皆さんはカラオケが好きですか?実は中国の人たちの多くも、歌を歌うことが大好きです。今後皆さんも中国の方とカラオケに行くことがあるかもしれません。
今回はそんな時に知っておくと役立つ中国のカラオケ事情について紹介します。
中国のカラオケ文化:KTVの魅力と注意点
目次
カラオケの起源
ご存じの方も多いかもしれませんが、カラオケの発祥地は日本です。
「Karaoke」は日本語でも「カラオケ」と発音します。日本語で「カラオケ」の「カラ」は「中身がない」空という意味で、「オケ」は「オーケストラ」の略で、放送業界で使われていた用語とのことです。
もともと「カラオケ」という語は、オーケストラなどの生演奏を使わずに、伴奏が収録されたレコードやカセットテープなどを使用して、プロの歌手が歌うことを「オーケストラが入っていない」という意味で「カラオケ」と呼んでいたのだそうです。
こうしたプロ向けの伴奏の音源を一般の人向けに改良したのが、現在のカラオケの始まりといわれています。
日本と中国のカラオケの歴史
1960年代後半ごろに一般人向けのカラオケが開発されました。初期のカラオケの機械はバーなどに設置され、伴奏の音源とマイクで歌った音声を合わせて、アンプから音が流れるようにするという非常にシンプルなものでした。
そして1980年代ごろにカラオケが海外に広まっていきました。日本で大人気になったカラオケは、まず台湾に伝わり、その後、海外在住の日本人や、日本に住んでいた中国人などによって中国に伝わるようになりました。
中国でのカラオケの普及の背景
中国では、最初は内装も含めて日本のカラオケシステムをそのまま踏襲していたそうです。しかし中国人の好みに会わないということで、台湾のシステムを導入するようになった結果、中国で広く受け入れられるようになったそうです。
日本から伝わったものに中国式にアレンジを加えて、今の中国のカラオケ文化が出来上がったということです。
中国のKTVとは?
このようにして、中国にカラオケ文化が入り込みましたが、中国ではカラオケのことを「KTV」と呼んでいます。
たいていどの都市でも街のあちらこちらでカラフルなネオンサインで電飾を施した「KTV」という看板を目にします。これは「卡拉OK kǎ lā OK」の「K」と「テレビジョン」の「TV」を組み合わせた造語「Karaoke Television」の略語です。
ちなみに「KTV」中国語の発音は、「KTV」のアルファベットを1つずつ「ケー、ティー、ブイ」と読み上げれば大丈夫です。
KTVの種類と特徴
いまでは多くの人に愛される「KTV」ですが、実は「KTV」には幾つかの種類があります。
【量贩式KTV:一般的なカラオケボックス】
最も一般的な「量贩式KTV liàng fàn shì KTV」は「自助式KTV zì zhù shì KTV」とも呼ばれます。いわゆる時間制のカラオケボックスで、バイキング式でドリンクやフードなどを購入します。量販式であるため、値段もリーズナブルです。
【商务式KTV:ビジネスと娯楽を兼ね備えた場所】
それに対して「商务式KTV shāng wù shì KTV」は商談と接待を兼ねた娯楽の場です。「商务」と言う語は、ビジネスという意味です。商談や接待に用いられると言うこともあり、こちらの方がサービスが行き届いている分値段が高くなっています。
KTVの部屋の種類と予約方法
カラオケボックスの部屋を「KTV包房 bāo fáng」、もしくは「KTV包厢 bāo xiāng」といいます。「包」は「貸し切」、「房」と「厢」はどちらも「部屋」の意味です。
これらの貸し切の部屋はそれぞれデラックスルーム、大部屋、中部屋、小部屋、ミニ部屋などと、部屋の面積や入ることのできる人数、さらには室内装飾の度合いによって異なる価格が設定されています。
事前に予約しておくことを「订房 dìng fáng」といいます。
上に挙げた「包房」「包厢」「订房」などの単語はレストランなどでも使えますので、覚えておくととても便利です。
KTVに潜む危険
中国の方に愛されている「KTV」ですが、カラオケボックス事態が密室であるため、トラブルが生じやすい場所でもあります。
大抵は本来の目的通り、カラオケで歌うという健全な娯楽の場ですが、残念なことに、犯罪に巻き込まれる危険も潜んでいます。
密室での違法行為
南京市のある大学の食堂横にあるKTVは見たところ普通のKTVで、大学生たちがよく利用していました。
ところがこの店の経営者はひそかに同校の女子学生数人を雇って、大学外からやって来た自分の知り合いの経営者などの客に、一般のボックスの奥にある別室でホステスまがいの行為をさせていました。
このことが警察の隠密捜査によって明るみになったことで、こうした状況を許していた学校に対する批判、またKTVが若者に与える影響を懸念する声が上がっています。
薬物の販売
KTVは部屋が限られていて密室になっているため、薬物の販売などが問題になったこともありました。そのため中国では、不法行為が行われていないか、非定期に当局が調査をすることがあります。
中国語では、こうした不法行為を取り締まる活動のことを「扫黑活动 sǎo hēi huo dòng」といいます。調査で問題が明るみになり、営業停止に追い込まれた店舗も少なくないようです。
防災の危険
KTVが不安を与えるその他の要素は、経営者と客のどちらにも防火防災の意識があまりないことです。喫煙、飲酒によって部屋に悪い空気がこもり、窓がないため換気がほとんどできないことが専門家によって指摘されています。
さらに、火事などが発生した場合の避難誘導などについて、改善する余地がありそうです。
残念ながら「KTV」に潜む危険に対する知識が不足していたがために、実際にトラブルに巻き込まれて仕事に支障をきたしてしまった日本人の方もいらっしゃるよう。「KTV」には、こうした奥に潜んでいる危険が存在しているということを良く理解しておきましょう。
中国におけるカラオケ文化
中国の「KTV」行ったことがある多くの日本人の方は、中国と日本ではカラオケ文化にとても大きな違いがあると口を揃えて言います。
この記事を呼んでいる方も、いずれは中国の方とカラオケに行くかもしれませんね。中国のカラオケ文化について知っておくと、きっと役立つでしょう。
割り込みについて
日本では複数人でカラオケに行った場合、一人目がまず一曲だけ選曲して他の人に次の選曲を譲るという「暗黙の譲り合いルール」が存在しています。しかし中国では、歌いたい人がドンドン選曲をしても問題がないそうです。
そして歌い始めてから、他の人が選曲をする場合、日本であればまだ歌われていない選曲リストのあとに追加をしていくのが一般的ですが、中国だと割り込み機能で選曲を入れていく事がとてもよくあるのです。
そんなに割り込み機能を多用すると、日本では「自己中心的な人だ」と思われてしまいますし、時には揉め事になってしまうのではないかと心配になりますが、これはこれで秩序が保たれるのだそうです。
一人目がすでに連続して選曲している訳で、次の人が同じく複数曲を選曲して割り込み、また次の人が割り込みで選曲します。このように連続して割り込みが繰り返される事で、最終的には皆の曲順がバランス良く配置されていくらしいのです。
日本人の感覚ではなかなか理解しにくい現象ですが、逆に大切な事を私たちに教えてくれています。それは、日本の常識が全てではないということ。
みんなでカラオケを楽しむにもいろんな方法があります。自分のいる場所の常識にとらわれず、異なる文化や方法を受け入れることは、外国語の学習においてとても大切な態度です。
中国人の人前で歌うことに対する意識
中国のカラオケ文化では歌の上手い下手はあまり重視されません。歌が上手でなくても歌いたければガンガン歌います。
もともと中国人は歌うのが好きだといわれていて、カラオケ文化は日本人以上に合っています。中国の広場や公園では、大音量で音楽を流しながら太極拳やダンスをするおばちゃんおじちゃんの団体をよく見かけますし、そのなかにはカラオケを大熱唱するおばちゃんおじちゃんもいます。
家であろうと外であろうと突然歌い出す人がいます。日本で同じことをすると、たちまち迷惑行為になってしまいますが、中国ではそれが気になることはありません。日本はますます音に厳しくなってきており、公園でも「騒いではいけない」と言われてしまいます。
こうして日本と比較すると、中国の文化は音と言うものに関して非常におおらかであることがわかります。歌に自身がなくても思いっきり歌いましょう!
“切歌”の習慣
「切歌 qiē gē」とは「途中まで歌って終了する」という行為のことで、「KTV」では「切歌」というボタンを押せばその曲は終わります。
サビの部分まで歌って終了、歌えなくてもとりあえず選曲してみて無理なら終了、最後のイントロを聞かずに終了、というふうに一曲を全て歌わずに終わるケースが多く見受けられます。
中国の場合は一人で連続して歌を選曲するため、全部歌うと大変なので「歌いたいところだけ歌う」ということなのだそうです。考え方としては、とても合理的ですね。
KTVにいくことになったら
仕事の用事などで中国に行く場合、中国の方と「KTV」に行く機会があるかもしれません。もし中国の方と「KTV」に行くことになったらどう感じますか?とても楽しみでしょうか?それともちょっと緊張してしまいますか?
好きな曲を好きなように歌う
どうぞ、ご安心ください。中国の「KTV」に行く場合、必ずしも中国の歌を歌わなければならないわけではありません。日本の曲も選曲することができますし、中国の方たちも、日本人が歌う日本の歌を聞きたいと思っています。
中国のカラオケの場合は、人が歌っているときに周りの人があんまり人の歌を聴いていないということが多々あります。他の人が歌っていても、その横で自分が歌いたい歌を大声で歌っているということもあります。
歌の上手下手よりも、みんなでワイワイ楽しく過ごすということに重きが置かれています。ですから、「KTV」に行く時にプレッシャーに感じる必要は全くありません。
歌いたい曲を思いっきり歌い、歌えなくなったら「切歌」機能を使って途中でやめても全然問題ありません。楽しくしているのが相手に伝わればそれでオッケーです。
KTVでの選曲の仕方
中国のカラオケボックスの選曲は液晶画面がタッチパネル式になっていて、選択する曲は中国大陸・香港・台湾・日本などの歌手別、曲名別・流行曲別にピンインで入力して選曲することが可能です。
店舗によっては日本語の「ひらがな」でも選曲ができるそうなので、日本人にとってとても嬉しい機能です。
KTVで用いる中国語
「KTV」に行ったときに必ず用いることになる中国語を幾つか紹介します。
- 麦克风(mài kè fēng):マイク
- 原歌(yuán gē):原曲
- 返回(fǎn huí):戻る
- 首页(shǒu yè):トップページ
- 暂停(zàn tíng):一時停止
- 静音(jìng yīn):ミュート
- 播放(bò fàng):再生
- 伴唱(bàn chàng):伴奏付き
- 点歌(diǎn gē):曲を入れる
ここでは9つの単語を紹介しましたが、これらの言葉は日常生活でとても頻繁に用いられますので、覚えておくととても便利です。
「点歌」の「点 diǎn」という言葉ですが「注文する」という意味があり、中国の飲食店などでも良く用いられます。
ちなみに飲食店でメニューを注文するときには「点菜 diǎn cài」といいます。
KTVで良く歌われる日本の歌
中国でも日本の歌はとても人気がありよく歌われています。「KTV」では、どんな日本の歌が人気なのでしょうか?中国の検索エンジン「百度」で調べてみました。その中のいくつかを紹介します。
- 小さい恋の歌 / MONGOL800
- さくらんぼ / 大冢爱
- 恋するフォーチュンクッキー / AKB48
- 負けないで / Zard
- M / Princess Princess
- 愛唄 / GReeeeN
- キセキ / GReeeeN
皆さんの好きな曲はあったでしょうか?ここに挙げたのはあくまでも一例ですが、こうして調べてみると日本の曲も中国でとても愛されているということがよくわかります。
また、最近中国では日本のアニメソングやアイドルの曲なども広く受け入れられているそうです。日本の曲を一曲歌い切れば、きっと喜んでもらえるでしょう!
まとめ
今回は「KTV」について紹介しました。中国でもカラオケ文化はとても発達しています。そして中国の多くの方は歌うことが大好きです。それで「KTV」はとても多くの人から愛されています。
中国の方と一緒にカラオケに行く機会があれば、上に挙げたことを参考に思いっきり歌ってみましょう。楽しいひと時を共有できれば、それだけ中国の方と親しくなることができます。