中国語の発音の基礎を学習した方に、ぜひとも早めに学んでいただきたい構文があります。それが仮定文です。仮定文をマスターすると、中国語の会話力が飛躍的に向上します。
仮定文で中国語をもっと自然に!「もし~なら」の使い方
目次
中国語の仮定文とは?
仮定とは「不確定なことを事実に関係なく、仮にこうであると定めること」と定義されています。「もし~なら」という仮定文は、どの言語にもあるお馴染みの表現です。日常生活で使う機会も少なくありません。
仮定文の役割と日常での使用例
普段あまり考えないかもしれませんが、実際の会話において、仮定文というものは非常によく使用されています。
人間は将来に起きることを完全にコントロールすることができないので、将来に関して人がしようとしたり、予想したりする事は全て不確定です。そのため、将来のことについて考えていくときに、必然的に仮定して物事を考えます。
例えば、どこかに行こうと計画するときに、晴れていたらどうするか、雨が降ったらどうするかということを考えますが、これは物事を仮定した上で計画しています。
仮に、仮定という概念が存在しないとすると、将来について考えにくくなります。
また、人間は他の人とコミュニケーションを取る時にも、自分の言う言葉と相手の反応を想像しながら、何をどのように言うべきかを考えています。
例えば、他の人に何かを話すときに、仮にこういう言い方をしたら、相手に不愉快な思いをさせてしまうかもしれないと考える事も一種の仮定です。もしこの仮定という概念が存在しないとすれば、ただただその場で思いついたことを話すようになってしまいます。
人間の思考と会話において、物事を仮定するという概念は必要不可欠です。中国語の仮定文も非常によく用いられるものなので、中国語学習の早いうちにマスターしておくと、後の会話がとても楽になります。
「もし~なら」の中国語表現
中国語の場合「要是 yào shi」や「如果 rú guǒ」「假如 jiǎ rú」などが「もし」に相当する表現です。
中国語を学び、学びたての方であれば、とりあえずこの3つを覚えるようにしましょう。「3つは大変だ」と感じる方の場合は、そのうちの1つでもかならず覚えるようにしてください。
この3つは、発音と漢字が違うだけで、文法上の使い方としては非常によく似ています。1つをしっかりと覚えておけば、後の2つは簡単にマスターすることができます。
中国語の仮定文の基本構造
仮定文をマスターするためには、文の構造を理解する必要があります。決して難しくないのでご安心ください。
まず、仮定文の場合は、必ず前半の文節と後半の文節が存在します。
- 前半の文節では、仮定の条件が述べられます
- 後半の文節では、結果が述べられます
- 仮定文=仮定の条件+結果
次に仮定表現の位置について考えます。
「要是」「如果」「假如」などの仮定表現は、前半の文節の一番前に置きます。
そして、後ろの文節の主語の後ろに「就 jiù」を置きます。
Yào shi míng tiān xià yǔ, wǒ jiù dài yǔ sǎn
要是明天下雨,我就带雨伞。
もし明日雨が降ったら、私は傘を持っていく。
上の文章の仮定表現の位置に注目してください。「要是」は前の文節の一番初めに置かれています。そして「就」は主語の後に置かれています。
これが仮定文の基本的な形になります。この形さえ覚えてしまえば、後は単語を入れ替えるだけで応用することができるので、後がとても楽になります。
「要是」「如果」「假如」の違いと使い方
「要是」「如果」「假如」の3つの語は、共通点がたくさんありますが、それぞれの違いもあります。これらの言葉の細かな違いを知っておくと、その場に最も適した仮定表現を用いることができます。
「要是」について
「要是」は口語表現です。文章に書くときには余り使いません。また、3つの中ではやや強い表現に感じられます。
yào shi nǐ yǒu kòng,wǒ men jiù qù cān guān gōng chǎng
要是你有空,我们就去参观工厂。
もし時間があるなら、工場見学に行きましょう 。
「如果」について
「如果」は最も使用しやすい語で、会話にも文章にも使えます。本来は書き言葉だけに「要是」よりも少し改まった表現といえるでしょう。常にこの「如果」を使っておけば無難です。
rú guǒ nǐ yǒu kòng,wǒ men jiù qù cān guān gōng chǎng
如果你有空,我们就去参观工厂。
もしお時間があれば、工場見学に参りましょうか。
「假如」について
「假如」も会話、文章のどちらにも使えますが、「如果」よりもさらに改まった印象を受けます。また、3つの中では最も相手の意志を尊重する感じなので、遠慮がちな表現です。
よりカジュアルな仮定文の表現
中国語の仮定文の基本構造について紹介しましたが、仮定文のよりカジュアルな言い回しがあります。
「~的话」について
上記の3つとも条件を述べる前半の文節の末尾に「~的话 de huà」を付けても意味は変わりません。
この「~的话」の位置が、条件を述べる前半の文節の最後に来るため、これを用いると文節の前半と後半の区切りがわかりやすくなるというメリットがあります。
ただ「~的话」を付けることによって、よりくだけた口語的表現になりますので、文章にする時には付けない方が良いでしょう。
rú guǒ nǐ yǒu kòng de huà,wǒ men jiù qù cān guān gōng chǎng
如果你有空的话,我们就去参观工厂。
もしお時間があれば、工場見学に行きましょう。
更に文頭の「如果」や「要是」「假如」などを省いて「~的话」としても意味は変わりませんが、更にくだけた感じの口語表現になります。
nǐ yǒu kòng de huà wǒ men jiù qù cān guān gōng chǎng
你有空的话,我们就去参观工厂。
時間があったら、工場見学に行きましょう。
「就可以 jiù kě yǐ」や「也可以 yě kě yǐ」など組み合わせの表現
「就」の代わりに「可以kě yǐ‘」や「也 yě」「都 dōu 」「还 hái」などを使うこともできます。「就可以 jiù kě yǐ」や「也可以 yě kě yǐ」など組み合わせの表現も可能です。
rú guǒ nǐ yǒu kòng wǒ men kě yǐ qù cān guān gōng chǎng
如果你有空,我们可以去参观工厂。
もしお時間があれば、工場見学することも可能です。
仮定文のバリエーション
上に挙げた「要是」「如果」「假如」の他にも仮定文のバリエーションがあります。
「只要」を使った「~さえすれば」の表現
その一つに「只要 zhǐ yào」という表現があります。「~さえすれば」という意味なので、これも仮定表現の一種です。
zhǐ yào nǐ yǒu kòng wǒ men jiù qù cān guān gōng chǎng
只要你有空,我们就去参观工厂。
時間さえあれば、工場見学に行けます。
「要是」「如果」「假如」の3つと「只要」との違いは、前者の3つが「もしも~」の仮定で前半に提示される条件に対する結果を後半でオプションとして提案しているのに対し、「只要」は後半の文節に示された結果が成り立つ条件として「~さえすれば」という仮定を前半で述べているということです。
たとえば「如果」などの場合、工場見学に行くのか買い物に行くのかのオプションを訊ねることができます。しかし「只要」の場合は、工場見学を可能にする条件が「時間がありさえすえば」ということなので、工場見学以外の行動の選択について言及されることはありません。
rú guǒ nǐ yǒu kòng wǒmen jiù qù cān guān gōng chǎng hái shì qù mǎi dōng xi
如果你有空,我们就去参观工厂还是去买东西?
もしお時間があれば、工場見学に参りましょうか、それとも買い物に行きますか?
「即使」を使った「たとえ~しても」の表現
その他にも「即使 jí shǐ」を用いた仮定表現もあります。「即使」を用いると「たとえ~しても」という意味になります。
jí shǐ nǐ yǒu kòng wǒ men yě wú fǎ qù cān guān gōng chǎng
即使你有空,我们也无法去参观工厂。
たとえ時間があっても、工場見学はできません。
「即使」の文章では、結果を述べる後半の文節は主語の後に「也」を置いて強調します。
「只有」を「~して初めて~する」の表現
「只有」は「~して初めて~する」「~しなければ~しない」という意味を表します。
「只有」の文章では、結果を述べる後半の文節は主語の後に「才」を置きます。
zhǐ yǒu nǐ yǒu kòng, wǒ men cái néng cān guān gōng chǎng
只有你有空,我们才能参观工厂。
あなたに時間があって初めて私たちは工場見学をすることができます。
「就」や「也」などの副詞
中国語の仮定文においては、後ろの文に置く「就」などの副詞がなければなりません。これらの副詞の用い方は、日本語と異なるため、日本人の中国学習者からしたら、なじみのない文法なので、忘れてしまわれがちです。
これらの副詞が無くても意味は通じるのでしょうが、ネイティブからすると聞いていて何となくすっきりしない感じになるようです。これらの副詞も忘れないようにしましょう。
- 「要是」「如果」「假如」「只要」に対しては「就」を用いる
- 「即使」に対しては「也」を用いる
- 「只有」に対しては「才」を用いる
仮定文を使いこなすためのポイントと練習方法
言語の中においても、主要な構文とも言える仮定文ですが、どのようにしたら使いこなせるようになるでしょうか?
日常会話で非常によく使われる構文なので、頭で考えて反応するのではなく、反射的に言葉が出てくるようになるまで練習する必要があります。
とはいえ、簡単な方法でマスターすることができます。
まずは、上に挙げた「要是」「如果」「假如」の3つの例文の中から1つをピックアップして、徹底的に言葉に出して練習するようにしてください。
初めは例文を見ながらでいいので、大きな声でできるだけ正確な発音で読み上げましょう。スピードが速すぎると発音が崩れてしまうので、ゆっくりで大丈夫です。
慣れてきたら、今度は例文を見ないで、記憶だけに頼って例文を話してみて下さい。もし例文を全く見ないで言えるようであれば、ひたすら繰り返し、発声練習をしてください。
この段階でまだ覚えることができないようであれば、もう一度例文を見ながら練習してください。
フレーズの内在化
例文を見ないで100回以上発声練習したら、次は別の例文を同じように練習してください。
このように何度も言葉に出して反復練習すると、体でフレーズを覚えることができるようになります。これが言語の「内在化」という現象で、頭で考えなくても言葉が出てくるようになっている状態のことです。
1つのフレーズを頭で考えずに話すことができるようになれば、そのフレーズは内在化されていますので、後は例文の単語を入れ替えさえすれば、応用することができます。
基本となる1つの例文を完璧に覚えることがとても大切ですので、最初の一文の練習に時間を割くようにしましょう。
仮定文の実践的な使い方
物事を仮定する表現方法ですが、日常会話のどんなシチュエーションで用いることができるでしょうか?
例えば、提案をするときに用いることができます。
rú guǒ nǐ fāng biàn de huà, wǒ men jiù dǎ di guò qù ba
如果你方便的话,我们就打的过去吧。
もし、あなたの都合が良ければ、タクシーに乗っていきましょう
このように、仮定表現を用いてタクシーと言う交通手段を用いると言う提案をしています。
他にも、相手の都合を考慮したこのような言い回しがあります。
yào shi nǐ xǐ huān de huà, wǒ men jiù chī zhōng cān ba
要是你喜欢的话,我们就吃中餐吧。
あなたが良ければ、中国料理を食べましょう。
この場合も、仮定表現を用いて、中国料理を食べに行くという提案をしています。
rú guǒ bù xián qì de huà, nǐ jiù cháng yī xià ba
如果不嫌弃的话,你就尝一下吧。
嫌いでなければ、食べてみてください。
この場合も、文の前半で「嫌いでなければ」と相手の都合を確認した上で提案を述べています。
こうした仮定表現を交えた提案と言うものは、日常会話の中でとても大切です。
自分の意見をしっかりと述べつつも、文の前半で「あなたにとって都合が良ければ、あなたが望むのであれば」という仮定表現を加えることにより、相手の都合を考慮した上での提案を提出することができるからです。
人間関係において、相手を尊重する事は非常に大切です。多少中国語は不十分であったとしても、相手に対する敬意が伝われば、良い関係を築くことができます。
まとめ
今回は中国語の仮定文について紹介しました。仮定という概念は人間同士のコミュニケーションと思考になくてはならないものです。
中国語を学び始めた方は、ぜひ早めにこの仮定文をマスターするようにしましょう。そうすることで、表現力が増し、中国の方とより良好な関係を築いていくことができるようになります。