中国人のスーパーゴールデンウィークの過ごし方とは?

    1. 中国経済・社会

    中国では年に3回大型休日があり、それは春節・労働節・国慶節です。その中でも春節と国慶節は国が7日間の休暇を定めており、国民の期待度が高い祝日です。

    今回は中国のスーパーゴールデンウィークともいわれる、大型連休の過ごし方について紹介します。

    中国人のスーパーゴールデンウィークの過ごし方

    中国の祝日について

    中国人のスーパーゴールデンウィークについて紹介する前に、一つ紹介しておきたいことがあります。それは「中国と日本ではどっちが休みが多いの?」という疑問についてです。

    誰でも休みを多くもらえれば嬉しいものです。中国で連休になると、その様子は日本のニュースで取り上げられますが、実際のところ中国の休みはどの位あるのでしょうか?

    中国語で決められた休みのことを「放假」(fàng jià)といいます。「休假」(xiū jià)という言い方や、もっとフォーマルな表現だと「法定节假日」(fǎ dìng jié jià rì)といったりもします。

    zhōng guó jià qī duō hái shì rì běn jià qī duō

    中国假期多还是日本假期多?

    中国と日本ではどちらが休みが多いですか?

    この疑問は中国のウェブサイトでも取り上げられており、ホットな話題です。まずはここから見てみましょう。

    中国の祝日の日数

    中国の国務院(日本の内閣に相当)が発表した祝日に関する通知です。

    祝日休暇の日数振替出勤
    元旦(yuán dàn;元旦)3日なし
    春节(chūn jié;春節)7日2日
    清明节(qīng míng jié;清明節)1日なし
    劳动节(láo dòng jié;労働節)5日2日
    端午节(duān wǔ jié;端午節)3日1日
    中秋节(zhōng qiū jié;中秋節)1日なし
    国庆节(guó qìng jié;国慶節)7日2日

    国務院が定めた国民の祝日は合計27日です。しかし中国の場合、祝日につなげた土日の分は振替出勤しなければなりません。2023年においては、春節2日・労働節2日・端午節1日・国慶節2日、合計7日間は連休後の土日に振替出勤するように求められています。

    国民の祝日として決められている27日から振替出勤の7日を差し引くと、実際に休めるのは20日となります。

    日本の祝日の日数

    内閣府が発表した2023年の日本の国民の祝日の数を数えてみましょう。

    元日1月1日
    休日  1月2日
    成人の日1月9日
    建国記念の日2月11日        
    天皇誕生日2月23日        
    春分の日3月21日
    昭和の日4月29日
    憲法記念日5月3日
    みどりの日5月4日
    こどもの日5月5日
    海の日7月17日
    山の日8月11日
    敬老の日9月18日        
    秋分の日9月23日        
    スポーツの日10月9日
    文化の日11月3日
    勤労感謝の日11月23日

    日本の祝日は合計で17日です。こうしてみると、正月休みで国民の祝日とされているのは二日間だけなんですね。私はこの記事を執筆している時点ではじめて、大晦日は国民の祝日ではなかったということを知りました。

    ただ、日本では実際にはもっと長く正月休みをもらうことができ、官公庁や一般的な企業の場合は6連休となっています。これを含めて計算すると、17日+4日で実際に休める日は21日となります。

    日本の場合は学校や会社の創立記念日などでも休みになりますので、実際にはもっと多いということもあり得ます。

    結果どちらが多い?

    上記の計算により、2023年に関していえば、実際に休める日は日本が21日で、中国が20日となり、日本の方が中国より祝日が多いことになります。ただし休暇は学校や会社の事情によっても左右されるため、一概には断定できません。上記統計はあくまで参考として下さい。

    中国のスーパーゴールデンウィーク

    中国のスーパーゴールデンウィークとは?

    2023年には9月29日から日本の十五夜にあたる「中秋節」と、建国記念日にあたる「国慶節」が合わさり、8日間の連休となります。通常であればこの二つの祝日が連なることはなく、それぞれ別に休みが与えられます。

    なぜ2023年にはこの二つの祝日は連なったのでしょうか?

    「国慶節」は毎年太陽暦(グレゴリオ暦)の10月1日に始まります。「中秋節」の由来は「国慶節」よりも古く、旧暦の8月15日と定められています。太陽暦で計算すると、「中秋節」の日付は毎年同じではありません。

    この二つの祝日が連なるのは歴史的に見ても珍しいことなのです。

    この二つ祝日の由来についてはこちらの記事で紹介していますので、興味のある方はご覧ください。

    「国慶節」単体であれば日本のニュース等ではゴールデンウィークと呼ばれ、これに「中秋節」の休みが連なると「スーパーゴールデンウィーク」と呼ばれたりします。

    huáng jīn zhōu

    黄金周

    ゴールデンウィーク

    chāo jí huáng jīn zhōu

    超级黄金周

    スーパーゴールデンウィーク

    この「黄金周」という言い回しは、日本の「ゴールデンウィーク」という言葉を中国語に訳したもので、もともと中国で生まれた言葉ではないのですが、中国でも使用されるようになりました。

    ただ「黄金周」と言ったばあいは大型連休を指すため、どの連休か分かりにくいということもあり、中国の方と会話するときには祝日の名称を述べた方が伝わりやすいです。

    2023年スーパーゴールデンウィークに対する期待

    2023年の「国慶節」は二つの面でとても注目されました。一つは「国慶節」と「中秋節」が合わさったスーパーゴールデンウィークであるということ、もう一つはゼロコロナ政策が終わって以来の初めての「国慶節」であるということです。

    中国ではゼロコロナ政策は3年にわたって続きましたので、2023年のスーパーゴールデンウィークは2019年以来の旅行客の大移動が期待されました。延べ20億人が移動すると予想しており、日本のメディアでも取り上げられました。

    中国のスーパーゴールデンウィークの観光客数

    中国国内のニュースでは、2023年のスーパーゴールデンウィークの観光旅行者数について次のように伝えています。

    guó nèi lǚ yóu chū yóu rén shù bā diǎn èr liù yì rén cì

    国内旅游出游人数8.26亿人次。

    国内観光旅行者数は8億2,600万人でした。

    中国語の「人次」(rén cì)という言葉は、日本語の「延べ人数」に相当します。統計などでよく出てくる言葉です。

    国内観光旅行者数は、ゼロコロナ政策前の2019年の同時期と比較して4.1%の増加でした。国内観光収入は7,534億3,000万元で、2019年の同時期と比較して1.5%の増加となっています。

    データが示しているように、2023年のスーパーゴールデンウィークの観光者数、観光収入共にゼロコロナ政策前を上回っています。

    中国人のスーパーゴールデンウィークの過ごし方

    中国の方達は、スーパーゴールデンウィークをどのように過ごしたのでしょうか?まず挙げられるのが帰省です。「中秋節」は家族との団らんを楽しむという伝統があり、この連休を機会に帰省する人が多く見られました。

    次に挙げるのは旅行です。8日間の休暇ですから旅行に行くには最適です。しかもこの時期は気候にも恵まれ、暑さや寒さに悩まされずに気持ちよく旅行を楽しむことができます。

    そして最後は、逆にどこにも行かないという選択です。大型連休に移動すると、人混みを避けることはできないのはどこでも同じです。交通費や宿泊費等も普段より値上がりするため、自分の家の付近で過ごすという人も大勢います。

    中国の渋滞

    中国のスーパーゴールデンウィークの問題点

    渋滞と交通マヒ

    みんなが楽しみにしているスーパーゴールデンウィークですが、問題は何といっても人が多すぎるということでしょう。まず避けられないのが交通マヒです。

    行きも帰りも道路は渋滞し、駅や空港は人で溢れかえります。長距離バスや列車のチケットを手に入れることすら困難です。

    地下鉄は人が多くても切符が買えないということはまずありませんが、杭州市の地下鉄ではあまりの人の多さに、地下鉄に乗るまで行列に並ばなければならず、1時間以上かかってやっと列車に乗れるという状況でした。

    このように「国慶節」と「中秋節」の期間中に交通機関に与える大きな影響の事を「秋运」(qiū yùn)、春節の時に交通機関に与える大きな影響の事を「春运」(chūn yùn)といいます。

    中国の有名な観光地の万里の長城では人であふれかえり、本来10分で歩ける場所が30分かけてようやく到着するという状況でした。

    高速道路での渋滞時に中国人がとった行動

    人口の多い中国では、渋滞の規模もスケールも異なります。2023年のスーパーゴールデンウィークでは、高速道路の渋滞の様子がSNSでたくさんアップロードされました。渋滞で全く動けなくなった人たちが絶えられず車から降りて、様々なことを始めます。

    救命啊!(jiù mìng a)

    助けて!

    助けて!と叫び声をあげ、車にもたれかかって途方にくれる人 。

    打麻将(dǎ má jiàng)

    麻雀をする

    高速道路の道路に座り込み、麻雀をする人たち。目的地についたら家族や友達と麻雀をする予定だったのでしょう。周りにはギャラリーもおり、中国の公園や広場などでよくみかける光景です。

    打羽毛球(dǎ yǔ máo qiú)

    バドミントンをする

    前の車両と後ろの車両との間にできたスペースでバドミントンをする人たち。高速道路上という特殊な環境であるにも関わらずラリーを続けています。

    跳绳(tiào shéng)

    縄跳びをする

    子供が華麗に二重跳びをしています。帰省の際に縄跳びを持ってきていたのでしょう。

    遛狗(liú gǒu)

    犬の散歩をする

    道路端のスペースを犬の散歩をして歩く人たち。普段と異なる散歩コースを楽しんでいます。

    跳舞(tiàowǔ)

    ダンス

    車のそばで踊り出す人。最初は一人だったのが、徐々にダンスをする人数が増えていきます。その後、何台かの車のハザードランプを点灯させ、みんなでリズムに合わせて踊っています。

    唱歌(chàng gē)

    歌を歌う

    高速道路のトンネル内で一人の男性が車の上に登っていきます。なぜかマイクとスピーカーを持っており、トンネル内で大音量で歌い始めます。

    周りにいる人たちも一緒に歌い、中にはスマートフォンをペンライト代わりにして左右に振る人まで出てきています。トンネル内という薄暗い環境もあり、まるでクラブのようです。

    炒菜(chǎocài)

    料理をする

    トラックの運転手の男性が中華鍋を出して、料理を始めます。中華鍋と携帯用ガスコンロはあらかじめ用意していたのかが気になる所です。

    渋滞する高速道路上で便当の販売

    非常に注目されているのが、高速道路で弁当を売り出す人が現れたことです。電動バイクに乗った女性が渋滞中の高速道路を逆走し、弁当の販売を始めます。

    高速道路を走行中の乗用車の後部に「买便当」(mǎi biàn dang)と書いた紙を貼り付けている人もいます。停車中に声をかければ、弁当を売ってくれるということです。

    こうした状況全てが日本では起こりえないことであり、改めて中国のスケールの大きさを感じさせられます。上に挙げた行為の是非はともかくとして、何時間にも及ぶ渋滞をただイライラしながら待つのではなく、有意義に過ごそうという前向きな姿勢には元気づけられますね。

    日本に来る中国人観光客

    日本へ来る観光客の動向

    スーパーゴールデンウィークを利用して海外に行く人も少なくありません。中国の検索エンジン「百度」の中では、2023年スーパーゴールデンウィークの海外旅行の行先人気トップ3が紹介されていました。

    一位日本・二位タイ・三位韓国、という結果でした。

    中国では2023年8月末から日本の海産物の輸入が禁止になり、その安全性を心配する方も多くいますが、依然として日本は人気観光スポットとなっています。2023年のスーパーゴールデンウィークで日本を訪れる中国人観光客は、何を求めて日本へ来るのでしょうか?

    中国人観光客に聞くと「銀座で買い物したい」「アニメが好きなので秋葉原に行きたい」という声がよく聞かれます。買い物とアニメを目的とする人が多く、中には寿司などの日本の海鮮料理を楽しむ人もいました。

    スーパーゴールデンウィークが始まった2023年9月29日時点で、レートは1元=20円以上します。かなりの円安となっているので、日本に来る中国人観光客にとってはとても有利な状況です。

    「混雑回避のため、日本の方が空いているから」という理由を挙げた人もいます。中国のスーパーゴールデンウィークの期間中は日本は祝日ではないので、日本で過ごした方が人混みを回避しながら休暇を楽しむことができます。

    まとめ

    今回は2023年の中国のスーパーゴールデンウィークについて紹介しました。改めて中国という国のスケールの大きさを感じさせられますね。

    人混みの多さというストレスとなる状況を前向きに受け止める姿勢には、なんとも心温まる思いがします。

    中国への旅行を考えている方は、春節・労働節・国慶節のゴールデンウィークは避けた方が無難でしょう。もっとも中国の人混みを体験したいという方であれば、この時期は大変おススメです。

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