結婚式における中国伝統の習慣

  1. 中国経済・社会
中国人の新郎新婦はそれぞれの実家で都合2回結婚式を挙げることがあります。

もちろん各地方・各民族ならではの結婚式に関係する伝統的な習慣がありますが、その中でも古代から現代に至るまで、よく行われている習慣をいくつかご紹介しましょう。

結婚式における中国伝統の習慣

交杯酒

(jiāo bēi jiǔ)

これは秦時代に始まったと言われる漢民族の習慣です。

本来は新郎と新婦が結婚の儀式を済ませ、「洞房」(dòngfáng)と呼ばれる夫婦の寝室に入った後に行われた習慣ですが、今では結婚式の際に行われるのが一般的なようです。

由来

古代中国でこの習慣は「合卺」(héjǐn)と呼ばれていました。「」(jǐn)は瓢(ひさご)の事ですが、これを二つに割って杯の代わりにしたのです。

宋時代になると、新郎新婦はその杯に注がれたお酒を半分だけ飲んだ後、杯を交換して飲み干しました。

二人の結婚が末永く続くように「百年好合」(bǎinián hǎohé)という意味を込めて、飲み干した後の二つの杯は一つを上に向け、もう一つは裏返しにした状態で床に投げ捨てられました。

方法

時代の流れとともに「交杯酒」の形式は少なからず変化していきました。「交杯酒」の方法はそれぞれの地域の習慣によって七種類ほどもあるそうです。

今では新郎新婦がグラス、もしくは杯に注がれたシャンパンやお酒を双方の腕を交差させながら飲み干すのが通例です。

この際に周囲の人々は二人が末永く「长久」(chángjiǔ)幸福であるようにという祝福の意味と、お酒を味わうという意味の「尝酒」(chángjiǔ)をかけて

Qǐng xīnláng xīnniáng jiāobēijiǔ,cóngcǐ chángchángjiǔjiǔ!

请 新 郎 新 娘 交 杯 酒,从 此 长 长 久 久!

新郎新婦のお二人、どうぞお酒を酌み交わして下さい。これ以降お二人の幸せが末永く続きますように!

と言います。

入洞房

(rù dòngfáng)

この習慣の由来は中国の古代伝説に登場する「五帝」(Wǔdì)の一人「」(Yáo)が「鹿仙女」(Lùxiānnǚ)を娶った際のエピソードによると言われています。

由来

現在の山西省臨汾市に位置する「姑射山」(Gūyèshān)の付近を視察に訪れた「尧帝」(Yáodì)は、遊牧民を助けてくれる「鹿仙女」の存在を知ります。

後に出逢った二人は恋に落ち、「南仙洞」(nánxiāndòng)という洞窟で初夜を過ごします。

南仙洞」の向かい側にあった「蜡烛山」(làzhúshān)の上から、明るい光が「南仙洞」を昼のように照らし出したとも言われています。

後世の人々はこれをもとに、新婚の二人が新居、とりわけ二人の寝室に入る儀式を「入洞房」(rù dòngfáng)、新婚初夜を「洞房花烛夜」(dòngfáng huāzhúyè)と言うようになったのです。

現在では

写真は時代劇でよく使われる「洞房」の様子です。

もちろん、現在では洞窟ではなく高層マンションに新居を構える夫婦も少なくありませんが、やはりこの習慣は「入洞房」と呼ばれています。

新郎新婦が「洞房」でようやく二人だけになれたと思った頃に、親友や親せきがやってきて大騒ぎをするのが「闹洞房」(nào dòngfáng)です。

彼らは新婚の二人をわざとからかったり、悪ふざけをしたりするのですが、新郎新婦は決して気を悪くしたり怒ったりしてはいけません。

こうすることで邪気を取り除くと信じられているからです。

回门宴

(huí mén yàn

結婚式を新郎の実家と新婦の実家の二箇所で行う場合、新婦側で開くのが「回门宴」(huí mén yàn)と呼ばれる宴です。

由来

古くは春秋時代に始まった習慣で、成婚後の三、六、七、九、十日後、もしくは三十日後に、新郎が新婦を伴って新婦の実家に戻り、妻の両親と親せきに贈り物を差し上げる儀式でした。

これは、新郎が妻と共に婿として義父と義母に対して実の親に対すると同様の感謝と尊敬の念を表すため、また成婚後も両親の養育の恩を忘れていないことを示す目的で行われます。

華やかな宴

一般的には新婦側が華やかな宴の席を設けて婿を歓迎することになっています。

最初の結婚式でウェディングドレスを着た新婦も、「回门宴」ではたいていの場合、赤を基調としたドレスやチャイナドレス「旗袍」(qípáo)を着ます。

Huí dào niángjiā,xīnláng、xīnniáng shǒuxiān yào wènhòu lǎorén,

回 到 娘 家,新 郎、新 娘 首 先 要 问 候 老 人,

zhè shí,xīnláng jiù yīng gǎi kǒu,gēn xīnniáng yíyàng

这 时,新 郎 就 应 改 口,跟 新 娘 一 样

chēng yuèfùmǔ wéi bàba、māma,yào jiào de zìrán、qīnqiè,

称 岳 父 母 为 爸 爸、妈 妈,要 叫 得 自 然、亲 切,

duìdài qīnyǒu hé línjū yě yīng biǎoxiàn chū qīnqiè rèchén,bīnbīn yǒu lǐ。

对 待 亲 友 和 邻 居 也 应 表 现 出 亲 切 热 忱,彬 彬 有 礼。

妻の実家に帰った時に新郎新婦はまず家族の年長の人々にあいさつしなければなりません。その際、新郎は自然かつ温かみのこもった仕方で、新婦と同様に妻の父親を「お父さん」、妻の母親を「お母さん」とよびます。親戚やご近所の方々に対しても真心と礼儀正しさを示さなくてはなりません。

いずれの習慣も、時代と共にいくらか形は変えてきたとはいえ、新婚の二人を祝福する意味で古代より続いてきたものです。

あらゆる習慣が少しずつ西欧化の影響を受けている中でも、こうした伝統は今後も続いていくかもしれませんね。

一人の女性が中国茶を着ています。

中国人の結婚式の朝はにぎやか

中国人にとって結婚式は一大イベントです。そのため、結婚式の当日は朝から大忙しです。

日本人も結婚式を大切に思っている人は多いかもしれません。しかし、やり方や規模が大陸は一味違います。比べてみましょう。

近所迷惑!?な結婚式

早朝から爆竹

多くの場合結婚式の当日は朝の六時や七時から爆竹の音がし始めます。しかも、花婿の家と花嫁の家どちらでも行われます。基本的に家の入り口で行います。

しかし、都会に住んでいる場合はどうするのでしょうか。例えば、マンションに住んでいる人はマンションの入り口で爆竹を鳴らすという訳です。

住人にしてみればこれほど迷惑なことはないでしょう。しかも、許可を取ることなく堂々と行います。

もちろん北京や上海など都会では禁止されていますが、田舎ではいまだに行われているのが現状です。

中にはカラオケも…

爆竹だけで済めばまだいいのですが、実はカラオケを設置しているところもあります。そこに歌手を呼んで歌ってもらうのです。歌うことを仕事にしている人はたくさんいます。

この状況を簡単に言うと、早朝から他の人のカラオケが近所に響き渡るのです。これはなかなか迷惑だと思うでしょう。

しかし、中国人は気にしません。その話に触れることなく、つまり何の疑問を抱くこともなく過ごします。確かに、歌がうまければいいですが…。

喜

結婚式で歌われる歌

tiánmìmi dènglìjūn

甜蜜蜜 邓丽君

中国語では分かりにくいかもしれませんが、テレサテンのことです。“”は甘い、“蜜蜜”は蜜という言葉から分かるように結婚式にふさわしい歌です。

Péngyou zhōuhúajiàn

朋友 周华健

この歌は結婚式と限らず中国人ならば必ず歌える歌です。友情を歌った歌詞がとても感動的です。この歌は覚えておいて損はないと思います。

下の三つは比較的最近の歌です。どれも流行したものなので若い人達に受けがいいでしょう。

Zánmenjiéhūnba qíchén

咱们结婚吧 齐晨

jīntiānnǐyàojiāgěiwo tàozhé cáoyìlín

今天你要嫁给我 陶喆 蔡依林

duōxìngyùn hánānxù

多幸运 韩安旭

中国人の友達がいるならば歌ってあげると喜ばれるかもしれません。もしかしたら

chàngdehěnhǎo hǎotīng

唱的很好 好听

と褒められるかもしれません。

車

結婚式の習慣

結婚式当日は花婿が迎えに

土地にもよりますが、ある地域では結婚式当日に花婿がたくさんの車を連ねて花嫁の家まで迎えに行きます。

そこで花婿が自分と一緒に行くことを求めますが、花嫁は断ります。しかしそれを無理やり連れだすという習慣があります。

もちろん断るのもわざとですが、そのように日本人には理解しがたい習慣がたくさんあるのです。広い中国ではそのような習慣が一つとは言えないでしょう。

車行列

結婚式があるときれいに装飾された黒い車が縦に何台も並んで走ります。

車に着けられた装飾は様々ですが、基本は生のお花が飾ってあります。フロントには豪華な花がつけられ、一番先頭の車に花婿と花嫁が乗っています。

中国人はにぎやかなことが好き

結婚式が始まる前だけでもこれほどにぎやかで大がかりなので結婚式はどうなるのだろうと思われるのではないでしょうか。

中国人は自分の結婚式を多くの人に知ってもらいたいと思っています。また、面子を大事にするので派手なパフォーマンスを好みます。

しかし、そこが大陸らしいでしょう。結婚式は中国人にとって最大のイベントであり見せ場でもあるのです。

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