中国の食文化は、世界3大料理の1つに挙げられるほど高水準といわれています。今後中国語を勉強していく中で、たくさんのおいしい中国の食べ物を食べる機会があることでしょう。
美味しいものを食べたときに、用いることができる表現について紹介します。
中国語で「美味しい」を伝える方法:「好吃」の発音と表現ガイド
目次
中国語で「美味しい」を表現してみよう
中国語で美味しいと言いたい場合は、“好吃 hào chī”と言います。中国ではほぼ毎日のように聞かれる言葉ですが、とても奥の深い言葉なので、しっかり意味を理解しておきましょう。
“好吃”の意味と使い方
食べてみて美味しかった時に“好吃”と言いますが、注意すべき点として、“好吃”は食べ物に対してのみ用います。
飲み物に対しては別の言い方をしなければなりません。飲み物が美味しかった時の場合は、“好喝hǎo hē ”と言います。
日本語の「美味しい」場合は、食べ物と飲み物のどちらにも用いることができますが、中国語の場合は、食べ物と飲み物で表現の仕方が異なりますので、注意が必要です。
中国語の“好”は良いと言う意味で、好きという意味ではありません。“吃”は食べるという意味です。食べて味が良いので“好吃”と表記します。
同様に、“喝”は飲むという意味で、飲んで味が良いので“好喝”となります。
“好吃”の発音
“好吃”の発音ですが、日本人には難しい「そり舌音」が含まれています。「chi」の「h」の部分がそり舌音になります。そり舌は、倦舌音(けんぜつおん)とも呼ばれています。
そり舌の発音は、舌を若干そり上げるようにし、舌と口蓋(口内の天井部分)の間の狭い隙間から、勢いよく息が吐き出して音を出します。
このそり舌は、日本語の発音には存在しないので、中国語を学ぶ日本人にとっては、進歩を阻む壁となります。日本人の中国語学習者の中には、そり舌の発音に苦手意識を感じている人も少なくありません。
苦手意識を克服できないでいると、中国語の学習に対してネガティブになり、勉強やめてしまうという結果に陥ってしまうかもしれません。そり舌は日本語の発音で存在はしませんが、日本人にできない発音ではありません。
発音のためのコツを紹介します。発音のポイントさえ押さえておけば、苦手意識を感じる必要は全くありません。ぜひ、中国語学習の初期の段階で、しっかりとコツを押さえておきましょう。
“好吃”の発音のコツ-舌を巻かない
日本人の中国語学習者にとって発音が難しく、苦手意識を持ってしまう人も多い「そり舌音」の発音。克服のポイントは2つあります。
一つ目は舌の形です。
よくある失敗例は、そり舌を意識しすぎて舌を巻きすぎてしまうことです。巻きすぎてしまうと正確に発音できません。舌先を上に向けて上げるだけで十分です。そして、そり上げた舌にしっかり力を入れます。
“好吃”の発音のコツ-強く息を吐く
二つ目のポイントは、強く息を吐くことです。
中国語の子音には,2つのタイプがあり「息を抑えてひかえめに出す無気音」と「息をパッと激しく出す有気音」に分かれています。
“好吃”の子音は「ch」で有気音です。“好吃”の発音に問題ある人の原因の多くは、実はこの有気音が正しく発音できていないのです。
そり舌の形はできているにもかかわらず、息が弱いために相手に伝わらず、その結果、自分にはそり舌ができないのではないかと自信をなくし、ますます息が弱くなって聞き取りづらくなるという悪循環に陥ります。
大事なのは、吐く息の力と息の力に倒されないようにしっかりと舌に力を入れることです。そった舌にしっかりと力を入れて壁を作り、その壁に息を思いっきりぶつけるようにしてください。息が強ければ、きれいに発音できますよ。
“好吃”の発音のコツは勢いです!美味しいと思った時のその気持ちを、思いっきり舌にぶつけましょう。これで通じます。
発音に関する補足ですが、中国語学習者の発音が伝わらない原因の多くは、自信のなさからくる息の弱さから来ています。絶対に相手に伝えてやるというくらいの気持ちで発音をすると、有気音がきれいに出ますので、相手に伝わりやすくなります。
コツが分かったら、中国語学習のサイトやアプリなどで、ネイティブの発音を聞きながら、繰り返し練習するようにしましょう。自分の発音を録音して、ネイティブの発音と比較してみると上達が早くなります。
“好吃”を使った基本的なフレーズ
zhè ge cài hěn hào chī
这个菜很好吃
この料理は美味しい。
nǐ chī de cài hǎobù hào chī?
你吃的菜好不好吃?
あなたが食べている料理は美味しいですか?
“好吃”の他の美味しいを表現する単語
中国語では、美味しいという気持ちを伝える言葉はたくさんあります。
【可口 kě kǒu】
口当たりが良い。という意味です。
zhè zhǒng gān tián kě kǒu
这种葡萄甘甜可口
このぶどうは甘くて美味しい。
【美味 měi wèi】
日本語でいう「美味」の意味で、書き言葉によく使われます。
wǒ xiǎng bǎ nà gè cài zuò dé gèng měi wèi
我想把那个菜做得更美味
私はその料理をもっと美味しくしたい。
【口感好 kǒu gǎn hǎo】
食感が良いという意味です。
zhān zhān de kǒu gǎn
粘粘的口感
モチモチとした食感。
【不错 bù cuò】
直訳すると間違いがないと言う意味、味に間違いがないということで、美味しいという意味になります。
nà gè cān tīng de cài hěn bù cuò
那个餐厅的菜很不错
あのレストランの料理はとても美味しい。
【开胃 kāi wèi】
直訳すると、胃を開くと言う意味、それで食欲をそそるという意味になります。
shāo wéi là diǎn er hǎo, kāi wèi ya
稍微辣点儿好,开胃呀!
少々辛いほうがいい、食欲が出る!
【爽口 shuǎng kǒu】
さっぱりしていて、口当たりが良いという意味です。
zhè ge shuǐ guǒ chī zhe zhēn shuǎng kǒu
这个水果吃着真爽口
この果物は本当にさっぱりと口当たりが良い。
【脆 cuì】
サクサクしているという意味です。
zhè ge shǔ tiáo hěn cuì
这个薯条很脆
このフライドポテトはとてもサクサクしている。
【嫩 nèn】
柔らかいという意味で、肉などに使われます。
zhè ge niú ròu hěn nèn
这个牛肉很嫩
この牛肉はとても柔らかい。
中国語の「美味しくない」の表現
美味しくないと言う場合には、“难吃 nán chī”と言います。
tā zuò de cài hěn nán chī
他做的菜很难吃
彼が作った料理は美味しくない。
飲み物場合は、“难喝 nán hē”と言います。
zhè ge yǐn liào nán hē
这个饮料难喝
このドリンクは美味しくない。
また、“好吃”に否定の“不 bù”をつけて“不好吃 bù hào chī”と述べて、美味しくないと言うことができます。
wǒ zì jǐ zuò de cài bù hào chī
我自己做的菜不好吃
私が自分で作った料理は美味しくない。
zhè ge shuǐ guǒ zhī bù hǎo hē
这个水果汁不好喝
この果物ジュースは美味しくない。
食べ慣れないという場合は、“吃不惯chī bù guàn”と言います。
wǒ chī bù guàn shēng yú piàn
我吃不惯生鱼片
刺身は食べ慣れません。
wǒ hē bù guàn yē shù
我喝不惯椰树
ココナッツミルクは飲み慣れません。
中国語の味に関する表現
味を中国語で表現する際には以下の表現を用います。
- 味道 wèidao →味
méi yǒu shé me wèi dào
没有什么味道
何の味もしない。
- 酸 suān→酸っぱい
zhège júzi hěn suān
这个橘子很酸
このみかんは、とても酸っぱい。
- 甜 tián→甘い
zhè ge dàn gāo hěn tián
这个蛋糕很甜
このケーキはとても甘い。
- 苦 kǔ → 苦い
zhè ge kā fēi chāo jí kǔ
这个咖啡超级苦
このコーヒーは超苦い。
- 辣 là →辛い
sì chuān cài hěn là
四川菜很辣
四川料理はとても辛い。
- 咸 xián →塩辛い
zhè ge wèi zēng tāng tài xián le
这个味噌汤太咸了
この味噌汁は塩辛すぎる。
- 麻 má→舌がしびれる辛さ
zhè má là dòu fu má dé bù dé liǎo
这麻辣豆腐麻得不得了
このマーボードーフは辛くて(舌が痺れる)たまらない。
中国語では2種類の「辛さ」が存在します。1つは日本で言うところの唐辛子の辛さです。
もう一つは山椒の辛さです。これは、中国語で“花椒”と呼ばれる食材の辛さで、中国語では“麻”と呼ばれ、舌がしびれる辛さを指して用いられます。
中国語の「美味しい」の程度を表す表現
「美味しい」といっても、その程度は様々です。まずまず美味しいと思うこともあれば、すごく美味しいと思うこともあります。
そのような場合は、程度副詞を用いることで、自分の感情のレベルを表現することができます。この程度副詞を上手に使う事で、幅の広い中国語表現を用いることができるようになります。
中国語の程度副詞には以下のものがあります。
- 超 (chāo)
- 非常(fēi cháng)
- 太(tài)
- 真(zhēn)
- 很(hěn)
- 挺(tǐng)
程度副詞を6つ挙げましたが、感情の程度としては、上に行くほど強くなります。この程度副詞を“好吃”の前において感情の程度を表現します。
- 超好吃→超美味しい
- 非常好吃→非常に美味しい
- 太好吃→すごく美味しい
- 真好吃→本当に美味しい
- 很好吃→とても美味しい
- 挺好吃→まあまあ美味しい
程度副詞は“好吃”以外でも、物事の程度を表すときに用いることができます。とてもよく使う表現なので、しっかりとマスターしておきましょう。
料理で使う中国語表現
中国料理は、様々な技法が駆使されています。料理法に関する表現を紹介します。
- 炒める→炒(chǎo)
- 煮る→煮(zhǔ)
- 蒸す→蒸(zhēng)
- 揚げる→炸(zhá)
こうした表現を覚えておくと、中国の方に調理法を尋ねることができ、大変便利です。
zhè ge cài zěn me chǎo de?
这个菜怎么炒的?
この料理はどうやって炒めたの?
zhè ge cài zhǔ duō jiǔ?
这个菜煮多久?
この料理はどのくらい煮たの?
zhēng shuǐ jiǎo yào duō shǎo fēn zhōng cái shú?
蒸水饺要多少分钟才熟?
蒸し餃子は何分蒸したら良いですか?
zhà dōng xī duō shǎo wēn dù hé shì?
炸东西多少温度合适?
揚げ物は何度で揚げるのが良いですか?
中国の地域ごとの食文化の特徴
中国は日本の約25倍の広大な国土面積を有する国です。地域ごとに色々な特色の料理が存在します。
地域ごとの料理の特色を理解しておくと、中国の方と交流していく上で楽しく会話することができます。特に特徴のあるものを以下に紹介します。
広東料理
中国語では“广东菜 guǎng dōng cài”もしくは、“粤菜 yuè cài”といいいます。“粤”とは、広東地域の昔の名前です。
飲茶、海鮮粥、蒸し餃子などの料理が有名です。広東省の人は、味を追求することで有名で、次のようにいわれています。
dì shàng pá de—chú le zhuō yǐ, bèi jǐ xiàng tiān de dōu kě yǐ chī. tiān shàng fēi de—chú le fēi jī, zhǐ yào néng fēi de yě kě yǐ chī
地上爬的—除了桌椅,背脊向天的都可以吃。 天上飞的—除了飞机,只要能飞的也可以吃。
地に足のついているものは椅子と机以外何でも食べ、飛んでいるものは飛行機以外何でも食べる。
四川料理
中国語では“四川菜 chuān cài”もしくは、“川菜 chuān cài”ともいいます。川菜はとにかく辛いです。火鍋、麻婆豆腐、坦々麺、棒々鶏、など日本で知られている料理はここからきています。
辛さに対する耐性は、人それぞれであるため、四川料理を注文するときは、辛さの程度も伝える必要があります。
- 超辣 chāo là →辛い
- 辣 là→辛い
- 微辣 wēi là→ちょっとだけ辛い
- 不辣 bú là→辛くない
こうした表現を用いることで、辛さの調整が可能です。そして、四川料理においては、上に挙げた花椒がよく用いられるため、唐辛子の辛さだけでなく麻の辛さがあります。
まとめ
中国語で「美味しい」に関する表現方法を紹介しました。中国では食が大変重視されており、食べることに関する表現方法がたくさん存在しています。
まずは“好吃”の発音をしっかりとマスターしましょう。そして、味に関する表現や、他の表現方法を少しずつ覚えていってください。
食べることに関する表現をたくさん使うことができるようになれば、中国語の学習がより楽しいものになることでしょう。