中国語学習の初めの段階で必ず出会うのが挨拶表現ですよね。今回は教科書に載っている表現だけではない、より自然でシンプルな表現をご紹介します。ネイティブが使う表現を知ることで、初対面でも緊張せず挨拶ができます。
ビジネスからSNSまで!実用的な中国語の挨拶フレーズ大全
目次
中国語の挨拶表現について
万能な挨拶表現「你好」
場面や相手を問わず、万能な挨拶表現として使える中国語が「你好」です。中国語を学んだことがない日本人でも、一度は聞いたことがある言葉ではないでしょうか。
日本国内では「ニーハオ」とカタカナで書かれているところを見かけることも多いかと思います。
「こんにちは」の挨拶表現としてよく使われる你好ですが、実は「初めまして」の意味でもよく使われています。そのため初対面の相手に対しても、最初の挨拶は「你好」が使われることが一般的です。
日本だと「初めまして」と「こんにちは」は区別して使われるため、日本語を学ぶ中国人にとっては多様な表現がある日本語に戸惑う場面もあるそうです。
中国語の場合、一つの単語に複数の意味が含まれていることも多く、初対面の相手への挨拶も、表現を区別せず「你好」で覚えましょう。
初次见面は使わない
日本語で書かれている中国語教材で必ず出てくる挨拶表現「初次见面(chū cì jiàn miàn)」は、実は中国ではほとんど使われていません。
日本の初級レベルのテキストではよく、会話文で「初めまして」の中国語訳として初次见面が記載されているため、初学者同士の挨拶では、教科書通りに初次见面が使われるケースが多くあります。
【初次见面の意味】
しかし、中国人にとっては馴染のない単語なため、特に「外国人が話す中国語」という印象が強い単語の一つです。実際に中国語に存在している単語でもありますが、中国人は挨拶表現で使いません。
なぜならば、初次见面の直訳は「初めて会う」という事実を述べている印象が強く、会話での挨拶言葉で使うのは違和感があるからです。
加えて、中国人が挨拶表現として初次见面を使わない理由には、中国文化も関係しています。
中国社会では元々、初めて会う相手に対しても親しみや礼儀を表す表現が好まれており、「初めまして」も、距離を感じさせる単語のため一般的には使いません。
そのため、日本人が初対面の相手に対して必ず使う「初めまして!」を使う習慣も中国人にはないのです。
【初次见面の代わりになる表現】
中国人は初次见面ではなく「能认识你很高兴(néng rèn shi nǐ hěn gāo xìng)」を使い、「お会いできて嬉しいです」という気持ちを表現する挨拶が一般的です。
日本文化では、初対面の人に「お会いできて嬉しいです」と挨拶することは、一般的ではないかと思います。
そのため、日本のテキストで初次见面が挨拶表現として紹介されている背景には、日本文化の存在が影響しています。
ネイティブの中国人が普段使わないことを踏まえると、日本文化に馴染むような意訳の意味で初次见面がテキストで使われるようになったとも考えられます。
日本国内で作られた参考書と、中国国内で外国人向けに作られた参考書を比べることで、日中文化のおもしろい違いを発見できるかもしれませんね。
初対面で必ず使う挨拶表現
中国人は「初めまして」と言わない代わりに、初対面の相手に対しての挨拶で必ず使うのは先ほども出てきた能认识你很高兴です。
néng rèn shi nǐ hěn gāo xìng
能认识你很高兴
お会いできてうれしいです。
nǐ hǎo,wǒ jiào wáng nǐn guì xìng
A:你好,我叫王,您贵姓?
こんにちは、私は王といいます。あなたの名前は?
nǐ hǎo nǐ hǎo,wǒ jiào tián zhōng néng rèn shi nǐ hěn gāo xìng
B:你好你好,我叫田中。 能认识你很高兴
こんにちは!私は田中です。お会いできてうれしいです。
中国では、知り合えたことを喜ぶ表現で距離を縮める文化があります。
日本語に訳すと違和感を覚える方もいるかもしれませんが、中国では初対面でも最初から相手との距離を縮める挨拶として必ず使う表現なので、使い慣れていきましょう。
学校で使う挨拶表現
自己紹介
一般的な自己紹介は日本語と大きく変わりませんが、中国語での自己紹介で使われる表現をご紹介します。
中国語での自己紹介で話す項目
- 名前
- 出身
- 職業
- 趣味
日本では、出身大学や年齢を自己紹介で話す傾向があるかと思いますが、中国での自己紹介ではあまり話さず、基本的な名前や出身地、趣味など簡単な内容を紹介することが多いです。
中国語学習者の中には、現地留学される方もいるかと思います。クラスメイトとの初めての挨拶を交わす時、ぜひ活用してみてください。
nǐ hǎo,wǒ jiào lǐ yáng,jiào wǒ yángyáng jiù hǎo
A:你好,我叫李阳,叫我阳阳就好
こんにちは、私は李陽と申します。陽陽と呼んでください。
nǐ hǎo,wǒ jiào shān tián xī,néng rèn shi nǐ hěn gāo xìng
B:你好,我叫山田希,能认识你很高兴
こんにちは、私は山田希といいます。お会いできて嬉しいです。
zěn me chēn hu nǐ ne
A:怎么称呼你呢?
なんと呼べばいいですか?
jiào wǒ xiǎo xī jiù hǎo
B:叫我小希就好!
小希と呼んでください!
hǎo de,wǒ zài wǎng luò guǎng gào gōng sī gōng zuò,nǐ ne
A:好的,我在网络广告工作工作,你呢?
わかりました。私はインターネット広告の会社で働いています。あなたは?
wǒ shì lǜ shī,zài rì běn dōng jīng de dà xué
B:我是大学生,在日本东京的大学。
大学生です。日本の大学に通っています。
先生への挨拶
日本語のように、尊敬語や謙譲語、丁寧語と呼ばれる敬語表現がないといわれる中国語ですが、実は相手に合わせた丁寧な表現はいくつか存在します。
距離を感じさせる固い表現は好まない傾向があるものの、礼儀を重んじる文化のある中国では、特に目上の人への挨拶でもマナーを意識した表現が使われます。
外国人からするとニュアンスを掴む大変さもありますが、ネイティブ表現を学ぶことで中国語力を伸ばすことができますよ。
より自然でナチュラルな丁寧表現を学び、中国の文化を尊重する姿勢での交流は、文化理解と親交を深める上で欠かせません。
nǐn hǎo,wǒ shì shān tián xī,néng jiàn dào nín hěn róng xìng qǐng wèn,nǐn guì xìng
自分:您好,我是山田希,能见到您很荣幸。请问,您贵姓?
こんにちは(初めまして)、私は山田希です。お会いできて光栄です。すみません、お名前を伺ってもいいですか?
nǐ hǎo,wǒ yě shì wǒ jiào wáng yī yáng
目上の人:你好,我也是。我叫王一杨
こんにちは、私もです。私は王一杨 と言います。
wáng lǎo shī,yǐ hòu qǐng duō zhǐ jiào
自分:王老师,以后请多指教。
王先生、これからご指導のほどよろしくお願いいたします。
クラスメイトへの挨拶
中国留学をする場合、必ずクラスメイトとの自己紹介の時間があります。相手が同学(tóng xué:同学生)であるため、表現はよりカジュアルで使われることが一般的です。
nǐ hǎo,wǒ jiào lǐ yáng,jiào wǒ yángyáng jiù hǎo,nǐ jiào shén me míng zi
A:你好,我叫李阳,叫我阳阳就好,你叫什么名字?
こんにちは、私は李陽と申します。陽陽と呼んでね。あなたの名前は?
nǐ hǎo,wǒ jiào shān tián xī,néng rèn shi nǐ hěn gāo xìng a
B:你好!我叫山田希,能认识你很高兴啊
こんにちは!私は山田希と言います。出会えてうれしいです!
nǐ shì rì běn rén ma
A:你是日本人吗?
あなたは日本人ですか?
duì,zhè shì wǒ dì yī cì lái zhōng guó
B:对,这是我第一次来中国
そうなの、中国に来るのは今回が初めて。
wǒ yě shì,yǐ hòu wǒ men yì qǐ xué xí zhōng wén,nǔ lì tǐ gāo zhōng wēn shuǐ píng
A:我也是,以后我们一起学习中文,努力提高中文水平。
わたしも!これから一緒に学んで中国語のレベルをあげようね。
ビジネスシーンで使う挨拶表現
中国語には日本語のような敬語がないため、ビジネスシーンでの言葉遣いも日本ほど畏まり過ぎていません。
日本のビジネスシーンで必ず使われるような定型文も少ないため、普段の口語表現に近いフレーズがよく使われます。
取引先相手への挨拶
jiǔ yǎng jiǔ yǎng wǒ yì zhí hěn xiǎng lái bài fǎng qǐng xiào nà
久仰久仰,我一直很想来拜访,请笑纳
初めてお目にかかります。ずっと伺いたいと思っていました。つまらないものですが…
久仰久仰は名前は前から知っていたが、初めて会う相手に対して使われることが多い単語です。
取引先相手を尋ねる時、手土産を持って行くこともあるかと思います。日本の場合は「つまらないものですが…」と一言添えて渡す文化があるため、この言葉に当てはまる表現として、请笑纳が使われます。
贈り物を受け取ってほしいときに、请笑纳がよく使われる表現のため、ビジネスシーンにおける取引先相手への挨拶表現に加えてみてはいかがでしょうか。
xià zhōu bài fáng nǐn fān biàn ma
下周再拜访您方便吗?
来週もう一度そちらへ伺ってもよろしいでしょうか?
取引先へ訪問した際に、次回のアポイントを取るフレーズとして、日本のビジネスシーンでもよく耳にするフレーズかと思います。帰り際の挨拶に含めて、次回の訪問日程を決めるときにぜひ使ってみてください。
上司への挨拶
nǐn hǎo,wǒ shì shān tián xī,nǐn shì wáng bù zhǎng ma
自分:您好,我是山田希,您是王部长吗?
はじめまして。私は、山田希です。あなたはもしかして、王部長でしょうか?
huān yín huān yín,shì de,wǒ shì wáng bù zhǎng
上司:欢迎欢迎,是的,我是王部长。
ようこそ。そうです。私が王です。
yǐ hòu qǐng duō duō cì jiào
自分:部长,以后请多多赐教
部長、これからどうぞよろしくお願いいたします。
赐教はご指導くださいやご教示くださいという意味を持ち、ビジネスシーンなどのかなりフォーマルな場面でしか使用せず、日常的には使われません。
初めての職場で挨拶をする時や、直属の上司や先輩に「ご迷惑をおかけするかと思いますが、何卒よろしくお願いします。」と挨拶するときも使われます。
似た意味で使われる关照と比べると「なにか自分に間違ったところがあったらご指摘ください」というニュアンスが強い単語です。
メールでの挨拶
中国のビジネスメールは、とてもシンプルです。
日本では「お世話になっております。」や「お疲れさまです。」という挨拶言葉に加え、普段のカジュアルな会話では使わない表現が必ず使われますよね。
細部まで丁寧さを伝える日本とは異なり、中国は端的に内容が伝わる書き方が特徴です。
中国のビジネスメールでは、「お世話になっております」という文章から始まることがほとんどありません。代わりに「いつもありがとうございます」という感謝の言葉から始まるメールが一般的です。
gǎnxiè nín yīzhí yǐlái de zhīchí
感谢您一直以来的支持
いつも協力いただきありがとうございます。
qián xiē tiān fēicháng gǎnxiè bǎi máng zhī zhōng chōuchū miàntán de shíjiān
前些天非常感谢百忙之中抽出面谈的时间。
先日はお忙しい中、ご面談のお時間をいただきありがとうございました。
shùn zhù guì sī shēngyì xīnglóng
顺祝贵司生意兴隆!
御社のますますのご発展をお祈り申し上げます。
yǐshàng, qǐng quèrèn
以上,请确认!
以上、よろしくお願いいたします。
SNSで使われる挨拶表現
SNSで使われる挨拶フレーズは、カジュアルで若者の間でよく使われているスラングとして知られています。
顔も本名も知らない相手への呼びかけや、微信(wēi xìn)や微博(wēi bó)、小红书(xiǎo hóng shū)での友達への連絡の際によく使うフレーズをご紹介します。
zài ma
在吗?
いる?
今連絡取れる?時間ある?というニュアンスが込められており、一番シンプルでよく使われる単語です。
hā lóu
哈啰
ハロー
英語のHelloを中国語に当てはめた造語です。若者をはじめとして、多くの中国人が最初の挨拶言葉としてよく使っています。
hāi
嗨
ハイ
哈啰と同様、英語のHiが語源となり、当て字で作られた単語です。
これらはネット用語にとどまらず、若者を中心に日常の対面挨拶でも使われることがあります。
まとめ
今回はネイティブ中国人が使う、シンプルで自然な挨拶表現をご紹介しました。
シーン別で使われる表現が異なるため、それぞれのシーンに合わせて使い分けられるよう、中国人との会話を通して学んでいきましょう。
特にビジネスシーンでの表現は、普段の日常会話でほとんど使われないため、耳にする機会も少ないかと思います。
教科書には載ってない生きた中国語で語彙力を上げる秘訣は、ネイティブとの会話を増やしたり会話を聞いたりすることです。
実際の中国人との会話はもちろん、中国ドラマで描かれるビジネスシーンでの会話からヒントを見つけていきましょう。
関連リンク
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