中国語で感動を伝える!手紙の書き方と一般的なフレーズ完全ガイド

    1. 中国語勉強

    パソコンが主流の社会で、直筆で文章を書くことがますます少なくなってきています。学校教育に大々的にパソコンを取り入れている中国では、漢字が書けない学生が増えてしまい、社会問題にもなっているそうです。

    中国語で感動を伝える!手紙の書き方とフレーズ

    手紙を重んじる中国の文化

    漢字が書けない学生が多いのは、日本も同じではないでしょうか。知人へのあいさつも印刷文かSNSで済ませてしまっているのが実情でしょう。

    そんな時代だからこそ、手書きの手紙やはがきは相手の心を打つものです。とくに伝統を重んじる中国では、直筆の手紙は大変喜ばれます。大切な人への想いを是非中国語の手紙で伝えてみましょう。

    中国の手紙の基本書式

    中文の手紙には一定の「格式」(gé shì:書式)があります。

    基本は「称呼」(chēng hū:呼び名)、「正文」(zhèng wén:本文)、「结尾」(jié wěi:結び)、「著名」(zhù míng:署名)、「日期」(rì qī:日付)の5つのパーツから構成されます。

    称呼(呼び方)の選び方

    称呼chēng hū

    呼び方

    日本語でいえば宛名です。「山田太郎さま」のように「收信人」(shōu xìn rén:名宛人)の名前で、文頭に書きます。名前の後には、自分と名宛人との関係からみて適切な敬称を付けます。

    称呼のバリエーションと使い方

    长辈」(zhǎng bèi:先輩、年配者、目上)の場合、親族であれば「父亲fù qīn:お父さん)」や「爸爸bà bà:パパ)」、「母亲mǔ qīn:お母さん)」や「妈妈mā mā:ママ)」、「爷爷yé yé:おじいさん)」、「叔叔shū shū:おじさん)」など。

    恩師であれば、名前のあとに「老师lǎo shī:先生)」などを添えます。

    同輩や友人への呼び方

    平辈」(píng bèi:同輩)は、年齢や社会的立場などが同じぐらいの相手ですので、名前だけでも大丈夫です。関係性を表すものとして、同級生に対しては「同学」(tóng xué)というのもありでしょう。

    同志」(tóng zhì:同志)というのもありますが、少し古いですね。「同志」は「同性恋」(tóng xìng liàn :同性愛者)の意味で使われていますから、あまり使わないほうがよいかもしれません。

    友人夫婦宛てに手紙を書くときは、姓の後に「夫妻」(fū qī)を付けると良いでしょう。

    会社の同僚、大学の同級生であっても、年齢が自分より上の場合があります。そうした相手には「哥哥」(gē gē)や「」()、「 姐姐」(jiě jiě)や「」(jiě)を付けることが多いです。

    後輩や若い世代への呼び方

    晚辈」(wǎn bèi:後輩)の場合、直接名前を書いて大丈夫です。あだ名や愛称でも構いません。最後に冒号をつけます。これ以降に文章が続くことを意味します。

    状況によって「称呼」(chēng hū)の前に、「尊敬的」(zūn jìng de)、「敬爱的」(jìng ài de)、「亲爱的」(qīn ài de)などを付けることもあります。

    正文(本文)の構成方法

    正文」(zhèng wén)、つまり本文の書き方は以下の通りです。

    1. 改行してから書き始めます。
    2. 最初の1行は2文字分開けて「收信人」(shōu xìn rén)に対する「您好你好nín hǎonǐ hǎo:こんにちは)!」などあいさつの言葉を書きます。
    3. また改行します。2文字分開けて、相手への気遣いや感謝の言葉を述べます。
    4. 自分のことを述べます。
    5. 今回手紙を書くに至った用件を書きます。連絡事項やお願いしたいことです。
    手紙の書き方

    結語の選び方とその意味

    结尾jié wěi

    結語

    改行して文頭2文字開けて書き始めます。「长辈、平辈、晚辈」といった收信人との関係や、手紙の内容にそった言葉を選びます。

    「敬启、谨启、谨上、敬上」 などのフレーズ

    敬启」(jìng qǐ)、「谨启」(jǐn qǐ)、「谨上」(jǐn shàng)、「敬上」(jìng shàng)などの語を差し出し人署名の後に書きます。これらの語が日本語の「敬具」に相当します。

    署名の書き方

    著名zhù míng

    署名

    改行して2文字分のスペースを開けて筆者の姓名を書き記します。また名前の前に、名宛人との関係性を示す言葉を添えることもあります。

    nín de hái zǐ, lú lín lín

    您的孩子,卢琳琳 

    あなたの子供、盧琳琳

    nín de nǚ er, lú lín lín

    您的女儿,卢琳琳

    あなたの娘、盧琳琳

    nín de xué shēng,lú lín lín

    您的学生,卢琳琳

    あなたの学生、盧琳琳

    nǐ mén de tóng xué,lú lín lín

    你们的同学,卢琳琳

    みんなの同級生、盧琳琳

    日付の書き方

    日期rì qī

    日付

    改行して、やはり文頭2文字分のスペースを開けて書き始めます。

    2023年8月10日

    それぞれの部分は全部改行して、文頭2文字分のスペースを空けて書き始めることを忘れないようにしましょう。

    封筒

    中国の識字率

    漢字の読み書きができてこそ手紙を書くことができます。現在の中国では、ほとんどの人が文字の読み書きができるようになっていますが、以前はそうではありませんでした。

    中華人民共和国が設立された1949年以前では、人口の約5%の人しか読み書きができなかったそうです。1949年建国当時の成人の識字率は、人口の約20%ほどでした。

    ちなみに読み書きができない人のことを中国語で「文盲」(wén máng)といいます。また「識字」のことを「识字」(shì zì)、「非識字」のことを「不识字」(shì bú zì)といいます。

    このようにして考えると、読み書きができる事は決して当たり前ではありません。改めて、義務教育を受けられることに感謝ですね。

    その後、学校教育が普及していくにつれ、中国の識字率は徐々に上がっていきます。1990年の中国の15歳以上の識字率は84%にまで上がり、2020の時点では識字率は97%以上にまで上がっています。

    古代中国の手紙の歴史

    歴史がとても古いことで知られている中国ですが、中国ではいつから手紙が用いられたのでしょうか?中国の検索、エンジン「百度」で調べてみました。

    中国における一番初めの文字の出現は、中国の周王朝の時代で約3000年前にまで遡ります。この時代の文字は「甲骨文」(jiǎ gǔ wén;甲骨文字)と呼ばれるもので、今の中国語の漢字が形成されるよりも前に用いられていた漢字です。

    「甲骨文」について

    甲骨文」はカメの甲羅やウシの肩甲骨等に記されていたといわれており、そのため「甲」と「骨」の漢字が使われています。この「甲骨文」は、基本的に絵文字ではありますが、文字として抽象性が高く、現代の漢字の原型となった文字として知られています。

    「竹简」の使用

    春秋戦国時代になると、竹などの材料に文字を記すようになります。文字を書きつけるための木片を中国語で「竹简」(zhú jiǎn)と呼びます。日本語では「竹簡」(ちくかん)です。

    この竹簡は、中国の三国志などのドラマや映画の中でもよく出てきていて、竹辺をつなげた書簡を両手で広げて読み上げたりしています。

    紙の使用

    紙は紀元前2世紀頃に、中国で発明されたと考えられています。紙を使い始めたのは中国人だったんですね。

    最初は試行錯誤しながらいろいろな方法で紙が作られていたようですが、西暦105年頃に「蔡倫」(さいりん)という後漢時代の役人が行った製紙法の改良によって、使いやすい実用的な紙がたくさん作られるようになったといわれています。

    
蔡倫が紙作りに使った材料は、 麻のボロきれや、樹皮などだったとそうです。

    中国の4大発明

    古代中国はとても先進的。様々な偉大な発明がなされ、「羅針盤、火薬、紙、印刷」これら4つは中国の4大発明といわれています。このようにして紙が用いられるようになり、いよいよ手紙の形をとるようになります。

    漢字の歴史

    漢字の原型が「甲骨文」であったことについてはすでに述べましたが、その後どのようにして今の漢字の形に変化したのでしょうか?

    中国の土地は広大で、それぞれの地域で別々の漢字が使われていました。しかし、西暦前221年に秦の始皇帝が中国統一を果たします。「法治国家の設立」を目指していた始皇帝は漢字を統一します。この時に統一された漢字を「小篆 」(xiǎo zhuàn;しょうてん )といいます。

    しかし、この「小篆 」はとても複雑な形をしており、書きにくいものだったようで、役人達の負担が大きかったようです。そのため徐々に書体が簡素化され、より実用的な「隶书」(lì shū;隷書)が生み出されるようになりました。

    これらの漢字が西暦6世紀から10世紀にかけてさらなる変化を遂げ、標準の書体である「楷书」(kǎi shū;楷書)が登場するようになりました。そして1956年に、現在中国大陸で使用されている「簡体字」の使用が国によって奨励されるようになり、今に至ります。

    中国の郵便

    近代中国の手紙の歴史

    近代の中国ではいつの時代が最もよく手紙が書かれていたのでしょうか?

    手紙を出すのが困難だった時代

    1950~60年代の中国では、政府関係の手紙や軍事関係の手紙であれば、割と早く郵送できていたようです。しかし一般人はまだ体系的な郵便制度を使用することができない時代です。

    目的地の方向に行く知り合いに手紙を渡し、手紙を受け取った人が目的地の方向に行く別の人に手紙を渡しす。さらに手紙を受け取った人が目的地に向かう別の人に渡すという「人づてに」手紙を渡しながら、何とか受け取り主の手に渡るようにしていたようです。

    こうした方法だと、手紙がいつ相手に届くかわからず、何ヶ月も、時には半年かかってやっと受取人のもとに届く状態でした。

    こんなにも長い時間が経ってしまうと、手紙を書いた時と手紙が届いた時の状況が大きく変化してしまっている事も少なくなく、近況を伝えたいと思う場合は非常に困難でした。

    この時代は識字率も高くなかったので、手紙を書く場合は村の中の学識のある人のところに行き、手紙を代筆してもらっていたのでした。

    こうした状況なので、手紙一つ出すのも容易ではありません。それでも遠くに住む愛する家族から受け取る手紙は大変貴重なものとされており「家书一封值千金」(jiā shū yī fēng zhí qiān jīn ;家族からの手紙は千金に値する)といわれていたそうです。

    最も手紙が多く書かれた時代

    中国では1990年代が最も多く手紙が書かれた時代だといわれています。この時代になると、教育が全国各地に普及し、ほとんどの人が読み書きできるようになり、自分で手紙が書けるようになっていました。

    郵便制度の発達により、一般市民の書いた手紙でも確実に受取人のもとに届くようになっていました。当時の中国の郵便制度は速達がかなり充実しており、市内であれば24時間以内、全国の主要都市であれば48時間以内、4日以内に全国のすべての郵便局への配達が可能になっていたそうです。

    この時代の中国は、手紙に必須である「書ける、読める、送れる」の3つの重要な要素が高いレベルに達していたため、たくさんの手紙が書かれるようになったといわれています。

    手紙の衰退

    しかしその後は、インターネットや電子機器の発達により、メールやSNSが登場するようになります。

    現在の中国では、コミュニケーションのほとんどがこうしたものを使用して行われるようになっており、紙とペンを用いて手紙を記す機会はほとんど見られなくなってしまいました。

    手紙を書くことのメリット

    電子機器やSNSが広く用いられるようになった今ですが、手紙を書くことにはたくさんのメリットがあります。

    中国にはこういう言葉があります。

    shǒu xiě xìn shì zhè ge shì jiè shàng zuì zhēn chéng zuì làng màn de lǐ wù

    手写信是这个世界上最真诚最浪漫的礼物。

    直筆の手紙は世界で最も心のこもったロマンチックなプレゼントです。

    あえて便利な電子機器を使用せず、自分の手を用いて一生懸命記した手紙は、何よりも心のこもったもので、人の心を打つといわれています。大切に思っている人には、あえて手紙を書いて自分の思いを伝えるべきだと言う人もいます。

    ほとんど手紙が書かれなくなってしまった今の世の中だからこそ、手紙の価値が見直されてきているわけですね。

    まとめ

    今回は中国語の手紙の書き方について紹介しました。そして、古代と現代における中国の手紙の歴史についてもお伝えしました。

    あまり直筆で手紙を書く事がなくなったとはいえ、その価値はいまだもって大変貴重です。自分が大切に思っている人にはぜひ手紙を書いてみましょう。

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