餃子の発祥地といえば中国ですよね。餃子は日本でも欠かせないソウルフードかと思います。
今回は中国における餃子について、実はあまり知られていない種類の多さやどんなときによく食べられるかなどをご紹介します。
中国の水餃子の秘密:日本人が知らない驚きの種類とその魅力
目次
中国の水餃子とは
中国水餃子の特徴
【自家製の皮】
通常、中国の餃子は各家庭で手作りされています。小麦粉を主成分とした皮は、もちもちとした食感と厚みがあるのが特徴です。
日本だと、市販されている出来上がった皮を使うことが多いかと思いますが、手作りの皮は市販のものに比べ水分調整や厚みを調整できるため、餃子の歯ごたえにも特徴が生まれます。
手作りの皮で作られた餃子は、お祝い事で食べられる伝統食として、中国文化にとって欠かせない存在となっています。
【多様な具材】
中国餃子の具は肉と野菜と調味料と、日本とあまり変わらない組み合わせが一般的です。広大な中国では、地域による気候の違いによって味付けが異なったり、季節の食材を使うことで、餡に違いが生まれます。
【主食】
中国では餃子は麺や白米同様「主食」として食べられています。中国のメニュー表でも、餃子が麺類と同じようにメイン欄に記載されています。
【多様な調理方法】
餃子の調理方法は、蒸す・焼く(生煎包)・揚げる(炸饺子)など、様々な調理方法があります。日本でも同様、焼き餃子だけでなく、水餃子や蒸し餃子を食べることができるレストランも多数ありますよね。
日本との違い
中国と日本の餃子の違いは大きく二つあります。
【水餃子が一般的】
一つ目は、それぞれでイメージされる餃子が違うことです。中国で餃子というとイメージされるのは「水餃子」です。一方で日本で餃子というと「焼き餃子」が一般的です。
中国の飲食店や学校の食堂のメニューに書かれている餃子はすべて「水餃子」です。日本人がイメージする「焼き餃子」は通常のレストランではメニューにありません。
メニューに焼き餃子がある場合は、「饺子(jiǎo zi)」の表記ではなく、「锅贴(guō tiē)」と水餃子とは区別された表現がされています。平たいプライパン、つまり鍋に油を引いて貼り付けて焼くため、文字から意味を想像できそうです。
中国における餃子は水餃子が一般的なため、焼餃子をメインとすることは通常ありません。しかし残った水餃子や二日目の水餃子を、焼いてアレンジして食べることはよくあるそうです。
【主食として食べる】
二つ目は先ほども述べたように日本でおかずとして好まれる餃子が、中国では主食として食べられていること。
中国人観光客が日本に来たときには、「餃子定食」や「ラーメンと餃子セット」があることに大変驚くそうです。中国では餃子は白米同様「主食」であるため、白米や麺と一緒に食べることはありません。
日本のラーメン店でのメニューでは、餃子はサイドメニューとして記載されていることが多いですよね。
中国独自の餃子
蒸し餃子
蒸し餃子の四喜饺子(sì xǐ jiǎo zi)は、中国の伝統的美食の一つである餃子の中でも特徴的な見た目をしています。野菜やたまごなど4種類のカラフルな餡が、一つの餃子に中身が見えるように入っている餃子です。
通常餃子の餡は皮に包まれて見えない状態ですが、この四喜饺子(sì xǐ jiǎo zi)は中身が上に載っている状態で出来上がるため珍しさがあります。
元々は宮廷の古典的餃子として献上されていた食べ物でした。そのため民衆の間では一般的ではなく、王や貴族たちのみが食べることができる高貴な料理として知られていました。 現代中国では春节(chūn jié)の期間に好んで食べられることも多いそうです。
揚げ餃子
中国では餃子といえば水餃子が一般的とされていますが、揚げ餃子も存在します。焼き餃子とは違い、完全に水分を飛ばしカリカリに揚げています。もち米を使った饮茶(yǐn chá)として、家郷威水角(jiā xiāng wēi shuǐ jiào )という名前で知られていたりもします。
中国の庶民的な飲食店や学校の食堂では水餃子が一般的なため、揚げ餃子がメニューに載っていることはほとんどありません。本場の揚餃子を食べる場合は、広東料理レストランを選んでみてください。
翡翠餃子
翡翠饺子(fěi cuì jiǎo zi)は、日本語ではひすい餃子といわれています。皮のタネを作る際に緑の野菜を使用し、自然な色を作ります。皮全体を緑にする場合や、包む部分のみを緑にするケースなど様々あります。
翡翠(fěi cuì)は、中国文化において非常に重要な縁起物であり、美しさや幸運・富・安定を象徴する宝石として親しまれおり、特にビジネスやキャリアで成功を願う人々から人気を集めています。また翡翠と同様に、餃子も縁起物として広く知られています。
中国では翡翠は身につけることで心身の健康を安定させ、邪気や悪運を遠ざけ、悪いエネルギーから身を守ると信じられています。
中国の家庭やレストラン、その他お店など、縁担ぎとして翡翠の装飾品が置かれていることが多いので、ぜひお店に入ったら翡翠のインテリアがないかチェックしてみてくださいね。
青島の魚餃子
餃子の発祥地である山東省にある青岛(qīng dǎo)では、魚介を餡に使った鱼水饺(yú shuǐ jiǎo)が有名です。青岛(qīng dǎo)は、中国国内でも人気の高いリゾート地であり、青岛(qīng dǎo)ビールで知っている方もいるかもしれません。
名前の通り魚を使った餃子で、青岛人がよく食べるのは鲅鱼(bà yú)と呼ばれるサワラが餡になった餃子が一般的だそうです。特に、鲅鱼水饺は2013年に山東省の無形文化遺産として登録されました。
その他、餡が黒い墨鱼馅饺子(mò sè xiàn jiǎo zi)や黄色の魚を使った黄花鱼馅饺子(huáng huā yú jiǎo zi)などが青岛(qīng dǎo)の美食として知られています。
四川ラー油餃子
中国の四川にある首都、成都には伝統的な食べ物の一つにラー油餃子があります。钟水饺(zhōng shuǐ jiǎo)または、红油水饺(hóng yóu shuǐ jiǎo)と呼ばれ、発祥は1983年といわれています。
一般的な餡は豚肉のみで、その他野菜などは含みません。調味料はメインのラー油の他、辣椒面(là jiāo miàn)と呼ばれる唐辛子が使われます。
見た目の赤さが特徴の四川料理のため、辛さが気になりますが食べられないほどの激辛ではないそうです。自宅で作る際は辛さを調整しながら作ってみてはいかがでしょうか。
かにみそ餃子
蟹黄蒸饺(xiè huáng zhēng jiǎo)と呼ばれるかにみそ餃子も、中国独自の餃子の一つです。一般的な餃子と同様の形をしており、薄い生地でかにみそを包み、レストランでは蒸し餃子として食べることができます。
名前の通り、主な具材はかにみそですが、その他追加される具材に、エビやたけのこ、ねぎ、しいたけなどが含まれます。かにみそ餃子は日本ではあまり見かけない珍しい種類ですよね。中国では、冷凍水餃子シリーズとしてスーパーで手軽に購入することが可能です。
エビ餃子
水晶虾饺(shuǐ jīng xiā jiǎo)は広東料理の一つで、特に饮茶(yǐn chá)として知っている方も多いのではないでしょうか。レストランでは、蒸し餃子としてセイロに入った状態で出てくるため、点心としてのイメージを持っている方もいるかも知れません。
水晶虾饺(shuǐ jīng xiā jiǎo)は、その名の通り「水晶」のような透明な皮が特徴です。中のエビが透けるような透明感がありながらしっかりとした弾力もあります。
主な具材は新鮮なエビで、通常はミンチ状に刻まれた餡で包まれています。一部のレシピでは、エビを丸ごと餡として包むパターンやシイタケなど他の具材が加えられることもあります。
中国の水餃子文化
水餃子発祥の地
水餃子の発祥の地は中国の東部に位置している山東省と言われています。山東省は小麦の生産が豊富であったため、小麦粉を主成分とした水餃子の皮作りに適していました。
実は日本語の発音「ギョーザ」は、東北部山東省の発音が基になっているといわれています。中国の北地域は、長江流域や広東省などと比べて気温が低いため、寒い冬に熱々の水餃子が食べられていました。
広大な中国では、気候や食材に大きな違いがあるため、餃子においても地域ごとの特徴が存在します。北地域ではよく水餃子を食べる習慣がありますが、南地方ではあまり頻繁には食べられていません。
春节に欠かせない水餃子
中国の最も重要な伝統的な祝日である春节(chūn jié)、旧正月とも呼ばれる期間では、家族揃って水餃子を食べる習慣があります。
現在の中国では一年中食べられている餃子ですが、中国北部では大晦日(除夕:chú xī)の夜に集まった親戚一同で、餃子を一緒に作る風習があります。一緒に作った餃子を食べながら年を越す伝統的文化が今も受け継がれています。日本でも、年越しそばを大晦日に食べる文化がありますよね。
春节(chūn jié)では、新年を祝い、過去の年の不運や悪い運勢を払拭し、幸運を呼び込むために縁起の良い料理を食べます。日本のおせち料理でも、具材などに由来が込められている料理がいくつもあるかと思います。
水餃子が 春节(chūn jié)に欠かせない食べ物である理由として、縁起の良さが由来とされているのをご存知でしょうか。
元宝と同じ形
水餃子が縁起の良い食べ物として親しまれているのは、「元宝」と形が似ていることが由来とされています。
「元宝」は中国の古代の歴史的通貨として、中国経済と貿易において重要な役割を担っていました。樽状で秤量のような形をしていた「元宝」は特に、元宝は大口の取引で使われていたため、庶民にとっては憧れの象徴だったそうです。
そのため水餃子は、富や財宝の象徴である「元宝」と似た形状の食べ物として、春节(chūn jié)に欠かせない縁起の良い食べ物として広く認識されるようになりました。
特に水餃子の中に包まれている具材が金や財宝に見立てられ、レストランや各家庭では 春节(chūn jié)限定の餡が作られることもあります。
更岁交子と同じ発音
「更岁交子(gēng suì jiāo zi)」と「饺子(jiǎo zi)」の発音が似ていることから、水饺子は縁起の良い食べ物として親しまれてきました。「更岁交子(gēng suì jiāo zi)」は、中国の旧正月において新年と旧年が入れ替わることを表す言葉として知られています。
交子の子は、子の刻を指しており、新年と旧年が0時で入れ替わることを指します。十二支で時間を表現すると23時〜1時が子の刻のため、入れ替わりの意味である「交子(jiāo zi)」の子と語呂が合いますよね。
「更岁交子(gēng suì jiāo zi)」は、年齢を重ね新しい年に代わることを意味し、新年を迎える祝いの表現として広く浸透してきました。 春节(chūn jié)に食べる水餃子は、新年を祝い家族の幸福を願う象徴として、今でも受け継がれる重要な中国文化となっています。
便利な餃子に関する中国語例文
lái yī fēn jiǎo zi
来一份饺子
餃子を一人前ください。
レストランで注文をする際は、中国語の量詞である份(fēn)を使って注文します。二人前を頼みたいときは二份で伝えることが可能です。
yǒu guō tiē ma
有锅贴吗?
焼き餃子はありますか?
中国で餃子とメニューに書かれている場合、ほとんどが水餃子を意味しています。焼き餃子と思って注文してしまうケースもよくあるので、注文する前に餃子の種類を聞くことで、注文ミスを防ぐことにも繋がります。
qiān jǐ tiān ,dì yī cì wǒ zì jǐ bāo le jiǎo zi
前几天,第一次我自己包了饺子
数日前に、初めて自分で餃子を作りました。
餃子を包むは、中国語で日本語と同じ漢字でそのまま「包(bāo)」を使って表現できます。
jīn tiān wǒ men yì qǐ qù chī jiǎo zi,hǎo bù bǎo?
今天我们一起去吃饺子,好不好?
今日一緒に餃子を食べに行かない?
wǒ xǐ huān chī jiǎo zi
我喜欢吃饺子
私は、餃子を食べるのが好きです。
まとめ
中国でよく食べられる餃子は「水餃子」であること、日本でイメージされる餃子とは全く違っていることが分かりました。また、中国の餃子は、家庭でも自家製の皮を使い小麦粉の風味をたっぷりと含んで作られていることも、日本と異なる部分ではないでしょうか。
日本と中国それぞれで広く認識されている餃子に違いはありますが、どちらも国の大衆文化として私たちの日常生活に欠かせない存在になっています。
ぜひ、今回ご紹介した中国と日本の餃子の違いをテーマに、中国人と交流してみてはいかがでしょうか。交流を通じて、まだ知らない中国の餃子について新たな発見があるかもしれません。