中国人も日本人も数字で縁起を担ぐ習慣があります。誰かにものを送る時には縁起が良い数字で送り、縁起が悪い数字は避けます。
中国人が贈り物を渡すときはいつも数字を気にしています。中国人が好きな数字と嫌いな数字を見ていきましょう。
中国人が好む数字:縁起の良い数字と悪い数字
目次
中国の数字文化と縁起について
偶数を好む中国文化
中国では、縁起のいい数字として偶数が好まれる傾向にあります。対になることを好む中国人にとって偶数は、均衡や調和、円満の意味を持ち、めでたい兆しを象徴します。
中国で、偶数が縁起の良さで使われる理由について詳しく見ていきましょう。
陰陽のバランス
中国の思想である陰陽思想では、陽と陰、偶数と奇数は対立するものとして捉えられています。陰陽のバランスを保つことが重要視され、偶数は陰の性質を表すとされています。
そのため、偶数を好むことでバランスや調和を追求し、幸運や縁起を得ると考えられています。
家庭と結びつく意味合い
中国の家庭では、偶数の数字が縁起が良いとされることがあります。特に、結婚式や家族の行事では、偶数の数字を使用することが一般的です。これは家庭の結びつきや調和を象徴するとされ、家族の幸福や繁栄を願う意味合いがあります。
数字の語呂合わせ
中国では数字の語呂合わせが重要視されます。特に、偶数の数字には吉祥な言葉との語呂合わせをよく使い、縁起が良いとされます。
例えば、数字「6」は「流利」(liú lì)と発音が似ており「円滑な」という意味を持つことから、ビジネスや人間関係の円滑さを象徴するとされます。
文化や風習の影響
中国の民間信仰や風習においても、偶数の数字に特別な意味があります。たとえば、祝い事や祭りの際には偶数の飾り物が使用され、縁起や幸運をもたらすとされています。
また、商売や販売の分野でも偶数の数字が使われ、縁起を迎えるための戦略として活用されています。
中国人が好きな数字:6、8、9の縁起
幸運と商売繁盛の象徴「6」
発音と語呂合わせ
中国では、数字の6に「物事が順調」という意味が込められています。6の発音「六(liù)」と「流(liù)」の発音が同じであるため、商売繁盛や幸運を連想させる数字として扱われるようになりました。
「大いに順調!」という意味を持つ四字熟語「六六大顺(liù liù dà shùn )」でも6が二つ重なって使われていることからも、6が持つ前向きなイメージが読み取れます。
日常生活での活用例
物事が順調に進む意味を持つ「6」は、結婚式でも重要な数字として使われています。結婚式の日取りを6が付く日時にしたり、招待状の枚数に「6」を取り入れるなど、新郎新婦の幸福と繁栄を願う意味が込められています。
お祝いごと以外では、相手を褒めるときに「666」と6を重ねて使うことがよくあります。元々、中国のゲーム実況で派生したスラングでしたが、今では日常でよく使われる中国語で親しまれています。
滑らかに流れる様子を表す中国語「溜(liù)」と発音が同じであり、「上手くいったね!」「すごい!」と相手を褒める言葉として派生しました。
これらの理由から、数字の「6」は中国で幸運と商売繁盛の象徴として重要な数字とされています。ビジネスや日常生活において、「6」を利用して成功や繁栄を祈る習慣が広く行われています。
繁栄と富の象徴「8」
発音と語呂合わせ
お金持ちになることを意味する中国語「发财」(fācái)の「发(fā)」が「八(bā)」の発音と似ていることから縁起の良さに派生しました。
中国語「发(fā)」には繁栄や富を生む意味があることから「8」は商売繁盛や経済的な成功を象徴する数字とされています。商売繁盛や富の繁栄への強いこだわりをもつ、中国らしさを感じられる部分ではないでしょうか。
日常生活での活用例
富の象徴である「8」にちなんで、お金を渡すときは888元と1888元など、8の数字に揃えて渡すことが多いようです。
特に、中国の旧正月、誕生日、結婚式などお祝い事で渡す紅包(hóng bāo)では重要な数字です。数字を使った看板やメニューの価格表などで「8」を見かけることもよくあります。
北京オリンピックが2008年8月8日の夜8時8分に開幕したことからも、中国人が縁起担ぎで数字を重要視する様子がうかがえるかと思います。
長寿の象徴「9」
発音と語呂合わせ
「9」は中国語で「jiǔ」と発音されます。この発音は「久(jiǔ)」と似ており、長寿の意味を連想させます。そのため「9」は長寿や健康の象徴とされてきました。他にも、長く続くという意味で「永遠」を連想させる数字としても使われています。
日常生活での活用例
「9」は長寿を願うため、さまざまな場面で使用されます。例えば、長寿を祝う日として、陽の日が重なる9月9日が選ばれることが多いようです。
更に「99」という数字は倍増の意味を持ち、長寿や幸福、永遠を強調する表現として用いられることがあります。そのため恋愛では、99本、999本、9999本のバラを贈ることで、永遠の愛を表現することがあります。
偶数を陰数、奇数を陽数と考える中国では、「重陽」と呼ばれる奇数が重なる日を祝う習慣があります。
奇数の中で最も大きい「9」は古代から好まれ、「9月9日(旧暦)は重陽の節句」として、縁起の良い日と考えられています。特にこの日は高いところに登り菊酒を飲みながら、長寿を願い災難を払う風習があったとも言われています。
長寿や永遠の象徴である「9」は、特に恋愛、結婚、友情等における場面において現代の中国女性が好む数字として人気があります。
中国人が嫌いな数字:4
中国で4が避けられる理由
発音と語呂合わせの悪さ
4の発音「四(sì)」が中国語の「死(sǐ)」と非常に似ているため、死や不吉なイメージを連想させます。中国では、死は不吉な出来事や縁起が悪いとされているため「4」は避けられる数字となっています。
日常生活で避けられる場面
贈り物の個数や、红包(hóng bāo)の金額でも4は避けられます。特に中国では、縁起や風水の考え方が強いため、建物の階数やフロア番号、電話番号、ナンバープレート、商品の価格など、さまざまな場面で「4」を避ける傾向があります。
例えば、高層ビルでは4階や14階が存在せず、代わりに3Aや13Aのように表記されることがあります。
商品や電話番号、自動車のナンバープレートでも「4」を避ける傾向が強く、縁起の良い6や8などの数字が用いられます。
通常偶数を好む中国人ですが、数字の「4」については不吉なイメージや縁起の悪さと関連付けられ回避される傾向があります。日常生活やビジネスにおいては、「4」を避けることが配慮されることが一般的です。
日本人が好きな数字と嫌いな数字
好きな数字:3、7、8
調和や充足の象徴「3」
数字の「三(みつ)」の発音は「満つ(みつ)」や「充(みつ)」と同じであり、満たされ願いが叶うことや充足感を象徴する数字で好まれています。
「御三家」や「三代〇〇」「〇〇ベスト3」など、何かを選択する際も3つ選ばれることも多いですね。
更に、ご祝儀やお年玉などのお祝いごとで渡す金額でも、3が選ばれることが多いかと思います。特に結婚式のご祝儀では、割り切ることができない数字として「3万円」を用意する人も多いのではないでしょうか。
これは、縁起の良さだけでなく、礼儀として広まっている日本文化でもあります。私たち日本人は日頃から、無意識に「3」を縁起の良い数字として使っていることが分かります。
幸運や吉兆の象徴「7」
「七(しち)」の発音が「幸(しあわ)せ」や「吉(きっ)」と似ているため、幸運や吉兆を連想させます。そのため「7」は幸運をもたらす数字として好まれています。
日本では、宝くじやギャンブルにおいて「7」が大当たりや幸運の象徴とされています。特に宝くじの抽選番号やギャンブルのスロットマシンで「777」と揃った場合、高額な賞金や景品が当たる傾向にありますよね。
日本のイベントである「七夕祭り」からも、「7」に込められている意味を読み取ることができます。七夕祭りは7月7日に行われ、人々が願い事を短冊に書き、笹の木に飾り付けをします。
七夕祭りは恋愛や夫婦の幸福を願うイベントとされており、幸運や吉兆の象徴が読み取れます。
繁栄や富の象徴「8」
漢字の「八」から連想される「末広がり」から、「末の方に広がる」「広く栄える」意味として好まれています。発音「はち」も「発(はっ)」と似ていることから、中国同様繁栄や成功、富のイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。
「8」は繁盛や成功を象徴する数字として好まれる傾向から、店舗開業日や営業時間、商品の価格などで多く使用されることがあります。
更に、結婚式やお祝いの席においても「8」は繁栄や富の象徴として重要な意味を持ちます。結婚式の日程や時間、贈り物の金額などにおいて、「8」が好まれる傾向があります。
嫌いな数字:4、9
死を連想させる「4」
「4(し)」の発音は、日本語の「死」と同じであるため、中国と同じように語呂合わせの関係から「4」が死や不吉と結び付けられ、縁起の悪い数字とされています。
日本仏教の信仰においても、亡くなった人の霊魂が成仏するまでの期間とされるのが「四十九日(しじゅうくにち)」です。「4」が死や喪失を連想させる数字に感じられるため、日本人にとって縁起の悪い象徴として根付いています。
数字に対する意識は個人や地域によって異なりますが、一般的に「4」を避ける傾向があり、それは建物の階数や部屋番号、自動車のナンバープレート、暗証番号や電話番号などにも反映されています。
苦を連想させる「9」
「9(く)」の発音は、日本語の「苦(く)」や「九(く)」と語呂合わせが似ています。そのため、「苦」や「苦労」といったネガティブなイメージが連想されることから、日本人には縁起の悪いイメージがあります。
「4」と「9」の組み合わせは「死苦」「始終苦」「轢く」と縁起の悪さを連想させるため、車のナンバープレート下2桁に使用されることはほとんどありません。
「四苦八苦」の語呂合わせを「4989」と記載することもあるため、日本では「9」という数字にネガティブな印象を持っている傾向があります。
日本の数字文化と縁起について
奇数を好む日本文化
日本の吉日や祝日が奇数日の重なる月日が多いことや、ご祝儀やお年玉などの金額も必ず奇数で揃えられていることが特徴の一つです。
祝日やご祝儀金額に加え「五七五」「五七五七七」といった俳句を読むリズムにおいても奇数が好まれていることが分かります。中国の詩歌を起源とした俳句や和歌は、言葉を奇数で揃えたことで、日本語独自の美しさを目立たせているともいえます。
奇数が縁起の良さで使われる理由について詳しく見ていきましょう。
基数が縁起が良いといわれる理由
陰陽思想と五行説
日本の伝統的な思想である陰陽思想や五行説に基づいて、奇数と偶数には異なる性質があります。奇数は陽の性質を持ち、活気や創造性、生命力を象徴すると考えられています。一方、偶数は陰の性質を持ち、静けさや安定性を表現します。
奇数の数字が縁起が良いとされるのは、その活気や生命力が吉祥や繁栄をもたらすと信じられているためです。
宗教的な信仰
日本の宗教や信仰においては、奇数が特別視される傾向があります。たとえば、神社での参拝や祭りの日数は奇数が重視されます。また、仏教の教えにおいても、奇数の数え方や回数が特別視されることがあります。
民間信仰や風習の影響
日本の民間信仰や風習にも奇数の縁起の良さが関連しています。たとえば、祝い事や祭りでは奇数の飾り物や数え方が用いられ、吉祥や縁起を担ぐとされています。また、商売や販売の分野でも奇数の数字が使われ、縁起を迎えるための戦略として活用されてきました。
語呂合わせの縁起
日本語には語呂合わせの文化が根付いており、奇数が縁起の良い数字となることも語呂合わせによる影響があります。たとえば「一期一会」という表現は奇数の「一」を使用しており、貴重な瞬間を大切にする思考を反映しています。
まとめ
中国と日本では、好まれる数字に違いがあります。偶数を好む中国と、奇数を好む日本、どちらも文化的背景や歴史が大きく関係しています。
それぞれの国で縁起が良いとされる数字が日常生活でどのように使われているのか、比較してみるのも言語学習に役立つポイントかもしれません。言語の背景や文化を通して、中国語への理解を深めていきましょう。