中国56民族の魅力と言えば民族衣装ですね。そもそも56も民族があること自体が驚きですが、民族独自の文化や思想が最も反映されるのが服装ではないでしょうか。
今回はその中からとりわけ少数民族の衣装を幾つかご紹介しましょう。
中国語で見る:少数民族の民族衣装とその背後にある文化
目次
民族衣装とは
Mínzú fúzhuāng shì jùyǒu chuántǒng mínzú xíngshì de fúzhuāng,yòu chēng mínsúfú,
民 族 服 装 是 具 有 传 统 民 族 形 式 的 服 装,又 称 民 俗 服,
shì mínzú zhèngzhì、jīngjì、sīxiǎng、wénhuà de fǎnyìng,tǐxiàn zhe mínzú xīnlǐ sùzhì。
是 民 族 政 治、经 济、思 想、文 化 的 反 映,体 现 着 民 族 心 理 素 质。
Mínzú fúzhuāng zài tèdìng de shèhuì shēnghuó jí zìrán huánjìng zhōng xíngchéng,
民 族 服 装 在 特 定 的 社 会 生 活 及 自 然 环 境 中 形 成,
fúhé mínzú de shēnghuó xíguàn hé shěnměi yìshi,
符 合 民 族 的 生 活 习 惯 和 审 美 意 识,
qí mínzú tèzhēng zhǔyào biǎoxiàn yú fúzhuāng de zàoxíng、
其 民 族 特 征 主 要 表 现 于 服 装 的 造 型、
kuǎnshì、sècǎi、cáiliào hé fúshì jiàn děng fāngmiàn。
款 式、色 彩、材 料 和 服 饰 件 等 方 面。
民族衣装は民俗服とも呼ばれ、伝統的な民族の形式を有した服装です。民族の政治、経済、思想、文化を反映し、その民族の心理や素質を具現するものでもあります。民族衣装は特定の社会生活および自然環境の中で形成されてきました。民族の生活習慣や美意識にもかなっています。その民族の特徴を主に服装の造形、デザイン、色彩、材料、アクセサリーなどで表現しているのです。
少数民族の衣装
塔 塔 尔 族(Tǎ tǎ’ěr zú)タタール族
塔塔尔族は主に中国新疆、ロシア、ウクライナ、バルカン、カザフスタンなどの国や地域に居住しています。
ダッタン族「鞑靼族」(Dá dá zú)とも呼ばれます。ロシアにおいては第二の民族のようですが、中国の塔塔尔族の人口は、2010年の統計によると3500余人です。
既にウィグル族などとの結婚により、中国にいる生粋のタタール人はいよいよ少なくなっています。
男性の衣装
男性は冬には黒い毛皮の帽子を、夏には刺繍の施された小さめの帽子をかぶります。内側に白いシャツを、外側に長袖の黒いシャツを着て襟を見せます。また黒いズボンを着用することが多いようです。
女性の衣装
女性が好んで着用するのが、ドレープをたっぷり使った裾の大変広いスカートです。色は白、黄、赤紫などが多く、イヤリング、ブレスレット、指輪、ネックレスなどのアクセサリーで身を飾ります。
クラシック音楽の一つに「ダッタン人の踊り」という曲があるように、塔塔尔族は踊りに長けています。
彼らがこの衣装を着けて軽快な音楽に乗りながら軽やかに踊るさまは、その感情の豊かさを見事に表現しています。
珞 巴 族(Luò bā zú)ローバ族
総人口約六十万で、中国では主にチベット自治区の高山峡谷地帯に約2300人が暮らしているのが珞巴族です。
農業と狩猟に従事し、20世紀半ばになるまで原始社会時代の名残をとどめた生活を送っていました。
彼らには独自の言語があり、先祖代々、口伝えに独自の文化と伝統を継承してきました。
また自然崇拝、トーテム崇拝、先祖崇拝を中心に生活しており、チベット仏教を信仰していないという点で、近隣のチベット族とは異なります。
男性の衣装
男性の衣装には山での狩猟生活の特色が色濃く表れています。羊毛で編まれた黒い袖なしの上着は肩から腹部にまで及ぶ長さです。背中には野牛の皮をはおり、皮ひもで結びます。
彼らのこだわりは腰飾りにあります。動物の皮で作られた腰飾りには、表面を貝殻で縫い合わせた袋、鎌状の火打ち金、鎖、銅の勺、ビーズ、印鑑などを下げています。
女性の衣装
女性が身に着けている飾りの総重量は何kgにもなる事さえあり、長年の交換によって蓄えてきたものです。
つまりその家庭の財産の象徴なのです。祭りの度に彼らは民族衣装で正装し、その美しさを競います。
内陸部で少数民族に出会おう
中国内陸部を旅すると、その地方に住まう少数民族の文化や民族衣装を体験できる場合があります。そういう機会を通して、新しい発見を楽しむのもいいですね。
広い国土を誇る中国の魅力の一つは、豊かな文化かもしれません。人口の91%以上を占める主要民族である漢民族以外に55の少数民族があります。
それらの民族には各々の文化、習慣、宗教、歴史等があり、その独特の衣装は大いに魅力的です。
多様な民族
最大民族の漢民族は「汉族」(Hàn zú)、残る55の少数民族を「少数民族」(shǎo shù mín zú)と言います。
それら以外に、正式には認定されていない民族も存在します。これらの少数民族が人口に占める比率は約9%です。
その中で人口の最も多いのがチワン族「壮族」(Zhuàng zú)です。それ以外によく知られている民族をいくつか挙げてみましょう。
「满族」(Mǎn zú)
古くは女真族と言われていた満州族
「蒙古族」(Měng gǔ zú)
モンゴル族は内モンゴル自治区に最も多くが居住しています。
モンゴル国のモンゴル人が用いるキリル文字をもとにしたモンゴル語ではなく、ウイグル文字をもとにして作られた旧モンゴル文字を多少改造した文字を使います。
「回族」(Huí zú)
イスラム教を信仰する民族
「朝鲜族」(Cháo xiǎn zú)
中国籍を有し、戸籍法に基づいて民族欄に記載されていることを条件に認められる
「维吾尔族」(Wéi wú’ěr zú)
テュルク諸語に属するウイグル語を話すウイグル族
このように多くの民族で構成され、しかも人口が多いのが中国の特徴の一つです。
そのせいか多くの人々は積極的に他者を知ろうとし、多少の違いがあってもそれを受け入れる寛容性を持ち合わせているようです。
たとえば、長距離移動の電車「火车」(huǒ chē)に乗ると見知らぬ乗客同士ですぐにこんな会話が始まります。
Nǐ shì nǎ li rén?
A: 你 是 哪 里 人 ?
あなたはどちらのご出身ですか?
Wǒ shì Hénán de,wèi le shàng xué lái dào Běijīng。
B: 我 是 河 南 的,为 了 上 学 来 到 北 京 。
私は河南省出身です。大学で勉強するために北京に来ました。
Nà,nǐ de jiā rén dōu zài Hénán ma?
A: 那,你 的 家 人 都 在 河 南 吗?
という事は、ご家族は皆さん河南省におられるのですか?
Bù dōu shì,jiějie yǐ jīng chéng jiā,dào Guǎngdōng qù le。
B: 不 都 是,姐 姐 已 经 成 家,到 广 东 去 了。
Bà mā shì Huízú rén,hái zài Hénán。
爸 妈 是 回 族 人,还 在 河 南 。
全員ではありません。姉はすでに結婚していて広東省に行きました。父母はウイグル族でいまも河南省にいます。
Ò , wǒ tīng shuō guò,Hénán shì shǎo shù mín zú de rén kǒu zuì duō de shěng,guǒ rán shì。
A: 哦,我 听 说 过,河 南 是 少 数 民 族 的 人 口 最 多 的 省,果 然 是 。
あ、私聞いたことがあります。河南省は少数民族が最も多く暮らす省でしたね。そういうことでしたか。
壮族について
居住地
少数民族の中で人口の最も多い「壮族」について少しご紹介しましょう。
「壮族」が最も多く住んでいる省は広西チワン族自治区「广西壮族自治区」(Guǎng xī Zhuàng zú zì zhì qū)です。
「桂林山水」(Guì lín shān shuǐ)と称される山水画のような風景で有名な桂林を有する省です。これは「壮族」が暮らす山村の風景写真です。
彼らが暮らす地域は広範で、中にはベトナムの北部や、中国と国境を接するそれ以外の隣国内に住んでいる「壮族」もいます。
衣装
「壮族」の民族衣装の原料は綿ですが、糸を紡ぎ、布を織り、染色するという工程をそれぞれの家庭が手作業で行います。
染色は主に青色、黒色、褐色の三色が主流です。衣装デザインは、男子、女子、未婚の女子でそれぞれ異なります。また大きなターバンは美しく、大いに目を引きます。
女性はイヤリングや腕輪などの伝統的なアクセサリーをつけるのを好み、富裕な人は金、貧しい人でも銀の飾りをつけると言われています。
習慣
少数民族には漢民族とは異なる習慣やしきたり、宗教的なイベントがあります。
「壮族」の場合、農暦の三月三日に当たる日に祝う「三月三」(Sān yùe sān)という祭りが特別な祝日です。地域によっては春節よりも大切で、一年で最も盛大に行われます。
その日には、もち米で作られた伝統食の五色飯を食べます。五色飯の由来説は色々あるようですが、一般的に黒、灰、黄、紫、白の五色で、大切な行事の際や、お客様をもてなす際に提供されます。
文化は民族によって色々
このように、55ある中のわずか一つの民族について紹介するだけでも、こんなにもたくさんの魅力を発見する事が出来ます。尽きない魅力を感じますね。