甜品だけは「大好き!」と声を大にしてお薦めするほどですから。
香港で飲茶
香港といえば飲茶(yǐn chá)。お茶を飲みながら小皿料理や蒸篭に入った蒸し料理をいただく食事スタイルです。
香港ではここでいただく小料理のことを「点心」と言いますので注意してください。そして、点心と同様に、飲茶で欠かせないのが「甜品」です。
大陸では香港式の飲茶は港式饮茶(gǎng shì yǐn chá)、港式早茶(gǎng shì zǎo chá)と言い、甜品は港式甜品(gǎng shì tián pǐn)と言います。
ベーシックな港式甜品
定番でベーシックな港式甜品は、杏仁豆腐(xìng rén dòu fŭ:杏仁豆腐)、芒果布丁(máng guŏ bù dīng:マンゴープリン)、
蛋挞(dàn tà:エッグタルト)、西米露(xī mǐ lù:タピオカココナツ),椰汁糕(yē zhī gāo:ココナツケーキ),芝麻糊(zhī má hú:ゴマスープ)等々。
キリがないのでここで止めますが、これらにさらにいろいろな果物や他の食べ物が加わって、本当にバラエティに富んだ味が堪能できます。
杏仁豆腐
杏仁豆腐については思い出があります。日本の中華料理屋さんで食べる杏仁豆腐というと、フルーツポンチのようなものの中に角切りの杏仁豆腐が入って出てきますが、本場、香港の伝統的杏仁豆腐は全然違いました。
香港でもお高いレストランなどで注文すれば、色鮮やかなフルーツも添えられてお洒落な盛り付けで出てきます。
けれども普通に街中で小腹を満たすようなちょっと小汚いお店では、ご飯茶わんに杏仁豆腐の元を注いで冷やして固めたものがそのまま出てきます。
香港人の友達に「これがオリジナルの杏仁豆腐だよ」と教えてもらって、結構、感動したことを覚えています。
亀ゼリー
話が突然飛びますが、このような大衆的なお店では、同じようにスタイルで黒いぷよぷよしたものを置いているところもあります。
これは龟苓膏(guī líng gào)です。通称「亀ゼリー」ですね。
でもこれはゼラチンを入れて固めているわけではなく、さまざまな薬膳を加えた亀エキスを熱することでタンパク質に変化が起こり、ぷるぷるになるのです。
【スイーツというより漢方薬】
ですからお店では、出来き立てのアツアツのもの、冷やしたものの二種類が楽しめます。
夏バテ、美肌効果、便秘等々に効くと言われますので、香港OLにも人気の、永久不滅のベストセラーです。
ただし、スイーツ、デザートなのかと聞かれれば、スイーツ感覚の“漢方薬”と答えるのがベターではないでしょうか。
タピオカ
さて話を元に戻して、とりわけ自分でもよく作って食べたのが西米露です。
西米は、でんぷん質の丸い粒上の食品でタピオカと言われます。
台湾発の大ブーム飲料・珍珠奶茶(zhēn zhū nǎi chá)に入っているヤツ、と言えば分かりやすいかもしれませんね。小さな粒々、大きな粒々があります。
【作り方】
この西米を水に一晩つけてから水と一緒に煮込みます。
粒々が半透明になって芯がなくなったらココナツミルクと砂糖を加えていただきます。これも熱いままでいただいても、冷やしていただいてもOKです。
【おすすめの食べ方】
そこにさらにお好みでフルーツ等を加えることも。例を挙げると、メロンを加えて蜜瓜西米露(mì guā xī mǐ lù),マンゴーを加えれば芒果西米露(máng guŏ xī mǐ lù),
ゆで小豆を加えたなら红豆西米露(hóng dòu xī mǐ lù),そして好き嫌いが分かれるフルーツの女王・ドリアンを加えた榴蓮西米露(liú lián xī mǐ lù)等々。
ベースとなる西米露を作っておけば、いかようにもアレンジできてしまいます。だから、レストランで蜜瓜西米露を頼んだはずなのに、こんなことが起こることも。
yo,lǐ miàn méi yŏu mì guā le, fú wù yuan, kuài diǎn jiā diǎn mì guā ba!
哟,里面没有蜜瓜了~, 服务员,快点加点蜜瓜吧!
進化した大陸の港式甜品も食べてみたい気になってきました。
でも、やっぱり本場・香港にはかなわないかなあという思いも。いずれにせよ、食べ比べてみたいものです。