中国語の日常表現:「ちょっと」の多様な使い方

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    中国語の「ちょっと」の表現方法がいくつもあって、違いがよく分からないと感じたことがある方も多いのではないでしょうか。

    今回はこの「ちょっと」を表現する代表的な中国語を取り上げながら、それぞれが表すニュアンスや使い方についてお伝えします。

    中国語の日常表現:「ちょっと」の多様な使い方

    基本的な「ちょっと」の表現

    基準と比較する「有点」

    中国語の有点yǒu diǎn )は「ちょっと」という意味を表したいときによく使われる単語です。文法としては、動詞/形容詞の前に置いて、この動詞や形容詞を修飾する役割を持っています。

    zhè ge fáng jiān yǒu diǎn (ér)lěng

    这个房间有点(儿)冷

    この部屋は少し寒いです。

    部屋の温度に対して、自分の中にある基準と比べて少し寒いという表現がされています。

    wǒ yǒu diǎn (ér) jǐn zhāng

    我有点(儿)紧张

    私は少し緊張している。

    緊張していない通常の状態を基準として、今自分は少し緊張していることを表しています。

    この2つの例文をよく見てみると、話し手の基準、つまり主観的な基準の「ちょっと」という意味が含まれていることが分かりますよね。

    また、中国語の有点は、あまり好ましくないことに使われます。高兴好吃开心など嬉しさや楽しさといった明るい気持ちを表すときには使いません。

    比較の意味を含む「一点」

    有点と同様に「ちょっと」の意味を持つ中国語として、一点yī diǎn)も使うことができます。この一点は動詞/形容詞の後に置き、比較した結果「少し」という差分を表す役割を持っています。

    jīn tiān bǐ zuǒ tiān lěng yī diǎn (ér)

    今天比昨天冷一点(儿)

    今日は昨日より少し寒い

    tā bǐ wǒ dà yī diǎn (ér)

    他比我大一点 (儿)

    彼は私より歳が上だ。

    一点はなにか比較する対象があり、それと比較した結果の差分の「ちょっと」というニュアンスを含んでいます。

    例文では、天気の気温が昨日と比べて少し低いことや、相手の年齢という変わらない事実と比較して「ちょっと」と表していることが分かります。

    「有点」と「一点」の使い方

    有点は動詞/形容詞の前に、一点は動詞/形容詞の後ろに置いて使うとお伝えしました。

    しかし、一文の中に動詞と形容詞が両方ある場合、どちらの品詞の前後に置くか判断に迷うこともあるかもしれません。この場合は、強調したい方とセットで使うことで判断していきましょう。

    nǐ shuō màn yī diǎn

    你说慢一点

    もう少しゆっくり話して。

    この場合は、ゆっくり話すことを強調したいため、とセットで使われています。とセットで使うため、の前に置いて、 你慢一点说と使うことも可能です。

    一文の中に有点一点が両方出てくる場合もあります。

    jīn tiān yǒu diǎn lěng,nǐ duō chuān yī diǎn yīfu ba

    今天有点冷,你多穿一点衣服吧

    今日は寒いので、服を多めに着てくださいね。

    jīn tiān dù zi yǒu diǎn bù shū fu zhǐ chī le yī diǎnr xī fàn

    今天肚子有点不舒服 ,只吃了一点儿稀饭

    今日はお腹の調子が悪いので、おかゆを少し食べただけです。

    多くの中国語学習者がつまずきやすい有点一点を使いこなすためには、暗記がおすすめです。特に小学校など中国での学校教育では、暗記を学習法として取り入れる場合が多いそうです。

    ぜひ、中国語と相性の良い暗記を学習法に取り入れてみてはいかがでしょうか。一度覚えた文章を文法の型として身につけることで、どんなシーンでも応用できるはずです。

    学習の初めは、すぐに中国語が出てこなくてもどかしい時間も多くあるかと思います。ぜひ、暗記する文章を増やし、実践の場で当てはめていくことで脳の練習を繰り返してみてくださいね。

    中国語の少し

    「ちょっと」の否定表現:全然~ない

    否定文で使う「一点都」の意味と使い方

    日本語でも「少しも〜ない」という、程度と否定をセットで使う場面もよくありますよね。中国語でもこのニュアンスを含めた表現が存在します。

    それが、一点(儿)都yī diǎnr dōu)という中国語です。

    zhè ge fáng jiān yī diǎn (ér)dōu bù lěng

    这个房间一点(儿)都不冷

    この部屋は、全く(少しも)寒くない。

    先程、一点は動詞/形容詞の後に置くとお伝えしました。しかし、否定形になった一点(儿)都では、例外として置く場所が変わります。複雑に感じるかもしれないのですが、完全否定になるので、一点とは別物として覚えると良いかもしれません。

    一点都/也+完全否定すべての条件が揃ったときだけ、動詞/形容詞の前に置くことができます。

    「一点都」を使った完全否定の例文

    chōu yān duì shēn tǐ yī diǎn dōu měi yǒu hǎo chu

    吸烟对身体一点儿都没有好处

    タバコを吸うことは、身体にとって少しもいいことがありません。

    wǒ men yī diǎn(ér)dōu bú lèi

    我们一点(儿)都不累

    私たちは少しも疲れていない。

    zuó tiān wǎn shang  bèi wén zi jiǎo le yī sù,yī diǎnr yě shuì bu zhào

    昨天晚上被蚊子搅了一宿,一点儿也睡不着

    昨晩は一晩中、蚊に邪魔されて、全く寝れなかった。

    wǒ yī diǎn dōu bú huì zuò fàn

    我一点都不会做饭

    私は全く料理ができません。

    jīn tiān méi yǒu shí yù wǔ fàn yī diǎnr dōu méi chī

    今天没有食欲 ,午饭一点儿都没吃

    今日は食欲が無くて、昼食を少しも食べられませんでした。

    「ちょっとの間」を意味する言葉:一会儿

    一会儿yīhuìr)は不定量の時間を表し、「ちょっとの間」や「しばらくの間」のニュアンスを含めた中国語として知られています。「どれくらい〜なのか」という動作の時間の長さを表しているため、動詞とセットで使います。

    yí huìr jiàn

    一会儿见

    また後で、のちほど

    日本語でも「また後でね!」「後ほど会いましょう!」と別れ際の挨拶がありますよね。中国語でも、ちょっとの間を置いて、再度会う場合に使える表現として、一会儿见をよく使います。

    一会儿见は、目上の方や友達、初めて会った方など相手を問わず使うことができる便利な表現なのでたくさん使って身につけていきましょう。

    xiān děng yí huìr zài xià jué dìng

    先等一会儿再下决定

    もうしばらく様子を見てから判断します。

    一会儿は、セットでよく使われる中国語としてぜひ覚えておきましょう。定量的に計ることが難しい時間について、ちょっとの間待ってからなにか次の動作が行われるときの頻出表現です。

    jīn tiān wǒ tài lèi le,xiū xi yí huìr

    今天我太累了,休息一会儿

    今日はすごく疲れたので、しばらく休みましょう。

    どれくらい休むかは分からず、時間も計れないが「疲れが取れるくらい、しばらくの間」というニュアンスが含まれた表現で使われています。

    中国語のちょっと見せる

    動作の量を表す「ちょっと」:動詞+一下

    一会儿同様「ちょっと」という時間の不定量を表す中国語として、一下yí xià)もよく使われます。一会儿は動作の時間の長さを表し、一下は動作自体の量を表しているため、訳され方は同じ「ちょっと」でも含まれるニュアンスはかなり異なります。

    瞬間的動作として動作量を表す一下は、時間の長さを表す一会儿と含まれる時間に関するニュアンスが異なることを覚えておきましょう。

    相手に負担や迷惑をかける可能性のある場面においては、その負担を少しでも軽くする意味を込めて一下が使われることが多くあります。

    qǐng nǐ gěi wǒ kàn yí xià

    请你给我看一下

    ちょっと見せてください。

    「見る」という動作に関して、たくさん見る・少しだけ見るという動作の量を表すために一下が使われています。

    看一下は「それでは、ちょっと見てみましょう」と周囲に呼びかけるときも使うこともできます。

    nǐ néng bāng wǒ jiè shào yí xià ma?

    你能帮我介绍一下吗?

    ちょっと私に紹介してもらえませんか?

    相手に依頼して紹介してもらうことに対し、控えめにお願いする態度として一下をセットで使うことがよくあります。

    丁寧な「ちょっと」の表現:稍

    中国語のshāo)を使うことで「ちょっと」をより丁寧に表現することが可能です。

    qǐng nǐ shāo děng yí xià

    请你稍等一下

    少々お待ちくださいませ。

    一下をつけずに、请你稍等だけで使われることもあります。デパートやレストランなどのお店で、店員さんがお客様に対して使っていることが多いかと思います。

    日本語と比べると、敬語やへりくだった言い方の区別がない印象のある中国語ですが、より丁寧で柔らかな印象の表現として使われる単語も実は数多く存在していることはご存知でしょうか。

    もその一つとして、中国人はさり気なく使っています。親しい友達や家族間では使うことはありませんが、知らない方や目上の方に対して待ってもらうことがある際は、ぜひ実践の場として使ってみてくださいね。

    中国語で味見

    「ちょっと~してみる」という表現

    「ちょっと〜する」の表現は一下を使うとお伝えしました。中国語では「ちょっと〜してみる」という一下以外にも、表現できる言い方があることをご存知でしょうか。ここでは「試しにやってみる」というニュアンスを含む表現をご紹介します。

    「試しに~する」というニュアンスの表現

    動詞の重ね型と呼ばれる文法では、この「試しに〜する」という表現ができます。行う動作の回数や量が少ないことを表すため、動作主が気軽に取り組める文脈のときや語気を和らげる効果があります。

    動詞+動詞の場合

    zhè ge cài zěn me yàng, cháng chang jiù zhī dao le

    这个菜怎么样,尝尝就知道了

    この料理はどうでしょうか、試しに味を見てみてください。

    yào bú yào lái yí ge shì shi

    要不要来一个试试

    試しにおひとついかがですか。

    rú guǒ wǒ xǐ huān zhè ge yìng yòng,ér qiě shí jiān chōng yù,wǒ huì shì shi nǐ men de cè shì,rán hòu fǎn kuì gěi nǐ men

    如果我喜欢这个应用,而且时间充裕,我会试试你们的测试版,然后反馈给你们

    もし私がこのプログラムが好きで時間に余裕があれば、試しにあなた達のテストを受けてみます。その後、フィードバックを差し上げます。

    動詞+一+動詞の場合

    nǐ shuō yī shuō yǒu yì si de shì ba

    你说一说有意思的事吧

    ちょっと試しに面白いことを言ってみてよ。

    nǐ néng bāng wǒ cháng yī cháng

    你能帮我尝一尝

    私の代わりにちょっと味見してみてくれませんか。

    「~してみる」の様々な使い方

    lǎo shī tū rán shēng bīng le,wǒ men yì qǐ qù kàn kan tā ba

    老师突然生病了,我们一起去看看他吧

    先生が突然病気になったので、ちょっと一緒にお見舞いに行きましょう。

    zhè jiàn shì néng ràng wǒ zài kǎo lǜ kǎo lǜ

    这件事能让我再考虑考虑

    この件について、改めてちょっと考えさせてください。

    bú yào mǎn zú yú yǎn qián de xiǎo chéng jiù wèn wen zì jǐ wǒ zhè bèi zi jiù zhè yàng le ma?

    不要满足于眼前的小成就。问问自己:我这辈子就这样了吗?

    眼の前の小さな成功に満足してはいけない。自分に問うてみる、私のこの一生はこんな感じなのだろうか?

    まとめ

    今回は中国語における「ちょっと」の表現についてお伝えをしてきました。母国語で使い慣れている日本語では、この「ちょっと」に含まれるニュアンスの使い分けを、文脈に合わせて日々使いこなせているかと思います。

    無意識に感覚で使いこなしているので、違いを説明するとなると急に難しく感じるかもしれません。

    中国語でも同様に、この「ちょっと」という表現では、文脈や文法ではっきりと区別がされている部分もあれば、感覚による部分も大いにあります。日本とは文化や習慣など歴史からくる感覚の違いも影響するため、理解し使いこなすまでは難しさを感じることも多いかもしれません。

    中国の小学校でもよく取り入れられる暗記法を活用することで、自然と無意識に使いこなせるよう実践を重ねていきましょう。中国語会話で考えることなく、自然と口に出せるようになることで自信につながり、より中国語習得度を深めることができるはずです。

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