日本製品の安全性や品質の良さは、世界的にも高い評価を得ていますよね。高い技術力と繊細なデザインは、中国でもとても人気があります。今回は、中国で受け入れられている日本製品の魅力や人気製品についてご紹介します。
中国人気の日本土産は?人気の理由や中国語の「お土産」表現をご紹介
目次
日本製品の魅力と中国人の購入動機
日本製品の魅力は様々ありますが、最も信頼されているのは品質です。製品に対する日本企業のこだわりや技術力が高品質製品を生み出し、世界から評価を受けていることは、多くの方が知っている事実かと思います。
中国でも世界同様、高い技術力から生まれる品質の高さや繊細なデザインが購入の動機に繋がっています。
中国語での「お土産」の意味とニュアンス
日本ではお土産という言葉が日常的に使われていますが、込められている意味やニュアンスは日本独自であり、そのままの意味で中国語に直訳すると少しズレが生じます。
日本語と中国語でのニュアンスの違いを理解することで、それぞれの表現を使いこなしましょう。
お土産は日本由来の言い方
「土産」という漢字の由来
「お土産」という言葉の由来は、江戸時代に遡ります。漢字の通り「土地のもの」や「土地の特産品」といった意味で当時から使われていました。
江戸時代では、武士や商人たちが他の地域を訪れた際、その土地の名産品や風物の詩を手に入れ、帰郷先で友人や家族に贈り物として持ち帰ることが一般的でした。これが、土地のものを手土産として贈る習慣の始まりといわれています。
江戸時代には、地域ごとに異なる名産品や文化が栄えたため、武士や商人などの旅行者がそれを手土産として持ち帰る風習が広がったそうです。
「お土産」という言葉が具体的に使用されるようになった背景には、幕末から明治時代にかけての社会変動も関係しているといわれています。
明治時代に入ると鉄道や船舶が発展、旅行がより身近なものになったため、多くの人が遠方に足を運べるようになりました。行動範囲が広がり、地域間の交流が増加したことで「土産」という概念がより一般的になり、「お土産」という表現の浸透に繋がっていることが伝わります。
現代の日本では、旅行や観光先での購入のみならず、出張や旅行から帰る際に職場や家族に贈る習慣が一般的ですよね。お土産を渡すことが話のきっかけとなり、仲良くなるケースも日本人にとってはイメージしやすいのではないでしょうか。
「土産」をみやげと読む理由
「土地の特産品」をなぜ「みやげ」と読むようになったのでしょうか。「土産」を私たち日本人は違和感なく「みやげ」と読んでいますが、その土地の産物という意味を踏まえると「とさん」や「どさん」のほうが正しく思えるかもしれません。
「土産」が「みやげ」と読まれるようになった由来は諸説ありますが、「見上げ」が元になっているといわれています。
「見上げ」はその土地や品柄をしっかりと「見」て選び、人様に差し「上げ」るという意味から来ており、意味と音が似ていることから「土産=みやげ」になったという説が有力です。旅行先や訪問先への手土産は、相手の好みや旅行先の土地柄等を踏まえてしっかりと選ぶ方も多いかと思います。
日本語には当て字のように、漢字本来の読み方ではなく、込められている意味や経緯を踏まえてつけられている言葉が数多くあります。
中国語学習においても、言葉の成り立ちや背景を知ることで、言語や歴史への理解が深まり、会話表現の幅にも繋がるはずです。同じ漢字を使う国として、中国語を通じて、中国の歴史も一緒に学んでみてはいかがでしょうか。
中国語でお土産を表す場合
「お土産」を中国語で直訳すると土特产(tǔ tè chǎn)になりますが、日常会話ではあまり使われていません。中国では一般的に、お土産は礼物(lǐ wù)や礼品(lǐ pǐn)で表します。
礼物と礼品はいずれも「贈り物」「プレゼント」「進物」「ギフト」と和訳されています。日本語で使われる「お土産を渡す」という表現は、中国語では礼物や礼品を使って表現します。
wǒ sòng gěi nǐ yí gè lǐ wù
我送给你一个礼物
あなたに贈り物を渡します。
我送给你一个土特产とは言いません。お土産も贈り物やプレゼント同様、相手に贈るという意味で礼物と礼品を使うことでより自然な中国語表現を身に着けていきましょう。
礼物と礼品の違い
礼物と礼品はどちらも「贈り物」や「プレゼント」「お土産」などの人に贈るものを表していますが、ニュアンスが少し異なります。
礼物は日常的に一番使われる、どんな場面でも使える表現です。一方、礼品は少しフォーマルな、公式の場で使われる表現として覚えておきましょう。
そのため仲の良い相手に対して礼品を使ってしまうと、相手からあえて距離を置かれていると印象付けてしまうかもしれません。中国文化では、親しい相手に対して丁寧すぎる態度や言葉遣いをしてしまうと、受け取り側の印象を悪くしてしまうことがあるからです。
そのため親しい相手には、カジュアルに礼物を使う必要があります。
礼物と礼品を使った中国語の文章を使って、中国語力も一緒に高めていきましょう。
lǐ wù hé lǐ pǐn yǒu shén me qū bié?
「礼物」和「礼品」有什么区别?
「礼物」と「礼品」の違いは何ですか?
lǐ pǐn bǐ jiào guān fāng yī diǎn, lǐ wù bǐ jiào gè rén yī diǎn
礼品比较官方一点,礼物比较个人一点。
「礼品」はどちらか言うと公式の場合で、「礼物」は私的な場合。
lǐ pǐn zhēn dùi bù tè dìng rén,lǐ wù yǒu dùi xiàng xìng zhēn dùi mǒu rén sòng de
「礼品」针对不特定人,「礼物」有对象性针对某人送的。
「礼品」は誰に贈っても良く、「礼物」は特定の人に贈るもの
lǐ pǐn shì kàn qián lǐ wù shì kàn xīn。
「礼品」是看钱,「礼物」是看心。
「礼品」は金額ではかり、「礼物」は心を見る。
lǐ pǐn shāng yè yòng,lǐ wù qíng yì yòng
「礼品」商业用,「礼物」情谊用。
「礼品」はビジネス用で、「礼物」は誠意を示すためのもの。
縁起物としてのお土産
招き猫の魅力とその背景
招き猫は中国語で招财猫(zhāo cái māo)といわれ、漢字の通り財を招く猫として受け入れられています。
招き猫の右手と左手の違い
招き猫の手は左右によって込められている意味が少し違い、右手は「金運」を招き、左手は「人」を招くといわれています。招き猫を贈るときは、左右どちらの手が招き手になっているか選んでみてはいかがでしょうか。
jǔ yòu shǒu de zhāo cái māo shì zhāo cái, jǔ zǔo shǒu de shì zhāo rén
举右手的招财猫是招财,举左手的是招人。
右手を挙げている招き猫は財を招き、左手を挙げている人は人を招く。
tè bié shì zì jǐ kāi shāng diàn、fàn guǎn de rén, bǎ zhāo cái māo bǎi zài mén kǒu yǐ biàn tā zhāo lái kè rén lì yì
特别是自己开商店、饭馆的人,把招财猫摆在门口以便它招来客人利益。
とくに自分でお店やレストランをやっている人は、お客さんを呼び込むように招き猫を入口に置きます。
中国人に人気の招き猫発祥地「豪徳寺」
招き猫の発祥地として知られる東京都世田谷区にある「豪徳寺」は、実は中国人からも人気があるお寺です。豪徳寺には招き猫を祀った「招福殿」があり、そこには大小様々な招き猫が置かれており、中国人の日本旅行観光地にもなっているそうです。
豪徳寺が招き猫の発祥地として知られるようになったのは、日本の歴史人「井伊直孝」が関係しています。学生時代に日本史の授業で「井伊直孝」の名前を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
「豪徳寺」がある世田谷地域は彦根藩の支配下にあり、この彦根藩の2代藩主が井伊直孝でした。
ある日、井伊直孝が鷹狩りにでかけたところ大雨に遭い、大木の下で雨宿りをしていたときのことです。大木の前にある寺のそばにいた一匹の猫が手招きしているように見えて、寺の方に向かったところ大木に雷が落ちて命が助かったという話があるそうです。
招き猫を贈り物として渡す時に、豪徳寺のことも合わせて紹介してみてはいかがでしょうか。縁起物としての招き猫に関連ある場所として紹介することで、会話が弾むかもしれません。
ちょっとした情報として伝えることで、相手とのコミュニケーションのきっかけにもなりますし、文化交流を深めることができるはずです。
風鈴の歴史とその意味
风铃(fēng líng:風鈴)も縁起物として、日本土産で選ばれています。风铃はその昔、仏教建築の技術と一緒に中国から日本に伝わってきました。
風鈴は元々、中国が起源である「占風鐸(せんふうたく)」と呼ばれる占いが基となっているそうです。风水(fēng shǔi:風水)と合わせて疫病や邪悪なものを排除する避邪(bì xié:魔除け)のために使われていました。上記の背景から、今では幸運を呼び込むものとされています。
日本や中国では縁起の良いものとして受け入れられている風鈴ですが、アジアの一部の地域では、招魂(zhāo hún:霊を呼び込む)といわれているそうです。
海外の人に贈り物として風鈴を選ぶときは、その国の風習や文化も踏まえて選ぶことが大切です。
中国人が喜ぶお土産
日本の化粧品
日本製品の中でも、化粧品は中国の消費者にとても人気があるのをご存知でしょうか。化粧品においても、高品質や高精度・安全性といった信頼がその人気に起因しています。特に日本の化粧品業界を誇る「資生堂」や「カネボウ化粧品」などは、中国人から絶大な信頼と人気を得ています。
日本の化粧品は、デパコスと呼ばれデパートに入っている化粧品ブランドのみならず、身近なショッピングモールや薬局で手に入る化粧品の品質も高いことで有名ですよね。
筆者が留学をしていた2019年においても、女性の中国人学生から、日本の化粧品は品質が良くてレベルが高く母とともに愛用しているという声もよく聞いていました。
日本では日々新しい化粧品が発売されているため、中国にいる友人や知人に対して新作を贈り物として渡すのもおすすめです。日本の化粧品のプレゼントが会話が弾むきっかけにもなるはずですし、化粧品の中国語表現を身につける機会にもなります。
生チョコレート
中国では日本の生チョコレートの人気が高く、中でも「ロイズ」のチョコレートは不動の人気を誇っています。2014年に中国版twitterの微博で、海外のお菓子ランキング1位に選ばれたことがあるのが、北海道土産で有名な「ロイズ」の生チョコレートです。
中国国内でも生チョコと言われるチョコレート菓子は数多く発売されていますが、味や口溶けは大きく違います。繊細で手先が器用な国民性で知られる日本が作る生チョコレートは、品質もレベルも上級なお土産として、中国人に愛されています。
日本土産として中国人に喜ばれること間違いなしの「ロイズ」の生チョコレートをプレゼントしてみてはいかがでしょうか。
ロイズチョコ人気の背景にある中国映画「非诚勿扰」
ロイズのチョコレートが中国人に人気の理由には、2008年12月18日に中国で公開された映画「非诚勿扰(fēi chén wù rǎo)」がきっかけといわれています。この映画の興行収入は中国にて3.25億元までのぼり、歴代興行成績1位を記録し大ヒットしました。
映画の中で描かれるシーンでは、釧路や阿寒湖・網走・厚岸・斜里・美幌など北海道各地を舞台に撮影されています。この映画を観た中国人が美しい情景を求めたことによって、北海道観光ブームが巻き起こったと言われています。
美しい情景を求めて多くの中国人観光客が北海道を訪れたことで、北海道特産として生チョコレート「ロイズ」も人気土産として選ばれているのではないでしょうか。
まとめ
日本が誇る高い技術力と繊細さによって築かれてきた高い品質は、中国人から強い関心を得ていることが分かりますよね。中国国内での日本文化の高い人気とともに、製品への信頼や安心感は揺るぎないものになっています。
特に中国人は日本同様縁起を意識する人も多く、縁起にまつわるお土産は喜ばれること間違いなしです。
隣国でありながら、それぞれの歴史と文化が形成されている国として、中国という国への敬意は異文化交流において重要な意味をもたらします。相手の国の文化を踏まえながら、日中交流を深めるために、ご紹介したお土産を選んでみてはいかがでしょうか。
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