中国語学習を始めると必ず出会うのが挨拶表現です。「もっとネイティブな表現が知りたい」と感じている学習者も少なくありません。
今回は、中国語の「こんばんは」の基本表現やよく使われる言い方などをご紹介します。ぜひ会話で活用していきましょう。
中国語と台湾のこんばんは表現の違い
目次
中国語でこんばんは
日本では、夜の時間帯に会うと「こんばんは」と挨拶を交わしますよね。中国語にも「こんばんは」を表す単語があります。
ここでは、中国語の「こんばんは」や使われ方などをご紹介します。単語の意味だけでなく、どんなときに使われるのか現地のリアルも学んでいきましょう。
こんばんは「晚上好」
中国語で「こんばんは」は晚上好です。晚上は、中国語で「日没から夜中までの数時間」を表す単語です。この数時間に会う場合に使える挨拶表現として成り立っていることが分かります。
日本語で「こんばんは」を漢字表記すると「今晩は」になりますよね。同じ晚が使われているので、夜の挨拶かな?と想像しやすいかと思います。
加えて、中国語で「おはようございます」は早上好なので、朝と夜の挨拶では最初の文字を変えることで時間軸を表すことができます。
wǎnshàng hǎo
晚上好
こんばんは
日常では使わない
「こんばんは」の挨拶として晚上好をご紹介しましたが、日常生活で使うことはほとんどありません。
特に親しい間柄の場合に使ってしまうと、かしこまった印象を与えてしまうそうです。家族間はもちろん、友人や仲の良い取り引き先間でも使いません。誤解が生まれないようシチュエーションに合わせて使う必要があります。
「親しき仲にも礼儀あり」を重んじる日本とは対象的に、親しいからこそ「人情」を大切にする中国の文化を感じられる言葉かもしれません。
ラジオや公式で使用
晚上好は日常生活の会話ではほとんど使われない分、ラジオや公式な場でよく耳にします。テレビのニュース番組や公式なイベントなど、中国ではオフィシャル用の挨拶として使い分けられているのかもしれません。
ニュースやラジオを聞く際は、どのように使われ、どんなトーンで話されているのか特徴にぜひ注目してみてください。キャスターやラジオパーソナリティーそれぞれの特徴探しもリスニング力強化に繋がるはずです。
gèwèi tīngzhòng,wǎnshàng hǎo!
各位听众,晚上好!
リスナーのみなさん、こんばんは!
各位好で「みなさんこんにちは」や「みなさんこんばんは」の意味を表す場合もあります。
日本に比べると時間軸を厳しく分けない中国では、状況に合わせて挨拶表現を柔軟に変えることが可能です。個人の好みや裁量の影響によって表現方法が豊かなところも、中国文化の柔軟性を感じられるポイントです。
使える夜の挨拶表現
晚上好や你好以外で使える夜の挨拶表現をご紹介します。wechatや電話など気軽に使える表現なので、ぜひたくさん使ってネイティブの文化に馴染んでいきましょう。
wǎnān,nǐ xiān shuì le ba
晚安,你先睡了吧
おやすみなさい、先に寝てね。
shuì gè hǎo jué
睡个好觉
ぐっすり寝てね。
zuògehǎoméng
做个好梦
良い夢を見てね!
hǎohāor shuì ba
好好儿睡吧
しっかり寝てね。
台湾語でこんばんは
実は、中国と台湾では「こんばんは」を表す単語に違いがあります。ここでは、台湾で使われる夜の挨拶表現をご紹介します。
それぞれの特徴を知り、交流でも活かせるように習得していきましょう。台湾人と距離をぐっと縮める事ができるはずです。
こんばんは「晚安」
台湾での「こんばんは」は晚安が使われます。中国語で晚安は「おやすみなさい」を意味するため、違いを感じますよね。
もちろん台湾でも晚上好は通じますが、年配の方や郊外に行くと方言が強くなるため通じない場合もあります。晚安は晚上好同様、日常での口頭会話や親しい間柄では使われません。
台湾では「こんばんは」の意味をもつ晚安ですが、夜の挨拶として「おやすみなさい」としても使うことが実際はあるそうです。正確に使い分けられているわけではなく、台湾人も地域や育った環境等が影響しているのかもしれません。
台湾の基本挨拶は你好
実は台湾でも基本挨拶は時間に関わらず你好を使います。現地では、你好你好と繰り返している場面もよく目にします。単語を繰り返すことで、優しい印象を与えることができます。
しかし、中国本土では你好は日常会話ではあまり使用されないとお伝えしました。同じように台湾でも、親しい間柄や家族間、恋人などには你好はほとんど使いません。
初対面の方に対する「はじめまして」の意味やオフィシャルな場面でのかしこまった表現として使い分けられているようです。
ネイティブにとって你好は、礼儀やマナーが必要なシーンで使われる公式挨拶のイメージが根付いているのかもしれません。
中国語の基本挨拶
中国では、よく使われる挨拶フレーズがあります。ご紹介する表現は、時間に関係なくいつでも使うことができます。よりネイティブな表現を学んで、中国人との交流を深めていきましょう。
nǐ hǎo
你好
こんにちは
中国と台湾両国において、相手やシチュエーション、時間に関係なくいつでも使うことができる定番挨拶です。
hā lóu
哈喽
やあ/ハロー
hāi
嗨
やあ/ハイ
哈喽と嗨は友人や恋人など、若者を中心に使われている表現です。哈喽(hālóu)は英語の Hello から、嗨(hāi)は Hi が元になっています。
直接会ったときの挨拶だけでなく、メールやwechatでも若者感では主流の表現になっています。
chī fàn le ma?
吃饭了吗
ご飯食べた?
吃饭了吗もよく使われる表現です。直訳すると「ご飯を食べましたか?」ですが、中国ではばったり会ったときの挨拶としても使われています。
中国では民以食为天ということわざがあります。「民は食を以って成す=人々にとって食べることが最も重要である」との考えを表しています。
現在は大きな経済成長を遂げた中国ですが、長い歴史上では明日生きていくのも苦しい時期がありました。当時の民の関心事といえば食べることであったことが挨拶表現の由来とされています。
食事を重んじる民族だからこそ、食べられない状態は良くない、おろそかにしてはいけない文化が挨拶にも浸透しているのかもしれません。
zuìjìn zěnme yàng
最近怎么样
最近どう?
最近怎么样や你好,最近怎么样と使われることが多いです。日本語でも「最近どう?」から会話が続いていくケースがありますよね。中国でも自然な会話の始め方として近況を問うことがよくあります。
◯◯hǎo
◯◯好
〇〇には名前や役職などが入ります。「李总好」「老师好」「阿姨好」「叔叔好」「各位好」など様々あります。
你好はいつでも使える基本挨拶ですが、より簡単にかつカジュアルすぎない挨拶であれば、名前・役職に好をつけた表現がおすすめです。中国留学でも、先生への挨拶や連絡する際は「老师好」を使います。
hǎo jiǔ bú jiàn
好久不见
久しぶり
相手の立場や関係性に関わらず、久しぶりに会った人に使えます。好久は長い間、不见は会っていないという意味なので、意味を想像しやすいフレーズではないでしょうか。
英語の long no time no see は好久不见を一語一語元にしてつくられたとも言われています。
nǐ qù nǎr?
你去哪儿?
どこ行くの?
道端でばったり会ったときは、よくこの声掛けをすることがあります。你去哪儿?と聞かれたら我要去买东西など予定を伝えましょう。
中国留学において、キャンパス内でクラスメイトと会ったりすると、一緒に行かない?と交流のきっかけにも繋がります。
台湾の挨拶便利フレーズ
台湾だけで使われる挨拶表現はいくつか存在します。中国本土で使われるフレーズも通じますが、年代によっては高齢の方には通じない場合があります。
ここでは、台湾の日常で使われる挨拶フレーズをご紹介します。台湾表現を習得して、交流を深めていきましょう。
lí hó
你好
こんにちは/はじめまして
中国本土同様、時間や相手との関係性に関わらずいつでも使える基本挨拶です。
注意したい点は発音です。中国語のピンインと比べると全く異なる発音になっていますよね。中国語の「ニーハオ」ではなく「リィホー」と発音します。
zǎo ān
早安
おはよう
台湾でも早上好は通じますが、基本は使いません。晚安同様、早安を朝の挨拶として使っていきましょう。
duō xiě
多謝
ありがとう
台湾では「ありがとう」の表現で多謝を使います。中国語は谢谢ですよね。多く感謝するという気持ちが単語からも伝わる表現です。台湾人や台湾現地ではぜひ多謝を積極的に使いましょう。
bú huì
不會
どういたしまして
台湾では「どういたしまして」を不會と表現します。中国では「〜できない」の意味で不会を使いますよね。これも中国と台湾の表現の違いのひとつです。それぞれが持つ意味を理解して使い分けていきましょう。
歹勢
すみません
「パイセ−」と発音します。歹勢はピンインではなく、ボポモフォと呼ばれる台湾の発音です。台湾特有の表現で、不好意思と同じ意味で使われます。
地下鉄や道が混んでいるとき、ぶつかったときなどに咄嗟に「すみません」と言葉が出るかと思います。同じように歹勢もすみませんと言いたいときに使える表現です。
まとめ
今回は、中国語学習で欠かせない挨拶表現についてご紹介しました。
中国語では你好などの基本表現はもちろん、親しい間柄やオフィシャルなシーンなどで使える挨拶フレーズがいくつも存在します。特に、若者の間で使われるあいさつは英語が由来となっている点が現代らしいですよね。
吃饭了吗のように、過去の生活が背景となって今現在も引き継がれている表現は、歴史や人情を重んじる中国人の人柄を感じることもできます。
現代中国で使われる表現に加え、台湾との違いもご紹介しました。中国と台湾で使われる中国語は全く同じと感じている日本人も少なくありません。
それぞれの特徴を把握し、歴史背景や文化を理解して交流を深めるきっかけとして挨拶表現を活用していきましょう。