中国語「得」には様々な用法があることをご存知でしょうか。今回は、補語としての「得」の使い方をご紹介します。
日常フレーズやビジネスシーンでの活用法をお伝えするので、苦手意識がある中国語学習者の方は、ぜひ今回の実用例を使って克服しましょう。
中国語で「得」を使いこなそう!実用例と注意点
「得」の意味と用法
「得」の意味
中国語「得」は、主に以下の意味を持っています。
- 手に入れる、獲得する
- 得点する、勝つ
- 〜できる、〜することができる
- 非常に、とても
「得」の基本的用法
中国語「得」には以下の用法があります。
動詞+得
「得」は動詞の後ろに置いて、その動作が行われることで得られる結果を表現することができます。
chī de tài bǎo le
吃得太饱了。
食べすぎてお腹がいっぱいになった。
pǎo de hěn kuài
跑得很快
走るのが速い。
形容詞+得
「得」は形容詞の後ろに置いて、その形容詞が表現する程度を強調することができます。
tiān qì rè de chū jī
天气热得出奇。
非常に暑い。
zhè jiàn shì nán de hěn
这件事难得很
これはとても難しい。
否定文「動詞+不+得」
「得」は動詞の後ろに「不」+「得」を置くことで、「〜できない」という意味を表現できます。
wǒ chàng bù de gāo tiáo
我唱不得高调。
私は高い音を歌えません。
動詞+「得」+補語
動詞の後ろに「得」を置き、補語を付けることでその動作が達成した目的や結果を表現することができます。
tā shuō de qīng chǔ
他说得清楚。
彼ははっきりと話します。
「得」を使った実用例の紹介
価値を表す「有得」
中国語で「価値がある」という意味を伝えたいときは、有得(yǒu dé)を使って表現することができます。漢字の成り立ちから考えると意味を理解しやすいかもしれません。
有得は「有る」と「得る」の意味を合わせて「価値があること」を表現しています。例えば「苦労して手に入れるだけのことはある」と、価値を評価する文章は日常でも使われるかと思います。
有得を使うシーンとしては、主に2つあります。一般的な日常会話のシーンと、ビジネスや投資、評価する際などに使われます。
特に、投資商品やビジネスに関する情報については非常に価値があることを意味しているとおぼえておきましょう。
xuéxí yǒudé
学习有得
学ぶことには価値がある。
成功や勝利を表す「得手」
得手(dé shǒu)は成功や勝利を表す中国語のひとつです。「得」と「手」で分けて考えると分かりやすいかもしれません。
「得」は何かを得たり獲得することであり、「手」は手段や方法を意味しています。したがって、得手とは目的・目標が達成できることを意味しています。
更に、得手は特定の分野で成功した人々を表すときにも使われます。日本語でよく使われる「得意分野」をイメージすると理解しやすいかもしれません。
例えば、「わたしの得意分野は語学です。」と伝える際に、中国語の得手を使うことができます。不得意を表すときは、得手の前に不を付けて、不得手で表現します。
「得意なこと」「不得意なこと」は、日常会話でもよく出てくる話題ではないでしょうか。日常で頻出表現を身につけることで、会話力アップに繋げていきましょう。
cóng déshǒu de rènwu kāishí
从得手的任务开始
やりやすい(得意な)作業から始める。
物事の進捗状況を表す「进展得很快」
中国語の进展得很快(jìnzhǎn de hěn kuài)は、物事の進捗状況を意味する表現です。
进展は進展の简体字であり、漢字の通り「進展する・進行する」ことを表します。得很快は「とても速い・非常に速い」の意味で使われます。
つまり、进展得很快は「物事がスムーズに進んでいる」「進展がとても速い」ことを意味していることが分かりました。
ここでの得の役割「〜するのがとても〜だ」もぜひ覚えておきましょう。様態補語の補助役である得の活用語順は、動詞または形容詞+「得」+様態補語(很+形容詞)です。
例えば、仕事やなにかのプロジェクトが順調に進んでいることを进展得很快で表現することが可能です。
zài tā dezhǔguǎn xià,chéngshì jiànshè jìnzhǎn de hěn kuài
在他的主管下,城市建设进展得很快
彼の主観の下、都市建設は順調に進んでいる。
「得」を使う際の注意点
「得」の後に続ける動詞の形
中国語の様態補語では「得」の後に動詞を置いて使うことがあります。語順の最初に来る動作や状態を「得」に続く動詞が詳しく描写しているとイメージすると良いかもしれません。
語順は、動詞または形容詞+「得」+様態補語(動詞)で覚えましょう。
wǒ zuìjìn lèi de bùxiǎng chī wǎnfàn
我最近累得不想吃晚饭
わたしは最近疲れ過ぎて夜ご飯を食べたくない。
「得」の後に続ける形容詞の形
中国語「得」の後に続ける形容詞は様態補語の役割を担っています。「〜するのがとても〜だ」という表現を使い、行われている動作や状態を具体的に表現できます。
語順は動詞または形容詞+「得」+様態補語(很+形容詞)で覚えておきましょう。程度を表す様態補語「很」は別の単語を使うことも可能です。
ぜひ「非常」や「特別」を活用して、伝えたい程度のバリエーションを増やしてみてください。
動詞+「得」+様態補語(很+形容詞)の場合、動作の程度を表すときに使います。
jīntiān wánde fēicháng kāixīn
今天玩得非常开心!
今日はとっても楽しかった!
tā hànyǔ shuō de tèbié bàng
他汉语说得特别棒!
彼の中国語はとても上手だ!
動詞のあとに目的語が来る場合は、「V+O+V+得〜」の形が基本形。ただし、1番目の動詞は省略が可能です。
他汉语说得特别棒!は、他说汉语说得特别棒!から1番目の動詞说を省略した文章でした。省略前と後の文章を比較することで、普段何気なく見ている中国語の文法理解が深まるはずです。
形容詞+「得」+様態補語(很+形容詞)の場合、形容詞の後に中国語「得」を置くことで、その状態の程度を表すことができます。
wǒ gōngzī bǐ nǐ shǎo de hěn kělián
我工资比你少得很可怜
わたしのお給料はあなたと比べるとかわいそうなくらい少ない。
文脈に応じた使い方の違い
中国語「得」には様々な用法があります。様態補語や結果補語などの補助としての役割や、二音節単語の一部として使う場合もあります。
意味や役割がひとつではないからこそ、使い方にも意識しなければいけません。
特に中国語「得」は、補語でよく使われる印象が強い漢字でもあります。そのため、文章などで中国語「得」を見てすぐ補語と読み取ってしまう危険性もゼロではありません。
正しい意味で読み取るために、会話や長い文章の文脈に応じた「得」の使い方を身に着けていきましょう。
「得」を使った例文の解説
日常会話で使える例文
hé nǐ yìqǐ hē jiǔ hē de hěn kuàilè
和你一起喝酒喝得很快乐
あなたと一緒にお酒を飲むのはとても楽しい。
jīntiān wǒ máng de wàng le chīfàn
今天我忙得忘了吃饭
今日は忙しすぎてご飯を食べるのを忘れていた。
tā de zhōngwén shuō de fēicháng bàng,wǒ xiǎng jìnkuài chéngwéi xiàng tā yíyàng lìhai
她的中文说得非常棒,我想尽快成为像她一样厉害!
彼女の中国語はとっても上手です。わたしも彼女のように早く上手になりたいです!
shàngzhōu wǒ qù le jiějiě de jiā,tā de fángjiān shōushi de hěn gāngānjìngjìng de
上周我去了姐姐的家,她的房间收拾得很干干净净的。
先週姉の家に遊びに行った。彼女の部屋はとてもきれいに片付いていた。
ビジネスで使える例文
zuìjìn mài de zuìhǎo de shì nǎzhóng shāngpǐn ne
A:最近卖得最好的是哪种商品呢?
最近売れ行きの1番良い商品はどれですか?
zhège ba,wǒ xiàng nǐmen tuījiàn wǒ gōngsī de zhāopái shāngpǐn
B:这个吧,我向你们推荐我公司的招牌商品
これです。私たちの会社の看板商品なので強くおすすめします。
zhōngguó hěn shòuhuānyín rìběn chǎn de shāngpǐn,rìběn pǐnpái de chē zài zhōngguó màide hěn hǎo
中国很受欢迎日本产的商品,日本品牌的车在中国卖得很好
日本製の商品は中国でとても人気があります。日本の車は中国でよく売れています。
「得」を使いこなして中国語力アップ!
中国語力向上には、頻出単語の「得」習得が欠かせません。様々ある用法を身につけるために、日常生活で取り入れられる方法をいくつかご紹介します。
多くの例文を見る
例文をたくさん見ることで、用法やニュアンスを理解することが大切です。どんなシーンや会話の流れで使われているのか確認しましょう。
使われている例文を読むことが、自然な中国語を身につけることに繋がります。
作文をする
読んだ例文を参考に、文章を作ってみましょう。日記を書く習慣がある人は、中国語で書いてみてはいかがでしょうか。
その日あった出来事を中国語で書く練習をすることで、中国語脳を鍛えることに繋がります。
中国ドラマ視聴で聞き取り練習をする
日常会話やビジネスのシーンなどで「得」がどのように使われているか確認しましょう。ドラマ視聴は中国語の使い方に加えて、リスニング力を鍛えることもできます。
教材やコミュニティを活用する
中国語の教材やコミュニティ活用もおすすめな方法です。
日本で生活していると中国人と中国語で交流を持つ機会は多くありません。積極的に中国語教室やオンラインコミュニティなどに参加して、会話のキャッチボールをしてみましょう。
上記方法を参考に、多くの例文を読み、実践し、聞き取り練習を重ねてみてください。
中国語力アップには、感覚で理解することも重要なポイントです。辞書や教材を活用しながら数をこなすことでニュアンスが理解でき「得」を使いこなすことができます。
まとめ
中国語「得」には様々な使い方があります。特に、中国語学習を始めたばかりの方は難しいと感じる部分かもしれません。
時制のきまりがない中国語の動詞では、補語を使って詳細を伝えます。日本語にない文法なので、理解が難しく苦手意識を持ったまま学習を進めてしまう方も少くありません。
様々ある補語の中でも、今回ご紹介した「得」は動作や状態を具体的に描写する役割を持っていることが分かりました。
ひとつひとつ文章を分解して理解することで、中国語「得」への苦手意識を払拭できると感じています。
気持ちや状況を伝える表現の幅が増えることで、中国語学習もより楽しくなるはずです。そして、メールやSNSでのテキストコミュニケーションでも中国語で気持ちを伝えられるように中国語「得」を習得していきましょう。