語学を学び始めて、最初の段階で勉強するのは「挨拶」。これは、どの言葉にも共通していますね。人間関係の基本はやはり挨拶から始まるからなのでしょう。
中国の1日の挨拶まとめ- 日常で使える中国語の挨拶を紹介
目次
人付き合いは挨拶から
中国人の友達や話し相手ができて、「你好(nǐ hǎo:こんにちは)」「早!(zǎo:おはよう)」「拜拜(bài bài:バイバイ)」なんて話しかけられる友達や話し相手ができると、「もっと話したい!」なんて意欲もわくものです。
「你好」「早!」などの基本を覚えたら、もっと自分の感情を込めた挨拶ができるようになりたい!
そうすれば、もっとお互いに親近感がわくはず、と思われるのもごもっともですが、その前に、1日に交わされる挨拶について、もう少し極めてみましょう。
TPOにあった使い分け
冒頭に朝に会った人に対する挨拶として「早!」なんて書きました。皆さん、恐らく推察が付いていらっしゃると思いますが、これは「早上好(zǎo shàng hǎo:おはようございます)」の省略形です。
用法の違いは、後者が「おはようございます」と丁寧であるのに対して、
前者は友だち同士やカジュアルな関係で使われる「おはよう!」と軽めのノリです。
同輩や友達、家族との間では「早!」は頻用します。ただ、会社の上司や年配の人など、少し距離感がある人に対しては避けた方が良さそうです。
目上の人に朝の挨拶をするときは「早上好(zǎo shàng hǎo)」と言っておけば間違いないでしょう。
朝の挨拶
それから、朝の挨拶には「早安(zǎo ān)」もあります。これはどちらかというと、文語的で、一昔前に使われたそうです。
だからなのか、私は「早安」と声を掛けられたことは一度もありません。今の口語のスタンダードは「早上好」ですね。
夜の挨拶
この朝の「早安」に対して、夜は「晚安:wǎn ān」があります。ところが「晚安」は、夜間に人と会ったときには使いません。
これは夜に人と別れる際に「さようなら」という意味で使ったり、寝るときに「お休み」という意味で使います。
夜に人とあったときは「晚上好(wǎn shàng hǎo)」が一般的です。
ではお昼も過ぎて午後になったときはどのように挨拶をするのでしょうか。
昼ご飯を食べたあとにあいさつをする場合は「こんにちは」を意味する「下午好 xià wǔ hǎo」という言い方がありますが、実はこれも日常の中であまり使われていません。
いつでも你好!
人と会ったときの挨拶の中で、朝・昼・夜のいつでも気軽に使えるのが「你好!」です。
ただ、この「你好!」は、思いもよらないところでも使えました。
私が中国に来たばかりのころ、レストランで「服务员(fú wù yuán:ウエイター、ウエイトレス)」を呼ぶのになんと言っていいのか分かりませんでした。
ま、「服务员~」と声を掛ければ良いのですが、そのときはなぜか、とても言いづらく思えたのです。
レストランでも你好!
そこで一緒にいた友人になんて呼べばいいのかを尋ねたところ、「你好!でOK!」と教えてもらい、「おおっ、これだ!」という感じでした。
「服务员~」だけよりも、なんかちょっと丁寧な感じがしませんか。
それ以降、「服务员」を呼ぶときは、「你好!服务员~」と声を掛けています。
お店の中だけでなく、「你好!」はいろいろな場面で気軽に使えます。
例えば、旅行先で写真を撮ってもらいたいときに声をかけるときや、道に迷って迷子になってしまったときに声をかけるときなど、いろいろな使い道がある万能な挨拶言葉です。
ただ、どこでも使えそうな「你好!」でも、会社の上司や年配の人など、目上の人に使うときは注意しましょう。目上の人にあいさつするときは基本的に日本語の敬語のように「您好 nín hǎo」を使います。
とはいえ、「你好!」は最も気軽に使える挨拶として覚えておいて損はないでしょう。
ご飯食べた?
また、「你好!」同様に、
chī fàn le méi yŏu
吃饭了没有?
ご飯は食べましたか?
chī fàn méi yŏu
吃饭没有?
ご飯、食べた?
と声を掛けられることもしょっちゅうです。
これはイギリス人の「How’s weather?」や大阪の「儲かってまっか?」みたいなもので、その国や地域特有のもので、人々が一番関心を寄せているものを題材に挨拶言葉としています。
ただ、「吃饭了没有?(chī fàn le méi yŏu)」と声をかけられても相手は本当に「ご飯を食べた?」の答えを知りたいわけではありません。
ただの挨拶のつもりで言っていることの方が多いので、ご飯を食べていなくても「吃了chī le」と簡単に答えておきましょう。
この「ご飯を食べた?」という挨拶言葉は中国で食料が手に入らなかった貧しい時代の名残ともいわれており、その習慣が今に伝わっているそうです。
中国といえば“食在中国”ですものね。
中国人の友人には、子供のころご両親から教えられたのは、「3食しっかり食べろ」ではなく、「お腹がすいたら必ず食べること」だという人がいます。
とにかく食べます。量もすごい。日本食を食べたことのある友人から、
rì bĕn liào lǐ zhēn shì chī bù bǎo.
日本料理真是吃不饱
日本料理では本当にお腹がいっぱいにならない。
と言われて納得したほどです。
一方で、中国では「もう食べられないよ…」と言いたくなるほどご飯の量が多いことでも知られていますよね。
これも中国の習慣の名残で、「客人にはお腹一杯食べてもらうのが礼儀」とされるからです。
つまり、食事は残すのがマナーとされているのです。
残さず食べるのが日本のマナーだとすれば、中国は逆に食事を残すのがマナーなんて、国の習慣って本当に面白いですよね。
さて、食事に困らなくなった現代人の忙しさをよく表した挨拶表現もあるのでここで紹介しておきます。
それが「你忙吗?」です。「最近、(仕事は)どう?」といったニュアンスを含む挨拶表現です。
ビジネスシーンでよく使われ、「仕事で忙しいことを気遣う挨拶表現」として日常会話の中でよく使われますので、ぜひ使ってみてください。
では別れるときの挨拶の種類には何があるのか見ていきましょう。
別れの挨拶
そして、別れ際の挨拶は朝でも昼でも夜でも「再见」「拜拜」一般的です。夜なら「晚安」とも言えます。「告辞(gào cí)」も使えます。
「失礼します」というフォーマルな言い方としての「告辞」の場合、今は単なる別れのときの挨拶として使われますが、昔は主人に対して「お暇をいただきます」という意味で使われていたそうです。
wŏ gào cí le
我告辞了。
失礼します。
「再见」は読んで字のごとく、再会を期した別れの言葉です。
ただ、友だち同士や恋人同士など親しい関係で「再见」を使うにはちょっとフォーマルすぎますよね。
そんな時に仕える別れの挨拶が「拜拜」になります。
日本語でも「バイバイ」と言うように、中国でも若者を中心に外来語を取り入れた言葉が一般的になってきており、この「拜拜」も広く使われるようになってきました。
「再见」や「拜拜」に類似する言い方として、後に会うことがある程度明らかなときは明天见(míng tiān jiàn:また明日)」「后天见(hòu tiān jiàn:また明後日)」、
あるいは、絶対に会わなければいけないようなシチュエーションでは「不见不散(bú jiàn bú sàn :会うまで帰らない)」を使ったりします。
zán men yuē hǎo le, míng tiān, bú jiàn bú sàn, hǎo ba?
咱们约好了,明天不见不散,好吧?
約束したんだから、明日は会えるまで帰らないから。いいね!
「再见」だとちょっとかしこまってしまい気恥ずかしいときや、次に会う日が決まっていないときは「下次见!xià cì jiàn(また今度ね!)」という表現もあるので覚えておきましょう。
また、別れ際の挨拶では、例えば職場であれば、「辛苦了:xīn kŭ le」「先走了:xiān zŏu le」などと組み合わせることも多いです。
wŏ xiān zŏu le, míng tiān jiàn!
我先走了,明天见!
お先に失礼します。また明日!
挨拶を中国語で
さて、ここまで1日の挨拶を見てきました。ではそもそも、中国語で挨拶自体を何というのかというと、「问候(wèn hòu)」「寒暄(hán xuān)」「打招呼(dǎ zhāo hū)」となります。
「ほら、まずはあいさつをしなさい」なんて親に言われたときに「你先跟他打个招呼吧 nǐ xiān gēn tā dǎ gè zhāo hū ba」と使います。
「问候」の「候」は「時節」を意味します。「寒暄」は、「寒」が「寒い」、「喧」が「暖かい」という意味で、いずれも「季節を問う」、即ち「時候の挨拶」となるでしょうか。
「打招呼」の「招呼」は「呼びかけ」「声掛け」の意味で、「打」が付いて「挨拶する」「声を掛ける」という意味です。
これまで紹介してきたように、中国語の挨拶言葉には様々な言い方がありますが、日常会話の中で使われる言葉はごく一部しかありません。まずは「你好」や「再见」をマスターし、そこから状況に応じていろいろな挨拶表現を使えるようにしていきましょう。
普段から使える中国語の挨拶
中国人が一般的に使っている挨拶を考えてみましょう。日本人は「こんにちは」や「お世話になっております」など使う場所や相手によって挨拶を変えているかもしれません。
では、中国語では何というのでしょうか。普通の挨拶を練習してみましょう。
近所の人に会った時
日本では近所の人に会った時に「こんにちは、暑いですね。」など普通の挨拶と天気の挨拶を組み合わせて使っている人が多いのではないでしょうか。そのような時中国人はどう言うのでしょうか。
nǐchūqǜya
你出去呀
お出かけ?
nǐzǒuya
你走呀
行くの?
そのような問いかけに答える方法
en
嗯
そう
en,mǎicài
嗯,买菜
そう、買い物
このように、「こんにちは」という言葉は使いません。
中国の人は“走呀”“出去呀”などのように軽く「出かけるの?」という挨拶表現を使うのが一般的です。
日本人の様にまったく挨拶をしないという人も多くいます。しかし、簡単な挨拶なのでニコニコして答えていればいい隣人としてとらえられるでしょう。
会社でのあいさつ
日本では社会人のマナーとして「おはようございます」という挨拶を使う人が多いかもしれません。中国ではどうでしょうか。
lǎile
来了
来たよ・来たのね
nǐzǎojìulǎile
你早就来了
早く着いたんだね
このように「私来たわよ」という主張だけで十分です。
日本人なので最初は「おはようございます」または「こんにちは」などを言いたくなる人が多いですよね。
ですが、そのような挨拶をするとあまりにまじめすぎて関係が遠い印象を与えてしまいます。ラフな挨拶が好まれます。
しかし、中国人の中には挨拶をしないで仕事を始めるという人もたくさんいます。習慣の違いだと思って受け入れてもいいのではないでしょうか。
朝、家族とのあいさつ
朝起きたら「おはよう」と言うように教わるのではないでしょうか。何も言わないとよく親に怒られるものです。では、中国ではどうでしょうか。
zǎo
早
おはよう!
もし、言うとしたらこの言葉でしょう。中国人の家族は家族内でも面子がある為「ありがとう」や「ごめんね」などの言葉を使いません。親しい人には言えない言葉なのかもしれません。
それで、朝の挨拶も言わないか、もしくは“早!”を使うだけです。この早は早上好を短くした言葉です。仲のいい人には使えます。
友達に会うとき
日本ならば友達に「待った?」「お待たせ」という言葉をかけるかもしれません。まずは相手を気遣った言葉をかけることが多いからです。では、中国ではどうですか。
Zǎnmenzǒuba
咱们走吧
行こう!
nǐzǎojìudàole
你早就到了
早く来たの!?
など様々です。基本的に中国の人は遅刻しても謝らず、遅刻してきた人が「行こう」と言う複雑な状況が一般的です。
ここは日本人からすると理解に苦しむところかもしれません。
しかし、友達ならば遅刻しても気にしないというのが中国人の考え方なので日本人はそうではないという事をはっきりと伝えるなら、中国人と良い交友を楽しめるのかもしれません。
挨拶というより声掛け
日本ではある程度の距離を置くことがあるとしても、挨拶を大切なものとみなしている人は多いのではないでしょうか。
その点中国人は挨拶をするという感覚よりは声掛けというほうが適しているような気がします。
お互い気を使うことなく自然な会話を始めるのが中国人の特徴です。親しき仲にも礼儀ありと言いますが、中国では親しき仲こそ礼儀無しという感じなのかもしれません。