中国での留学生活中、24時間中国語に囲まれ、予習と宿題に追われる日々で恋しくなるのが甘いもの。
ということで、学校周辺でケーキ店を探すのですが、これがなかなか難しいのです。今回は中国のケーキ事情をご紹介しましょう。
中国のケーキ文化:彩虹蛋糕や卡通蛋糕など
ケーキの名前
中国語でケーキは「蛋糕」(dàngāo)、ケーキ店は「蛋糕店」(dàngāo diàn)です。シュークリームは「泡芙」(pāofú)、エッグタルトは「蛋达」(dàndá)、ゼリーは「果冻」(guǒdòng)となります。
プリンは「布丁」(bùdīng)、クッキーは「曲奇」(qūqí)といい、英語の発音に合わせた造語ですが、プリンについては「奶冻」(náidòng)、つまり牛乳を固まらせたものと表記することもあります。
お店の看板に「西点」(xīdiǎn)と書いてあれば洋菓子屋という事です。また「现场烘焙」(xiànchǎng hōngbèi)と書いてあれば、その店で焼き上げたケーキを売っています。
中国風ケーキとは?
日本によくある、洒落たケーキ店はなかなか見つからないとはわかっているものの…。
久しぶりの自分へのご褒美だと思い、ようやく見つけたケーキ店に入ってみると、そこに並んでいるのは想像もしなかったような商品でした。
彩虹蛋糕(cǎihóng dàngāo)
その名の通り、虹色に飾り付けられたホールケーキ。もちろんカットサイズもあります。最近、これが流行のようです。
色はどう見ても食用色素で着色していますが、店によってはクリームの色ごとに原材料が違うと主張しているところもあります。
例えば紫色はむらさきいも「紫薯」(zǐ shǔ)、赤色はいちご「草莓」(cǎoméi)というわけです。
卡通蛋糕(kǎtōng dàngāo)
「卡通」(kǎtōng)とはアニメーションや漫画の事です。それでアニメーションや漫画のキャラクターをモチーフにしたケーキを「卡通蛋糕」といいます。
特に、子供たちの誕生日に購入することが多く、ドラえもんやハローキティ、中国の独自キャラクター「喜洋洋」(xǐ yángyáng)はレギュラー商品です。
こうしたケーキはネットでも販売されています。また家庭で作る方法がネット上で公開されていて、出来上がった作品の写真をアップしている人もいます。
乳製品には改善の余地が
さて、中国のケーキ店やパン屋の前を通っても、不思議とバターと小麦の焼けた香ばしいにおいがあまりしません。
こうした店で使っているのは本物のバター「奶油」(nǎiyóu)( 「黄油」(huángyóu)ともいう)や、チーズ「奶酪」(nǎilào)ではない可能性があります。
中国では牛乳「鲜奶」(xiānnǎi)を飲めない人が多く、牛乳を原材料とした製品がまだあまりポピュラーではないことが原因として考えられます。
そのため「泡芙」の中のクリームは何だか合成的な味がしますし、「曲奇」は口に入れるとぼそぼそして、すぐに砕けてしまいます。
流行のケーキ学校
こんな少し悲しいケーキ事情にも一筋の光が!
実は最近、各地で流行っているのが「蛋糕培训班」(dàngāo péixùn bān)、もしくは「西点培训学校」(xīdiǎn péixùn xuéxiào)と呼ばれるケーキ学校です。
中流階級の主婦や若者がオーブン「烤炉」(kǎolú)を使い、本物の材料で洋菓子を作りたいと訪れているのです。
Wǒ zuìjìn kāishǐ xuéxí zuò dàngāo,měi zhōumò cānjiā dàngāo péixùn bān,
我 最 近 开 始 学 习 做 蛋 糕,每 周 末 参 加 蛋 糕 培 训 班,
gāng hōngkǎo de dàngāo zhēn xiāng!
刚 烘 烤 的 蛋 糕 真 香 !
私最近ケーキ作りを学び始めたの。毎週週末にケーキ学校に通っているのよ。焼きあがったばかりのケーキのなんて香ばしい事!
こうしたケーキ学校はケーキ材料の販売も行っています。
一般的な小麦や砂糖以外にも、バター、クリーム、チーズなどは輸入品を取り揃えている場合もあり、それに加えて、ケーキ型やカップ、攪拌機などの道具も意外に充実しています。
またバターチョコレート「奶油巧克力」(nǎiyóu qiǎokèlì)、ゼリーの素「果冻粉」(guǒdòng fěn)(ゼラチンではない)、ナチュラルヨーグルト「原味酸奶」(yuánwèi suānnǎi) (中国で一般に売られているヨーグルトは甘味が添加されている)など、もあります。
こうして見ると、なかなか受け入れられなかった洋菓子の味、乳製品の香りや味も、少しずつ若者世代を中心に浸透し始めているようですね。