古代中国の教育の場-私塾

  1. 中国歴史・民族

中国の学校は二学期制で、新学年は秋からスタートします。実は約四千年前から中国には学校があったと言われています。

その教育の場は「私塾」(sī shú)と呼ばれていました。いったいどういう所だったのでしょうか?

古代中国の教育の場-私塾

古代の私塾

私塾とは

中国固有の民間での学問の場として「私塾」には長い歴史があります。

ある家庭や教師が個人で開いた学びの場のことを言い、公立のものとは異なるという意味で「私塾」と呼ばれました。

私塾の歴史

例えば孔子が故郷に開いた学びの場は「私塾」の一つだったと言われています。また、紀元前1000年ごろに始まった周時代に、定年退職後の官吏が地方で開いた「私塾」の記録が残っています。

近年の発掘によると、それよりさらに古い商「」(Yīn)時代の甲骨文には、卜(ぼく)占(せん)の文字が書かれていて、その中に「」という文字が幾度も出てきます。

とはいえ時代の「」とは、子供が教育を受ける場ではなく、王侯貴族の邸宅の門の横にある部屋を指しました。

それはそこで仕える者達が、起きたある事態にどう対処するかを熟慮する場所で、「熟考する」という意味から「」という言葉ができたからです。

文化統一の為の私塾

孔子は春秋時代末期の諸子百家の一人に過ぎず、彼の唱えた儒学思想もその当時はどの国にも国策としては採用されませんでした。

ところが時代が流れ国家が統一されると、前漢の武帝が広大な国土の多民族を思想的、文化的に統一しようと考えました。

【儒教教育】

それで儒学思想が文教政策として採用されることになりました。これを「独尊儒术」(dúzūn rúshù)と言います。

また都長安に「太学」(tài xué)という最高学府を造り、儒学教育を大々的に推進するようになりました。

隋から唐時代にかけて科挙制度が完成すると、試験問題として出される儒学の経典を学ぶため「私塾」も発展し始めます。

とはいえ八歳位の子供たちが「私塾」に通うようになったのは、宋時代以降になってからのようです。

Sī shú,shì wǒ guó gǔdài shūxiāng méndì de yī zhǒng liánghǎo de jiātíng jiàoyù xíngshì。

私 塾,是 我 国 古 代 书 香 门 第 的 一 种 良 好 的 家 庭 教 育 形 式。

Sòng Míng lǐxué jiā zhùzhòng duì értóng jìnxíng lúnlǐ jiàoyù,tuīxíng shèhuì jiàohuà huódòng,

宋 明 理 学 家 注 重 对 儿 童 进 行 伦 理 教 育,推 行 社 会 教 化 活 动,

lìdài dìwáng dōu bǎ jiàoyù értóng kàn chéng shì jiāzhǎng zìjǐ de zérèn,

历 代 帝 王 都 把 教 育 儿 童 看 成 是 家 长 自 己 的 责 任,

guānfǔ cóng bu gānyù sī shú bàn xué,rènpíng sī shú zài mínjiān zìyóu fāzhǎn。

官 府 从 不 干 预 私 塾 办 学,任 凭 私 塾 在 民 间 自 由 发 展。

私塾とは、我が国古代の知識階級における一種の優れた家庭教育方式です。宋時代から明時代の唯心論哲学思想家は子供たちに倫理教育を施すことを重視し、社会教化活動を推進しました。歴代の皇帝はみな子供の教育を各家庭の家長自らの責任とみなし、地方の役所も私塾の運営には一切タッチせず、民間での自由な発展に委ねていました。

私塾の教育方法

古代の塾では体罰は当たり前でした。それには父兄も同意していて、勉強を怠ける子供たちは鞭でたたかれることもありました。

日常生活の行いの良し悪しまで成績に影響し、昇級できるかどうかの参考材料になりました。

また「日考」(rì kǎo)、「月考」(yuè kǎo)、「季考」(jì kǎo)と毎日、月ごと、季節ごとのテストもありました。大切なテストの出来が悪ければ、補習授業まであったそうです。

また年齢に応じた要求事項がありました。たとえば八歳の子供は、毎日の本読みと漢字の書き写し200語をさせられたのです。

無料の义塾

教育現場での不平等は今も昔も同じで、貧しい子供たちには教育を受ける機会などありませんでした。

それで、明時代や清時代には地方の役所か地元の名士が慈善事業の一環として「义塾」(yì shú)を開き、社会的にもある程度の発展を見ました。

义塾」は授業料が無料で、貧しい家の子供たちが学校に行けないという問題を解決する当時の方法だったのです。

近代の私塾

さて、近頃ではいろいろな「私塾」が世の中に出回っています。

学校に行っても楽しくない、学校では勉強したくないという我が子のために、母親自らが家庭教師になって教える「私塾」、幼稚園で古代の「私塾」を真似たカリキュラムを組んだもの、

国学推進のために古代私塾を復活させようとする「私塾」、そして認可されていないのに何の資格も持たない「先生」が子供を教える「私塾」などです。

幼稚園児が漢服を着て昔の子供たちのように「三字经」(sān zì jīng)を朗読するところもあるようです。「私塾」の形はこれからも時代と共に変わっていくのかもしれませんね。

中国をテーマにした扇子に漢字が描かれています。

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