みんなが必要とするお金。中国人もお金の話が大好きです。中国のお金に関する事情を知ると、現在の中国がどのような状況にあるかを垣間見る事もできます。
今回は、お金を通して中国についての理解を深めていきましょう。
中国旅行の必須知識!人民元の使い方と値切り交渉の秘訣
目次
中国でのお金の基本:人民元とは?
中国のお金は人民元で、貨幣単位は元です。中国語では「人民币」(rén mín bì)と呼ばれています。ちなみに日本円は「日元」(rì yuán)と呼ばれています。
人民元の紙幣の種類
人民元の種類を見てみましょう。100元,50元,20元,10元,5元,1元があります。2023年現在の紙幣は5代目といわれています。
人民元の紙幣の裏面には、中国の歴史的・文化的に重要とされている場所の絵が描かれています。
紙幣 | 正面の絵柄 | 裏の絵柄 | 色調 |
100元札 | 毛沢東氏 | 人民大会堂(北京市) | レッド |
50元札 | 毛沢東氏 | ポタラ宮(チベット自治区) | グリーン |
20元札 | 毛沢東氏 | 桂林山水(広西省) | ブラウン |
10元札 | 毛沢東氏 | 長江山峡(重慶市) | ダークブルー |
5元札 | 毛沢東氏 | 泰山(山東省) | パープル |
1元札 | 毛沢東氏 | 三譚印月(杭州市西湖) | ライトグリーン |
旅行好きな人の中には、こうした詩篇の裏に書かれている場所を実際に訪れ、背景をバックに紙幣をかざして写真を撮って記念に残す人もいます。
人民元の硬貨の種類
1元,5角,2角,1角です。呼び方ですが、元は「元」(yuán)あるいは「块」(kuài)と呼びます。角は「角」(jiǎo)あるいは「毛」(máo)と呼びます。
また、2元は「两块钱」(liǎng kuài qián)と呼びます。2角は「两毛钱」(liǎng máo qián)、200元も「两百块钱」(liǎng bǎi kuài qián)と呼ぶことがほとんどです。
中国での両替:ベストな方法と注意点
中国語で両替することを「兑换」(duì huàn)といいます。日本でするよりも、中国でするほうが断然お得です。ホテルでもできます。その時にはパスポートが要るので、忘れないでくださいね。
中国元と日本円の価値は1元が20円ぐらいです。中国の物価はかなり上がってきています。
買い物の楽しみ: 値切り交渉のステップ
中国の個人商店などでは、まけてもらうことも可能です。
基本の会話フレーズ
「老板」(lǎo bǎn)は、個人商店や会社の店長や経営者という意味です。
lǎo bǎn zhè zěn me mài
お客: 老板这怎么卖?
すみません、これいくらですか?
yī bǎi bā
店員: 一百八
180
tài guì ya, zuì dī duō shǎo qián
お客: 太贵呀,最低多少钱?
高すぎるよ、最低価格は?
yi zuì dī yī bǎi qī
店員: 最低一百七
最低170だね
zài pián yí diǎn ba, yī bǎi liù ba
お客: 再便宜点吧,一百六吧
もっとまけてよ、160でどう
bù xíng, yī bǎi liù shí wǔ ba
店員: 不行,一百六十五吧
だめ、165だ
yī bǎi liù ba
お客: 一百六吧
160でいいじゃない
bù xíng yī bǎi liù shí wǔ
店員: 不行,一百六十五
だめ、165
nà suàn le, zǒu
お客: 那算了,走
じゃもういい、行こう
ná ba
店員: 拿吧
持っていきなよ
「一百八」という呼び方をしますが、これは、180元のことです。108元ではないので間違わないようにしなければなりません。108元は「一百零八」(yī bǎi líng bā)になります。
日本では1000円は「せんえん」で「いっせんえん」とはいいません。しかし、中国語では「一千块钱」(yī qiān kuài qián)で「千块钱」とはいいません。
zhè zěn me mài
这怎么卖?
これいくらですか?
「这怎么卖?」は値段を聞くときに用います。値札が付いていないことも多いので便利で使えます。「这多少钱?」(zhè duō shǎo qián)「これいくらですか?」でもいいです。
「最低多少钱?」(zuì dī duō shǎo qián)はよく使います。まけてもらう交渉の必須の言葉です。
「便宜点吧」(pián yí diǎn ba)でもいいですが、上記の方が効果的。先に「最低多少钱?」を使い、次に「便宜点吧」で攻めるのがベストです。
中国での買い物には値切る楽しみがあります。日本ではすっかり見られなくなった光景です。もちろん中国でも、大きなデパートや高級店では値切れませんが、一般的な個人商店や、卸店の入った商業ビルでは、値段交渉が可能です。
交渉のコツと注意点
値切り交渉のコツについて紹介しますが、ここに挙げるケースは、外国人旅行者がよく行く場所という設定にしています。現地の人が普段買い物するような場所では、事情がまた異なりますので、その点についてはご注意ください。
中国の方は、値切るコツについては思い切りの良さが大事だと言います。思い切って半額位から交渉を開始してみても良いかもしれません。
zhè jiàn zhōng guó yī fú tǐng piào liàng,duō shǎo qián yī jiàn?
お客:这件中国衣服挺漂亮,多少钱一件?
このチャイナ服、とってもきれい。一着いくらですか?
qī bǎi
店員:七百
700元
tài guì le! pián yí yī diǎn ba。sān bǎi zĕn me yàng ?
お客:太贵了! 便宜一点吧。三百怎么样?
高すぎ! 少し安くしてください。300元でどうですか?
bié kāi wán xiào,tài pián yí le。liù bǎi
店員:*别开玩笑,太便宜了。六百。
冗談いっちゃダメだよ。安すぎ。600元だ。
zài pián yí yī diǎn ba,sān bǎi wŭ ba
お客:再便宜一点吧,三百五吧
もう少しまけてください。350元でどうですか。
bù xíng bù xíng, wŭ bǎi
店員:不行不行,五百
ダメ、ダメ。500元。
nà biān yŏu bǐnǐ gèng pián yí de,wŏ qù nà lǐ mǎi
お客:那边有比你更便宜的,我去那里买
あっちにあなたより安い店があるから、あっちで買います。
éi,nà wŏ gĕi nǐ sì bǎi xíng bù xíng?
店員:诶,那我给你四百行不行?
えっ、じゃあ、400元でどう?
*「别开玩笑」(bié kāi wán xiào)とは「冗談言わないでよ」という意味
「高いから要らない」「もっと安い店がある」と言ってその場を去ろうとすると、さらに値段を下げてきたり、後を追いかけてきたりするお店の人もいます。その場合、まだ値段が下がる可能性があります。
ただ、やはり最初から値切り交渉しない店主もいて、最初から「不谈价钱」(bù tán jià qián)と言われることもあります。値段交渉お断り「言い値で買ってください」という意味です。
相場を知ることの重要性
中国で買い物をする場合、値切り交渉にトライすることも良い経験になるのでオススメですが、どうせなら気持ちよく交渉したいものです。
後腐れなく値切り交渉をするためにとても大切なこととして、その商品の値段の相場を理解しておくことです。
物を仕入れて、売ることによって利益を上げている以上、店舗での売値が仕入れ値より安くなる事はまずありません。売られている商品の値段の相場を大体でも把握することができれば、交渉を無理なく、そして有利に進めていくことができます。
とはいえ、多くの人にとって商品の相場を知る事は容易ではありません。海外旅行などで初めて中国に行く場合はなおさらですよね。
中国のアプリの「淘宝」(タオバオ)や「拼多多」(ピンドゥオドゥオ)などの買い物アプリをダウンロードしておき、こうしたアプリを用いて商品の価格を調べておくのがおすすめです。
商品名さえわかれば、アプリで商品を検索できますし、商品名がよくわからない場合は、これらのアプリで画像検索をして商品を探すこともできます。
しかし実際に店舗に入って店員さんから話しかけられると、なかなか冷静に物事を考えたり商品の値段を調べたりする余裕はないと思います。もし可能であれば下見の時間を作るようにしましょう。下見のときにはよっぽどのことがない限り買い物をしません。
そして店舗から離れた後で相場を調べます。相場を理解した上で、店舗に戻ります。商品価値が頭に入っているので、理にかなった値段交渉ができるはずです。リサーチした情報を元にこんなふうに切り出せます。
táo bǎo shàng de jià gé shì líng líng yuán
淘宝上的价格是〇〇元
タオバオでの価格は、〇〇元でした
中国のスマホ決済とメリット
現在中国では、大多数の人がアリペイやwechat等を用いてスマホ決済を利用しています。中国国内で行われた調査によれば、国内のスマホ決済の利用者は全体の86%にも上ると言われており、世界一の利用率となっています。
スマホ決済には多くのメリットがありますが、最大のメリットは、なんといっても便利なことでしょう。
【お釣りの受け渡しが必要ない】
現金で決済すると、どうしてもお釣りが出てしまい、お釣りを探したりするのにも時間がかかりますし、お釣りの間違い等によってトラブルが生じることもあります。スマホ決済の場合は、こうした煩わしさやトラブルを避けることができます。
【距離が離れていても支払いができる】
スマホ決済は遠距離でも支払いができる点も、多くの人に支持されている理由の1つとなっています。
特に伝染病等の期間は、相手との距離が近くなったり、物を手渡しすることに抵抗を覚える人も少なくありません。そうした中で、お互いに接触を全くしないでも、決済ができる点もメリットの1つです。
【割り勘機能】
中国のwechatなどのアプリには割り勘機能があります。大勢で食事したときに、1人がどれだけ払えばいいかを自動的に計算し、それぞれからお金を徴収できる機能も付いているので便利ですね。
割り勘の場合、端数をどうするか考えることも煩わしさの1つですが、スマホ決済であれば端数が細くなったとしても、容易に支払うことができます。
現金の利用者が増加
スマホ決済の普及率がとても高い中国ですが、実は現金を使用する人がまた増えてきているようです。
店舗などでは現金を使用する人が増えてきているために、お釣りが足りなくなるという現象も各地で生じています。
その背景として、スマホ決済はあまりにも便利すぎるため、衝動買いをしてしまうことが多く、結果として支出が多くなってしまうという欠点が挙げられます。
「月光族 」について
中国ではお金の使い方の面で計画性のない人のことを「月光族」(yuè guāng zú)と呼びます。
中国語の「光」と言う漢字には「少しも残らない、全てなくなる」という意味があります。もらった給料を、1ヵ月のうちに使い果たしてしまうことのことを「月光族」というのです。
もちろん「月光族」はスマホ決済が導入される前から存在していましたが、決済が便利になることで、「月光族」をさらに増加させることになってしまったということです。
花呗と借呗への制限
中国国内でスマホ決済をいっそう加速させる事なった原因の1つに「花呗」(huā bei)と「借呗」(jiè bei)の導入が挙げられます。これらのシステムはアリペイで使用することができるクレジット決済です。
アリペイは「先消费,后付款」(xiān xiāo fèi, hòu fù kuǎn)のスローガンを掲げ、効果的に消費を促進しています。
この「先消费,后付款」の意味は「とりあえず購入して、後で支払う」という意味です。現段階でお金がなくても、クレジットを利用して商品を購入することができるため、衝動買いに拍車をかけている状況となっています。
花呗について
「花呗」の利用には審査が必要です。審査に通れば、ユーザの信用に応じて500-50000元のクレジットの利用が可能です。しかも一定期間内にお金を返せば、手数料も利子も発生しないので、非常に利用しやすいシステムとなっています。
借呗について
「借呗」では「花呗」よりも多くの金額のクレジット利用が可能です。ユーザが得ている信用に応じて1000-300000元のクレジット利用が可能です。
「借呗」の返金期限は12ヶ月となっており、1日ごとに0.045%の利子が発生する仕組みになっています。なお返金は、期限内であればいつでも可能となっています。
こうしたクレジット機能があまりに便利であるために、消費が促進されるわけですが、ある人たちはあえてスマホ決済を利用せずに、現金を使用することで消費を抑えようとしているのです。
まとめ
今回は「中国のお金」をテーマに紹介しました。現地での値切り交渉は中国語の練習になりますし、お金を通して中国という国の事情を本当に良く知ることができます。
もし機会があれば、実際に中国に行ってご自分の肌で経験してみてください。
※この記事は2023年8月に執筆されました。